株式会社マイクロネット

組込システムの受託開発を中心に手がけている、株式会社マイクロネット。
CPUや各種デバイスなどのアナログ／デジタル回路設計のハードウェア開発から、ファームウェアの開発、さらにアプリケーションソフトの設計・評価までワンストップで対応できるところが大きな強みだ。

「従業員数60名強の規模で、ハードからソフトまでを一貫して開発できるところは、そうそうないと思います」と代表取締役の濵丈章氏は言う。この強みを活かし数多くの電機メーカーや精密機器メーカーなどの研究開発部門・システム開発部門における要素開発や試作開発を支援。
「研究開発で手が回らない試作部分をトータルでお任せいただくといったケースが多い」と営業統括の毛利邦宏氏は強調する。

さらに同社は“研究開発型”の企業として、長年にわたって「制御技術」「デジタル信号処理技術」「電子回路・信号処理のシミュレーション技術」というコアテクノロジーを日々進化させ、自社製品開発に活かしている。例えば、電子回路・デジタル信号処理シミュレータ『InterSim』、音で音を消すANC（アクティブ・ノイズ・コントロール）騒音低減試験システムやサーボアナライザー、さらに特許を取得した教育用のリアルタイムシミュレータ内蔵参考書ソフト『IS Bookシリーズ』もリリースしている。

そんな同社の顧客には、セイコーエプソン、デンソー、東京エレクトロン、トヨタ自動車、ニコン、ノーリツ、ヤマハといった大手メーカーや、大阪電気通信大学、東京工業大学、東京理科大学などの大学および全国の専門学校や工業高等専門学校、工業高校が名を連ねる。

「古くからのお客様と継続してお付き合いがある背景としては、納期・品質に対して信頼して頂いているからこそです。」と濵氏は胸を張る。

同社は1990年7月に本社及び東京事業所を東京大田区に、信州事業所システム開発センターを長野県塩尻市に設立。ソフトウェア・ハードウェアの設計開発業務の受託及び各種電子機器のOEM設計業務を開始。1995年には本社・東京事業所を川崎市に移転。

同社のコーポレートキャッチフレーズは“創造と信頼のテクノロジー”。企業理念は次のとおり。
「私たちは常に未知なるものに積極的に、果敢に取り組み、技術精鋭な企業であり続けることを目指します。また、社員個人の教養・人格を高めることに努め、その豊かな人間性こそを企業の最大の資産とし、パートナーとしての高い信頼性と、独創的な商品・サービスを社会に提供し続け社会発展に貢献します」

現在、東京事業所は関東地域を中心に、信州事業所・システム開発センターは中部・甲信越地域を中心に受託開発を行っている。
一部のお客様に対してはマイクロネットのコア技術である「制御」「ディジタル信号処理」「電子回路・信号処理のシミュレーション技術」を活かした提案を行っているが、「どこの会社でもできるような仕事ではなく、当社にしかできない仕事が手掛けられるような会社にしていきたいと思っています。そのためには、個々の社員の能力を伸ばすと共に、お客様に対してコア技術を活かした提案をより増やして行きたいと思います。」と濵氏は語る。

人材育成の一環として、同社はエンジニアの業務環境の充実に力を入れている。その一つが、開発用の機材。高性能なオシロスコープなどを揃えて高度な開発環境を整備するとともに、大手企業に対する営業活動で開発環境をアピールポイントとして活用もしている。こうして獲得した難易度の高い案件によって能力も向上していくといった好循環を生み出している。
「上がった利益は社員・株主に還元すると共に環境整備にも再投資し、事業拡大を行っています」（濵氏）

業務に関連する外部資格の取得に対し、表彰および奨励金の支給。そのほか、有償セミナーの受講は会社が費用を負担して支援するとともに、受講内容を他のメンバーにもレビューする機会を設けて全体の知識習得にも繋げている。「さらに、年に1～2回『成果発表会』を開催し、お互いの業務内容や成果を学び合っている」と東京事業所・所長の荒牧孝和氏は言う。

同社の風土について、毛利氏は次のように話す。
「一般的に、多くのシステム開発会社では営業と開発の間に壁や溝があると言われていますが、当社には見当たりません。見積もりや仕様変更といったことには必ず両者が絡みますし、開発リーダーの誰もが『できるだけ利益に繋げるために円滑に進めよう』といった意識を持って業務に当たっています。風通しは本当にいいと思いますね」

浜氏は年頭に当該年度の方針や目標を、その後に事業計画を全体で共有することを徹底し、全員が同じ方向を向いて業務に就くよう働きかけていることが大きな要因だろう。

一方、柔軟な働き方ができる風土もポイントだ。
「平均残業時間は月20時間程度で、年間休日は125日あります。さらに子育て中のママ社員には子供が急に熱を出した時は柔軟に早帰りしてもらうといったように、ワークライフ・バランスにはかなり意識して取り組んでいます」と荒牧氏。

そんな同社が求める人材について、濵氏は次のように話す。
「自発的でやる気がある方。それさえあれば、伸びていけると思います」
独自の技術力を発揮し、顧客にとって“なくてはならない”存在となっている同社。技術者として大いなる強みを身につけられる環境がある。