兼松グランクス株式会社

兼松グランクス株式会社はスマートデバイスにフォーカスしたメディア事業とコンテンツ事業の両輪で展開する企業だ。メディア事業ではユーティリティアプリやWebメディアの運営を行う。コンテンツ事業では電子書籍・動画コンテンツの取次事業の他、自社開発の法人向けSaaS『Crefar CMS』の運営を手がける。
大手総合商社である兼松株式会社のグループ企業として発足して以来、変化する市場のニーズをいち早く捉え、柔軟に対応することで成長を遂げてきた。
同社は今、第三創業フェーズといえる転換期を迎えている。成長の新機軸として、戦略プロダクト『Crefar CMS』を武器に企業のDX推進を支援するデジタルエージェンシーへの進化を打ち出したのだ。
強みを結集した新たなビジネス展開を本格化する同社は、核となり得る人材を求める。

同社は兼松グループでモバイル端末販売を行う会社の一部門を、戦略的にスピンオフする形で設立された。2006年の創業期はモバイル向けの広告代理事業を展開。その後、電子書籍ビューアを提供する企業へ出資し協業体制を敷く。その中で出版社やライセンサーとの関係を広げ、電子書籍の取次事業を開始した。現在も続く、同社の主力事業のひとつだ。
さらに大手ゲーム会社の受託開発やグラフィック制作、スマートフォン向けシミュレーションゲームの運営を手がけ、エンタテインメントソフト領域での実績を重ねていく。

蓄えたノウハウを活用して開発したスマートフォン・タブレット用ユーティリティアプリ『Clipbox』は、シリーズ累計で3,000万を超えるダウンロード数を記録し大ヒットとなった。
2019年には法人向け事業の強化を見据え、SaaS型のWebサイト作成ツール『Crefar CMS』をリリースする。
こうして同社は硬軟を併せ持つ独自の強みを確立した。コンシューマに支持されるUI/UXのノウハウとグラフィックの美しさ、法人向けに対応する技術力とサービス運用力である。

スマートデバイス向けサービスを軸に多彩な事業を展開してきた同社は培った強みを融合し、新たな柱となる事業の拡大を目指す。
背景には現代社会の激しい変化がある。目まぐるしいスピードで世の中が変化する今、企業が勝ち残っていくためには競争上の優位性を確立しなければならない。また労働人口の減少や既存ITシステムの老朽化も課題となっている。
こうした喫緊の課題の解決にはデータとデジタル技術を活用したビジネスモデルの変革、すなわちDX（デジタルトランスフォーメーション）が必要不可欠だ。大きなうねりの中で同社はデジタルエージェンシーへと進化し、同社だからこそ可能なDX推進ソリューションを提供していく考えである。

同社が見据える未来像はどのような姿なのだろうか。そして、どう実現していくのか。代表取締役社長の澤田忠氏に話を聞いた。
「Crefarは専門知識を持たない人が簡単にWebサイトを作ることができて、直感的な操作で管理できるよう開発したSaaS型CMSです。手軽に始められるプランから、デザインカスタマイズやサポートを含んだ手厚いプランまで複数の選択肢を用意しています。2019年のリリースから着実に導入社数が増える中で、“作成したサイトをベースに商品を拡販したい。良い方法はないか”といった相談が寄せられるようになりました。当社は自社サービスにおけるプロモーションの知見があるので、SNSなどを活用した施策を提案し運用も任せていただくことに。その結果、売上向上に貢献することができました。この経験がCrefarの存在意義を見直す契機になったのです」（澤田代表）

企業はWebサイトを作成するためにCrefar CMSを利用する。用途はコーポレートサイトの刷新であったり、サービス・商品の特設ページであったり、採用サイトの新設であったりと様々だ。そしてその先には、企業イメージの向上や売上拡大、優秀な人材の採用等、必ず「目的」がある。
澤田代表は「当社には前身の部門時代を含めて、携帯電話がインターネットに繋がり始めた黎明期からモバイルインターネットにフォーカスした事業展開による長年の蓄積があります。現在、インターネットの中心はスマホであり、その進化・成長の過程を知る当社の知見を形にできないかと思案し導き出したのが、“Crefarを起点にしたDX推進支援”です。これは当社にしか提供できないソリューションであり、そこに新たな可能性を見出したのです」と話す。

