株式会社オリエンタルインフォーメイションサービス

株式会社オリエンタルインフォーメイションサービス（以下OIS）の事業は主に2つ。組み込みシステムをはじめとする「製品開発系」と、企業の大規模システムに代表される「Web・ビジネス系」の２つのシステム開発サービスを行っている。

製品開発系では、モバイルやグラフィックス、複合機、車載機器、医療機器など高度な画像処理・通信技術を実現させるソフトウエア・ハードウエアの開発を行っている。

一方のWeb・ビジネス系ではWebシステムの構築やネットワーク通信技術などのソリューションを提供。暗号化や認証などの先端技術にも強く、クライアントの業務効率化などにも大きく寄与している。

大きな特徴が、受託先としてエンドユーザーとの直接取引が多い点だ。１０数年ほど前には１割程度だったが、現在は７割以上がエンドユーザーとの取引となっている。

OISが急成長を遂げてきたこの期間、世の中はリーマンショックの影響などで多くの企業が苦戦を強いられていた。受託開発を行うシステム開発会社の多くも例外ではない。そんな中で、中小規模の同社がいたって好調に推移してきた理由は、ひとえに「技術力の高さ」が認められているからにほかならない。

「我々が特に強みを発揮しているのが、バックエンド側の技術や知識です。例えばブレードサーバーのデバイスドライバーの開発や、LSIというチップの組み込みソフトウエアなどに代表されるような、一言でいうと『難しい技術』が得意なんです。クライアントから『これはできる？』と言われたことに応え続けてきたことが評価につながり、その積み重ねで、信頼も技術力も重ねてきたと自負しています」

こうしたスタイルが、OISならではの営業手法にもつながっている。実際、同社には営業専門部隊はおらず、社長と役員の一部が行うのみだ。それでも仕事が増え続けているのは、現場での技術力の高さを認められて次の受注に繋がっていたり、紹介など口コミの力が大きい。「だから、一度取引が始まると、長いお付き合いになる場合が多いんです」（総務部・秋山 氏）

さらに加えれば、「設計」に対するこだわりは相当のものがある。「設計こそ、技術者の命です。開発でかける時間は、『設計が4、コーディングが２、テストが4』といってもいいでしょう。拡張性があって稼働性が高く、メンテナンスが簡単でコードが安全。そうした”どこに出しても恥ずかしくない設計技術”を身につけることを大切に考えています」（秋山 氏）

今後についても明るい。たとえば複合機一つとってみても、そこに欠かすことのできないOSそのものを動かすための技術などに強いため、他社では替えがきかないのだ。「うちは場所を選ばずに仕事ができる、それだけの技術を持った会社なんです」と秋山氏。それはつまり、これからの日本の「ものづくり」を支える仕事ができる、という意味でもある。

そんなOISが求める人物像とはどんな人だろうか。安達氏は、以下のように断言する。

「今どれくらいの技術力があるかについては、あまり重視しません。うちでできる仕事のほとんどは、他社での経験がそのまま通用するようなものではないため、入社後にイチから勉強してもらうことも多くなるでしょう。よって、『学習能力が高い人』や『プログラムの技術を極めることに興味がある』といった、『本当に技術が好きな人』『職人的な素養のある人』がいいですね」

同社が徹底しているのは、成長というものを5年・10年という単位で見るとはっきり決めているところだ。入社してすぐに即戦力で活躍できるかどうかよりも、5年後・10年後に一流の仕事ができる人材になっているかが重要。よって、何よりも、その素養があるかどうかを重視しているわけだ。

「ですから、教育制度はきちんと整えています。座学で学ぶ時間もあるのですが、そこでは仕事の進め方やマネジメントといったことを理解してもらう程度。技術については現場で学んでもらいます。うちのプロジェクトの多くは4、5人のユニットで動くため、そこに入り、ユニット長の責任のもとで仕事を行います。ユニット内の仕事を切り分けてもらいながら、レビューしてフィードバックし、作ってみる。その繰り返しの中で、少しずつ仕事を覚えてもらえればいいです」（秋山 氏）

実は、同社の社員は全員が毎年昇給している。これは、全ての社員が毎年着実に成長し、仕事の幅を広げながら業績に貢献していることの証だろう。「技術者の腕を1年や2年で判断し、上がった・下がったなどと評価することはおかしいと考えています。まずは目の前の仕事に打ち込んでもらえる環境を作る。そうすれば、長期的に見ても人がちゃんと育つ可能性が高いと考えているわけです」（秋山 氏）

自社ホームページ内で、明確に設計された評価制度の内容が閲覧可能だ。本当の意味での「社員思いな会社」と言っても言い過ぎではないだろう。離職率が極めて低いところも、その証明といえる。

OISの社風について、秋山氏に伺った。「会社として、社員全員が一同に会して親睦を深める場を数多く提供しております。」

その一つが、入社2年目の社員が1年間の業務の成果を発表する「業務発表」だ。全社員が集まって彼らの成長を共有し、コミュニケーションをとっている。また、ボランティア活動も盛んだ。有志での参加となるが、これまでに幾度と、宮城県南三陸町などに足を運び、がれきの除去や農地開拓の手伝いなどに取り組んだ。「OISにも絆が芽生えていることを実感する場となった」と秋山氏。

転職者が半数を占めており、歓迎会は欠かせない。忘年会や新年会などの飲み会も多く、貴重な交流の場となっている。また、社員全員で行く「社員旅行」も特徴的だ。

「毎年12月の土日を利用して一泊旅行を実施している。伊豆や山梨、那須高原などへ一年の疲れを癒しに、また、社員同士の交流を深めるイベントとなっている。」（秋山氏）

教育制度については前述した通りだが、上が下にただ教えるというような一方的なものではなく、下のものが技術力を高めようと意欲を燃やすシーンが多く見られ、それが刺激となって組織全体にいい緊張感を与えている。

最後に、OISの今後について伺った。

「引き続き、エンドユーザーとの仕事を増やしていきたいです。やはり技術者にとっては、自分の関わった仕事が世の中で認知され、多くの人に使われるというのは幸せです。そうした幸せや喜びを感じるということが仕事の根本的なモチベーションになると思いますから、それに繋がる仕事の機会を増やしていきたいです」

「やっぱり、日本の製造業・ものづくりの技術は凄いものがあります。そこに関与し、本当の意味での設計、製造、テスト、工程管理や制作管理といったノウハウが身につけられる場所が、OISだということです」

「日本の製造業を支える会社」−−そのキーワードにピンと来たなら、ぜひ挑戦してみてほしい。