株式会社グローマス

株式会社グローマスは、歯科医師・歯科衛生士など歯科従事者に対する人材サービスや歯科医院の人事労務を一括管理、集約できるクラウドサービスの展開、そのほかWEB系メディアを発信し、全国の歯科医院に対して事業を展開する会社だ。

設立は2014年5月で、本社を千代田区神田に置く。
サービスとしては主力である人材事業の人材紹介サービスや求人広告サービス、「シカポチ」クラウドサービスを用いて人事や労務などのDX化を行い、それぞれの領域に競合となる会社はあるものの、歯科専業の会社というポジションを取っている会社としては唯一の存在だ。

グローマスの優位性は、一つが歯科専業カンパニーであること、もう一つが「エス・エム・エス」マフィアというブランドにある。前者は、集約した情報を経営リソースを分散することなく「あらゆるサービスの着想、運営、営業活動」において活用が可能になることにある。後者については、看護師紹介事業を中心に急成長を遂げ、2008年にマザーズに上場すると2011年に東証一部上場企業へと駆け上ったメガベンチャー「株式会社エス・エム・エス」の出身者が立ち上げた会社、ということだ。

ちなみに「～マフィア」とは“いい意味で暗躍している人”という意味で、テスラ・モーターズのイーロン・マスクやLinkedin創業者、リード・ギャレット・ホフマンなどは「PayPalマフィア」と呼ばれている。代表取締役社長を務める海田大介氏は慶應義塾大学大学院を卒業後、IBMビジネスコンサルティングサービス株式会社（現在は日本アイ・ビー・エム株式会社と経営統合）に新卒入社し、入社から4年後に１回目の独立を経験。研修会社を経営する傍ら、縁があったエス・エム・エスでコンサルタントや人事としても従事した。その後、エス・エム・エスに正式入社し約2年間在籍。退職後も引き続きエス・エム・エスの業務に関わってきた経緯がある。

グローマスのビジネスの特徴は、歯科領域に特化しつつもビジネスモデルを固定することなく、課題解決に必要なビジネスを柔軟につくり、展開していく方針を採っていること。現在は人材紹介や求人広告、人事労務のクラウドサービスが主な収益源となっているが、新規事業（新たなビジネスモデル）も随時立ち上げが進んでいる。

グローマスが掲げるミッションは、「お口の問題解決を通じて一生の笑顔と健康に貢献する」ということ。体内と体外の接点となる極めて重要な器官である口。また、近年では口腔状態と全身状態の関係性を明らかにする研究や、咀嚼と脳の活性化などについても研究が進んでいる。グローマスは口の問題解決を支援し続けることで、世界中で生きる人々の笑顔と健康に貢献し続けることを、本気で追い求めている。

展開するサービスとして、「歯科従事者の人材サービス」では「シカカラ（人材紹介）」や、「シカミル（求人国）」を運営している。歯科に特化している会社だからこそ歯科に関する細かい情報を豊富に持っていて、例えばグローマスには歯科で従事していた社員も多数在籍し、歯科衛生士や歯科助手などの経験者もいる。メンバーは歯科医院見学や勉強会などにも積極的に参加し、歯科臨床についての理解を深めている。

もう一つの柱である「歯科医院向け労務支援システム提供」サービスでは、歯科医院内で人事や労務業務について「自走できる状態をつくること」を目指してサービスを展開している。人事や労務の業務効率化や生産性を向上させるため、クラウドサービスを提供している。歯科医院の院長先生の「やりたいコト」「お困りゴト」の課題、原因、解決策の整理と提案、意思決定、さらには一般的なコンサルティング会社ならタッチしない、“実行面”までしっかりコミットしていくのが特徴だ。

今後の展望としては、人材支援にとどまらず、さまざまなビジネスモデルを構築しながら歯科業界の課題を一つひとつ解決していく方針だ。歯科業界は法規制や業界慣習が多く、経営合理化が進みにくい特殊な業界構造を持つ。逆に、このような業界だからこそいろいろな問題が解決されないまま放置され、グローマスが貢献できるチャンスも多い。このような有利な環境を活かし、グローマスは近い将来の上場を見据えるとともに、歯科向けサービス世界一を目指している。

2024年9月時点の従業員数は46名で、平均年齢は30歳、男女比は3：7の比率だ。創業からの産休・育休の取得者は100％、今後も柔軟に制度設計をしていく予定だ。新卒採用は設立当時から行っているが、従業員は中途採用の割合が多く、外資系コンサルティングファーム出身、メガベンチャー出身、日系大手企業出身、歯科従事者など多彩なバックグラウンドを持つメンバーが集まる。

全社月の平均残業時間は20時間前後と、急成長中の会社にしては珍しく効率的な働き方が実現できている。社内には歯科関連の有資格者や、歯科助手、受付、事務長、歯科関連メーカーの営業経験者なども在籍しており、仕事や歯科業界について雑談しているのを聞くだけでも、歯科に関する知識が深まる環境だ。また、教育制度として都内の懇意にしている歯科医院に訪問し学ぶ機会もある。

また、ワンフロアで全員が見渡せる環境で、フラットな関係性を築きながら和気あいあいと仕事を楽しむ社風もある。オフィスに来訪する顧客からは、少し覗いてみて「みなさん楽しそうですね」という言葉をもらうことも多いという。

グローマスが掲げるビジョンは、「歯科医療における、あらゆるストレスをフリーにする」こと。歯科医療には歯科医院を経営する事業者のほか、歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士、歯科助手などの従事者、顕在/潜在の患者がいる。そして、それぞれが個々にストレスを抱えていると考えている。グローマスは、「どのようなストレスがあるのか」「なぜそのストレスがあるのか」「どうすればそのストレスをなくせるのか」を考え、また、単に考えるだけでなく「自分たちが実際に動いて、そのストレスをなくす」ことにコミットしている。

現在、上場を見据えていてベンチャーの急成長フェーズを体験できるグローマス。事業をつくっていきたい人、責任の大きな仕事を任されたい人にとっては、またとない環境だ。さらに、ベンチャーだからといって乱暴な事業を展開した結果、歯科業界全体に迷惑をかけることのないよう、歯科領域のルールやモラルを熟知しつつ、新しいサービスを展開していこうとしている姿勢も特筆できるだろう。