株式会社トライスパイド

株式会社トライスパイドは、ブライダル業界向けの業務支援ツール『TASCUT（タスカット）』やノーコードで婚礼サイトを作成できるHP制作ツール『FUWEL（フューエル）』、業界最先端のERP（基幹システム）『SIRCLE（サークル）』を提供している企業である。

同社設立のきっかけは、共同創業者の西信伍氏が勤務していた大手IT企業時代にさかのぼる。長く旅行業界に携わっていた西氏だが、ブライダル領域も同時に担当する機会があり、双方の業務管理スキームの違いに衝撃を受けたことが発端となっている。

「ITツールの活用という観点で比べると、旅行業界よりも圧倒的にブライダル業界が後れを取っている事実を知りました。旅行業界の“あたりまえ”は、きっとブライダル業界の皆様にも喜んでもらえると確信したことが、『TASCUT』をつくったきっかけです」（西氏）

ブライダルサービスの中核を担っているウェディングプランナーは、情報メディアを活用した集客からカップルの接客、挙式準備にいたるまで、幅広いタスクを実行・管理していることから、労働時間がふくらんでいるケースが少なくないという。そこにITを活用し、業務を最適化しようというわけだ。

この西氏の企画・アイデアを元に、西氏の同僚であった竹中氏を中心に開発したのが『TASCUT』である。

「ウェディングプランナーの業務をサポートしたい！という想いはもちろんありましたが、それと同時にブライダル業界に変革を起こしたいという想いもありました。とりわけブライダル関連の情報入力の労働リソースは、上位メディアが独占しているためそれ以下メディア入力にまでの手が回っていない現状があります。それが『TASCUT』を使えば、一度の情報入力で契約しているすべてのメディアに情報を載せることが可能になります。情報発信・情報収集の平等なプラットフォームをつくることで、業界全体の健全な競争につながる。ウェディングプランナーの業務効率化を実現することで、接客サービスの向上、成約率向上、しいてはカップルの満足度向上につながり、業界全体を元気にすることができると思ったのです」（西氏）

『TASCUT』リリース後、複数のメディア管理を一元化できる業務支援サービスの市場は急速に膨らみ、現状では大手結婚式場のほぼ全てがなんらかの業務支援サービスを利用しているとのこと。その中でも『TASCUT』は業界1位のサービスとしてほぼ上位式場グループを独占している。
また、HP作成ツール『FUWEL』も予約数が増える集客ツールとして確固たる地位を築き、順調にその契約数を延ばしている。

2022年に入ってからは上記に加え、業界初となるERPの概念を組み込んだ基幹システム『SIRCLE（サークル）』をリリース。
画期的な機能を幾つも搭載した業界待望の基幹システムとなっており、既に問い合わせが殺到している状態だ。

集客・来館・施行・経営分析まで婚礼に関わる全ての業務を一気通貫でサポートできるシステムが整い、現在は各分野の強化に向けて、開発・サポート・営業と全職種での採用を強化している。

『TASCUT』を導入している会場は、現在650を超える。メインユーザー層である「複数メディアと契約している結婚会場」が全国で1200ほどであることから、既に業界スタンダードのサービスになったと言える。また、今後のサービス展開について、同社は以下のポイントを挙げている。

1つ目は、ユーザーへの更なる価値提供だ。現在は「複数メディアが一元管理できる」「入力しやすい」といった“省力化”の価値提供がメインとなっているが、今後は蓄積データを活用した“分析・マーケティング”の機能強化に力を入れていくとのこと。

「ブライダル業界で日本一の利用シェアを持つサービスはゼクシィですが、ゼクシィが持っている情報はゼクシィの情報だけ、弊社は業界TOP650会場の利用する全て婚礼メディアの情報をもっている。この情報をブライダル業界の方たちの集客/経営改善に役立てたい。」（西氏）

2つ目は、会場の自社サイトとの強化だ。コロナ渦による広告費削減をきっかけに、会場の自社サイトからの集客強化は切実な課題であることが浮き彫りになった。そのような中、同社のHP作成ツール『FUWEL』は、従来の概念に捕らわれない方法で、顧客が求める予算、リードタイム、成果の全ての課題に応えることができる。

「自社サイト制作には通常、製作会社との何往復にも渡るコミュニケーションや大きな予算が必要になりますが、ワイヤーフレーム作成やコーディング作業もノーコードで対応できる弊社CMSを利用する事で大幅に削減できます」（西氏）

3つ目は、同社で唯一、業界最後発となる基幹システムへの挑戦である。
もちろん最後発であるからこそ、同社としての勝ち筋も見えている。

「後発で作るならただ安いジェネリックサービスにするわけではなく、後発だからこそできる仕様設計、ブライダル業界に特化するからこそ実現できる利便性で差別化できる商品にしていきたいですね。」（各務氏）

これらのビジョンを具現化する上での課題は、ひと言“人材”に尽きる。
現在は機能・サービスの実装開発やそれに伴うWeb・システムデザインなどの業務が増えている状況だそうだ。

こうした課題を受けて、同社が期待する人材像について、取締役 兼 開発責任者の各務将士氏は次のように語る。
「まだまだスタートアップの段階だからこそ、自分で裁量をもって、自分でサービスを開発したいと思っている人に来てほしいですね。ユーザー視点に立って、開発側から提案できるタイプの人だと尚嬉しいです。そういった意味では、役割が細分化された大手企業や、なかなか任されない環境にいた人なども弊社にはピッタリですね」（各務氏）

各務氏は、同社のエンジニアとして働く魅力は、ユーザーとのつながりだと語る。

「やりがいは、サービスに対するユーザーの評価がカスタマーサービスを介してダイレクトに返ってくることですね。これは自社サービスの開発ならではだと思います。ユーザーの顔が見えるからこそ、より良いものを開発して喜ばれたいという欲求がわいてきます」

『TASCUT』は導入シェアこそ業界スタンダードになりつつあるが、集客支援の用途としては、ようやくベースができたところで、スタートラインに立ったばかりの段階である。そのため、エンジニアにはスタートアップに参加する気概で取り組んでくれることを同社は期待している。

いま、結婚式を挙げる人は減少傾向にあるという。ウェディングプランナーの業務を支え、婚礼メディアを盛り上げることで、より多くのカップルに結婚式の素晴らしさを伝えることができる。つまりブライダル業界の発展にもつながるのだ。そうした社会的な意義に魅力を感じられる人であれば、きっと日々の開発業務に意味を見出せるに違いないだろう。

エンジニアにとっては開発に没頭できるカルチャーと、チャレンジできる場が用意されている。
「ちょっとした機能改善であれば、朝に話して、すぐに取り掛かって、大概のことは夜までには終わっていますね。とにかく目の前にある課題はすぐに実践するカルチャーです。大手企業になると些細な変更でも半年待ちというのがざらですが、当社ではあっという間に形にできます」（各務氏）

同社の代表取締役社長を務める竹中氏は、設立以前に技術畑も営業畑も経験している人間だ。開発側のこともよく理解していることから、技術に関するコミュニケーションも取りやすく、話もスムーズに通るそうだ。年齢も38歳と若く、よい意味で兄弟のような関係性で仕事ができるところも、エンジニアとして働く上ではプラスと言えそうだ。受け身にならず、どんどん社内に提案したいと思っている人に、ぜひお勧めしたい企業である。