システムワークスジャパン株式会社

システムワークスジャパン株式会社は、ID管理やSSO（シングルサインオン）等、企業のアイデンティティ情報管理を最適化するソリューションを提供している。

クラウドやモバイル端末がビジネスの世界に浸透し、様々なアプリケーションを複数駆使しながら成果を出すことが求められている現在、煩雑になる一方のアイデンティティ情報管理は企業の大きな課題の一つになっている。しかし、企業が活用しているシステム全体から考えれば狭い領域であるため、大手システム会社が専門の技術者を抱えて企業のニーズに応えることは難しいのが現実だ。その結果、アイデンティティ情報管理分野のエンジニアが育ちにくく、希少性が高くなっているという実態もある。このような背景もあって、同社が頼られる存在となっているのだ。

同社は業務システムの受託開発・SES会社として1988年に誕生したが、2000年代に入ると、ID管理の分野へ進出していった。
「きっかけは、国産の統合ID管理ツールを提供しているエクスジェン・ネットワークの製品を使って、ある企業のID管理の仕組みをフルスクラッチでつくるというプロジェクトを引き受けたことでした。その後、世界的スタンダートとして広く利用されている『Okta（オクタ）』も手掛けるようになる等、ID管理・SSO分野に特化して実績を積み上げてきています」（代表取締役社長・米田一樹氏）。

米田氏が語る通り、同社がアイデンティティ情報管理分野に進出してから15年あまりで数百件という実績を持っている。技術者も育っており、日本に数名しかいないOktaの資格を持ち、講師も務めている社員もいる。
また、社員数40名ほどという規模としては珍しく、大手SIerとは一通り取引があるのも強みだ。
「実績を評価いただき、プロジェクトの最上流工程から参画することも少なくありません。セキュリティと利便性は相反するところがありますが、ユーザー企業の要望を踏まえて最適なバランスの提案をするための引き出しの多さも評価いただけています。あとは、スピード感を持った仕事ぶりとやり切る姿勢が強みでしょうか」（米田氏）。

アイデンティティ情報管理の仕組みは、既に企業においてインフラと呼べるものになっているため、安定的にニーズが発生する。そのため、この分野で多くの実績と幅広い取引先を持つ同社の事業基盤は安定しているとも言える。しかし、そこに甘んじるのではなく、さらなる成長を目指した取り組みも始めていると米田氏は語る。
「ID管理やSSO分野でも、国内外で新しい製品が登場しています。それらに触れ、研究しながら取り組むべきかどうかの取捨選択を行いつつ、当社として扱える製品を増やしています。また、一口にセキュリティといっても、ネットワークセキュリティもあれば、クラウドセキュリティ、エンドポイントセキュリティ等いくつも種類があります。そのため、アイデンティティ情報管理で培ったセキュリティ技術を応用できる領域、例えば、端末制御等へ広げていくことも検討中です」

ローコードやノーコード開発への注目が高まりつつあることから、「Microsoft365」、中でも「Microsoft Power Platform」による業務アプリケーション開発にも力を入れている。
「『Microsoft Power Platform』はローコード・ノーコードのプラットフォームで、多様な業務を効率化したり、自動化したりできるものですが、企業が自社で全て開発するには専門知識が求められる部分もあり、まだまだハードルが高いのが現実です。そこで、まずはアプリケーション開発のお手伝いをするところから始めて、ゆくゆくはお客様が自社内で開発、改善までできるように教育のお手伝いもできるような体制をつくっていきたいと考えています」（米田氏）。
さらに、「まだ私の頭の中で考えているだけですが」と断りを入れつつ、「エコシステムをパッケージ化して販売していく」ことも想定しているそうだ。

同社は、現在8年間連続で前年比110%成長を実現している。米田氏が語った成長戦略を具現化していくことが、成長を加速させていくことは間違いないだろう。そのためには、新たな人材、新たな力が欠かせないのだ。

アイデンティティ情報管理という確固たる事業の柱を持ち、かつローコードツールによるアプリケーション開発等、新たなビジネスへの挑戦も行っている同社は、社員がチャレンジすることも前向きに評価している。
「社員を縛り付けることは極力避けて、自由と裁量を与えて仕事をしてもらっています。能力主義で、できる人材は年齢に関係なく責任あるポジションを任せますし、給料でしっかり還元するというのが、当社のスタンスです」（米田氏）。
この言葉の通り、入社3年目でマネージャーを任されている社員もいる。

能力主義というと、「社員皆ライバルで、雰囲気もギスギスしている」のではないかと思うかもしれないが、「質問や相談のしやすい、いい人が多い」と社員は口々に話す。リモートで働いている社員が9割ほどと多く、中には遠方在住の人もいるのだが、「直接おしゃべりしたくなる時があるので、そんな時は出社する」社員もいる等、社員同士の距離感は近そうだ。
「とはいえ、飲み会を強制するような人もいないので、それぞれがやりやすい働き方を考えて実行できる自由さがあります」（米田氏）。

ただ、仕事については能力主義ということもあり、スピード感を大切にし、自ら決断・行動できる社員が多い。その点、指示待ち型の人よりも率先して動ける人の方が馴染みやすいと言えるだろう。
「コミュニケーションが得意に越したことはありませんが、正直なところ、普通に会話できればOKです。それよりも、セキュリティはシステムの一部であり、ユーザーの利便性を考えながら最適な形を考えるには、自分の担当だけでなくシステム全体を俯瞰してみることが大切になります。そこまで意識しながら仕事に取り組める人がいいですね」（米田氏）。

現在、会社は鎌倉駅から8分ほどのところにあるが、2025年3月に場所を移転し、鎌倉駅から徒歩3分ほどのところへ移り、オフィス内の環境も刷新される予定。会社としても、さらなる成長軌道へ乗るため、様々な施策を検討・実行しているところである。
「このタイミングで、人材も増強していき、社員みんなと一緒に成長していきたいです。成長の過程では会社だけでなく、本人にとってもプラスになるものがあればいいなと思っているので、少しでも興味を持った方は、話をしましょう」（米田氏）。