具体的にはこうだ。ラベル印刷プリンターの製品紹介サイトの立ち上げに当たり、Crefar CMSカスタマイズプランへの問い合わせがあった。ヒアリングの結果、同社はサイト構築に留まらず、女性向けメディア運用の知見を活かしたSNS運用やデジタルマーケティングの実施、Eコマースサイトの運用も担うこととなった。その結果、新たな顧客層へのリーチに成功し、販売数増加につながった。
新卒者採用に課題を抱えていた家畜用飼料の生産・販売会社には、ターゲットである若者を意識した採用ページや、わかりやすく親しみやすい会社紹介動画、SNS活用の提案を行った。従来の採用手法とはガラリと様相を変えたことで、応募件数を大きく伸ばし優秀な人材の採用につなげている。

これらは顧客のニーズを満たしただけでなく、人手による既存の営業手法・採用手法の変革にもなった事例だ。担当者は活動に割いていた時間の一部をWebサービスに振り分けることで作業工数を削減した。効率化によって空いた時間は、新たなサービスの創出や取り組みに使うことができる。

さらにCrefar CMSは柔軟性と拡張性に富んだヘッドレス設計の次世代型構造である。API連携が可能であり、データベースに蓄積した情報を様々な形で活用していくことができる。Crefar CMSが顧客のDX実現への「起点」となるのだ。

澤田代表は「これが“Crefarを起点にしたDXソリューション”の意味するところであり、“作るのその先へ”をテーマとして掲げる背景です。ツール提供に特化したSaaSベンダーではなく、デジタルエージェンシーとして顧客に並走しDX推進に寄与していく考えです」と力強く語った。

成長戦略を進めていくにあたり、新たな人材にかける期待は大きい。
「顧客の要望をヒアリングして施策に落とし込むコンサルティングスキル。Webサイト制作を進める上でのディレクション経験。運用後を見据えての全体プロデュース能力。すべてを兼ね備えている必要はありませんが、このようなスキルや経験をお持ちの方は即戦力として活躍していただけるでしょう。エンジニアではユーザーとのタッチポイントが重要になるため、フロントサイドの人材を求めています」と澤田代表。
期待を口にする一方で、「そうは言っても、実際は働いてみないと仕事の中身はわからないもの。そのため経験や経歴以上に、人物重視で選考したいと考えています」と続けた。

人物重視を明言する同社はチームワークの良さが持ち味だ。マネジメント側でも仲間意識を高めることに留意してエンジニアやデザイナー、セールス等、異なった職種が一丸となって取り組む体制を整えている。
また関係性が築かれた顧客との直接取引がメインのため交渉がしやすく、厳しい納期や無理難題を押し付けられることがない。落ち着いてプロジェクトに取り組める立ち位置である。
東証プライム上場企業である兼松のグループ会社であることからも、社員の心身の健康に配慮した労働環境整備への意識が高い。こうした要素が合わさった職場は働きやすく、和やかな風土だ。
「仕事ですから緊張感は保ちつつも、全般的にはリラックスして取り組めています。社員同士の会話にもピリついた雰囲気はなく、余裕が感じられます」と澤田代表は微笑む。

一方で歴史ある総合商社のグループ企業でありながら、保守的な慣習はない。年功序列が一切なく、成果次第で昇進が叶う。実際若くして執行役員やマネージャーの職に就き、事業を大きく動かしている者もいる。
昇進に興味がなく、技術向上や現場主義を追求したい者もいるだろう。その面でも同社は手厚く、新たな技術やスキル取得への支援を積極的に行っている。それぞれの志向や思いを無視することなく、面談ですり合わせながら各自の自覚と責任を促す社風だ。

澤田代表は「Webサイトの制作に留まらず、様々な“作るのその先”を一緒にやってもらえる人、興味を持った人に来てほしい。そこには無限の可能性が広がっています。作るのその先へ一緒に踏み出しましょう」と呼びかける。
新たな成長フェーズを迎えた兼松グランクスは、思いを持つ人材との出会いを求めている。