コンピュータシステム開発株式会社

コンピュータシステム開発株式会社（以下、CSD社）は、大阪市に営業拠点を置いて販売管理、倉庫の入出荷管理、給与計算、経理システムといった業務系システムの開発・保守業務をメインに行うシステム開発会社である。
得意とする業種は流通業、製造業、金融機関、公共・自治体の4業種だ。中でも最も売上比率が高いのが流通業で4割を占める。続いて製造業が3割、その他が3割、という構成となっている。売上の核をなす流通業と製造業はユーザー企業との直取引が多い。

直案件の営業において、同社が注力しているのは、これから伸びていこうとする中小企業の案件である。例えば、表札の製造から卸、小売りまで行う、業界トップシェアを誇る企業。同社が最初に関わった案件は、FAX OCRシステムの導入である。そのユーザー企業様では小売店などからの注文は、もともとFAXで受け付けていたが、受注数が増えるに従い受注処理が煩雑となり、表札イメ－ジをデザイン部に回すまでの受注処理に厖大なロスタイムが生じる事態となっていた。そこで同社がFAX OCRシステムの導入を提案。紙を出力することなくパソコン上で受注処理を完結させることを可能とした。その結果、生産性が向上し、売上高は年々倍増中だ。同ユーザー企業に対しては、この他に一般消費者が自身で操作し、表札のデザインイメージを作成・発注できるWeb表札シミュレーターの開発も行っている。

案件のスタイルは、受託と派遣の両方があるが、近年は受託案件でも、クライアント企業の情報セキュリティルールに則って客先に常駐して行うことが増えている。そんな中で、同社のエンジニアは、クライアントからの信頼が厚く、一度アサインされると長期間に渡って契約更新を重ねるケースが多い。中には18年に渡って契約が継続されたエンジニアもいる。
強みは何と言ってもエンジニアの質だ。技術力、業務知識、対人スキルをバランスよく備えていることが、クライアントからの厚い信頼に繋がっているのである。常駐先では、プロジェクトマネ―ジャーを任されているケースもある。

「お客様も、技術力があるだけでは、人を選びません。この人に任せておけば何とかしてくれるだろうという信頼感が必要です。弊社のエンジニアはしっかりとした技術力はもちろんのこと、人間性が軸となりお客様との関係性をしっかり勝ち得ています。それが安定して技術者を常駐させることができている要因です」（代表取締役・伊藤嘉之氏）

当然ながら新規プロジェクトの引き合いも多い。既存クライアントだけではなく、新規クライアントの案件も控えている。それらの数は、在籍するエンジニアだけでは対応しきれないほどだ。

CSD社の創業は1979年。実に30年以上の歴史を持つ会社だ。バブル崩壊など時代の荒波も乗り越えてきた。特に伊藤氏が代表取締役に就任して以降は、堅実な経営で持続的な成長を果たしてきた。

伊藤氏は日本電気㈱の情報処理部門出身で、長年、流通系業務システムの開発に携わってきたエンジニアだ。現在、CSD社が流通系に強みを持つのはそのような事情がある。1980年代後半に、ある縁からCSD社に出資することになり、1999年には代表取締役に就任した。折しも景気低迷のあおりを受けていた時期。伊藤氏は様々な改革を行い、経営の安定化を進めた。それまでに築いた人脈を活かして仕事を増やし、継続的な採用を行った。そしてゆるやかではあるが着実に規模を拡大してきたのである。

当初は大手SIerやコンピューターメーカーなどの案件を手掛けていたが、徐々に比重がユーザー企業との直案件に移っていった。

「ユーザー企業との直取引の醍醐味は、顧客企業の発展を見ることができるところです。こちらからも主体的にコミットできるし、お客様からダイレクトに反応を聞くことも出来ます。場合によってはお客様自身が問題点を把握していないケースがあります。外から見ているからこそ見えることを、提案につなげられる面白さがあります」（伊藤氏）

現在（2015年4月）、CSD社に在籍するエンジニアは20名。今後はこれまでにない規模感で人員を増やしていく計画だ。増えるニーズに応える上でも、新しい人材の確保は緊急に解決すべき課題だ。しかし採用に力を入れる理由はそれだけではない。次世代を担う若手層を育成する意図もある。2015年度からは新卒採用にも乗り出している。さらに受託開発に続く、第2、第3の事業の柱を築く計画もあり、そのための要員確保も必要だ。過去には自社パッケージやASPサービスの開発・提供を行っていたが、より積極的に自社プロダクトや自社サービスの開発・提供に取り組む考えである。

“人は宝”

これは、伊藤氏が掲げてきた経営方針だ。

「私は企業という実態はないと考えています。そこにあるのは“人”だけです。人が本質です。法人という人格があるとも言われますが、企業という性格上、その法人という人格は利益を求めます。その過程で人に無理がかかることもあります。弊社は利益優先ではなく、人間中心の経営を進めて行きたいと思っています」（伊藤氏）

だからこそ極端な拡大路線はとらずに、堅実な経営を続けて来た。ベンダーとの関係を大事にしつつ、ユーザー企業との直案件を増やして来たのもこのためだ。その経営方針を背景に、同社では低い離職率を維持してきた。特に2014年度までの10年間は退職者ゼロだ。これからも次世代を担う人材育成に努めるだけではなく、より長期雇用が実現しやすい環境を整備する考えで、ベテランエンジニアの将来のキャリアステップの受け皿となる新規事業も模索中だ。

こういった経営方針のもとに集まる社員たちはやはり堅実で誠実なエンジニアたちだ。

「いつも面接で聞いていることは、あなたにとって仕事って何ですか、ということです。私は仕事とは、ただ単に経済的な糧を得る為のものであってはいけないと考えています。1日の起きている時間のほとんどを会社で過ごすわけです。その間に色々な経験をして欲しいと考えています。技術的なノウハウを得ることは最低限必要ですが、最も大事なことは人間性を高めることです。弊社の社員は殆どの人が結婚して、子供も作り、家も持っています。これは立派だなと思います。幸せの価値観は様々ですが、人間性を高めるということは結局幸せに生きるために必要なことです。その幸せを各自に探して欲しい。そのための職場環境を提供しているのが会社です」（伊藤氏）

同社には地元大阪や関西エリアだけではなく、関東地方や九州からも応募がある。直近で採用した2名もそれぞれ東京、横浜から引っ越してきたエンジニアだ。30年以上の事業実績や豊富な業務知識と技術力をベースにした安定性に魅力を感じ、また、企業理念に共感しての入社だ。

エンジニアとしては幅広い業務知識が得られることが同社の魅力だ。一口に販売管理といってもメーカー、小売業、商社、物流では全く異なる。それぞれの業務知識に精通することは、培った技術力を生かす上で不可欠な要素だ。
同社ではそういった業務知識や最新の技術を身に着けることを促すために、自己啓発申請制度を採用している。社員ごとに1年後、5年後のビジョンを設定してもらい、その達成に向けたプロセスを明確化する。その上で本人と面接を行い、より具体的な目標を設定するとともに、達成に繋がる仕事にアサインする。そして1年後に振り返り目標達成度により職能給が決定されるという仕組みだ。努力のポイントが明確なので、着実なスキルアップが望める。

「長期的には事業承継という課題もあります。これまでに培ったスキルや積極性を活かしてどんどん事業にコミットしていただければと考えています。弊社の企業理念に共感し、社風に魅力を感じる人は、ぜひ話をしに来てください」（伊藤氏）