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テックマート株式会社

  • IT/Web・通信・インターネット系

8期連続黒字。“生涯現役”と“自立”をテーマにプロのエンジニアを育成

企業について

テックマート株式会社は、大阪府吹田市、地下鉄御堂筋線の江坂駅近くに本社を置き、システムエンジニアリング(SES)事業を主体に事業展開するIT企業だ。大手SIerを主要顧客とし、客先に常駐して業務システムや物流システム、工場システム等の様々なソフトウェアの開発を行う。2014年7月の設立以来、コロナ禍の影響を受けた2020年度も含め、6期連続黒字を達成。従業員数約20名という小規模ながら安定した財務体質を築いている。

SES会社としての最大の特徴は、エンジニアファーストに徹した事業運営だ。特に“生涯現役”と“自立”をキーワードとして、50代になっても現役のプロフェッショナルとして活躍できるエンジニアの育成に重点的に取り組んでいる。

受注案件の選定では、その時々に世の中で最もニーズの大きい技術分野を重点的に狙う。世の中でニーズがある技術を身に付けることは、個々のエンジニアが時代の潮流に乗っていくということそのものであるからだ。創業時から現在まで注力してきたのがJAVAと.NETだ。そこに最近増えているWeb Frontを加えた3本柱に重点を置いて営業をかける。単価が高くても将来性のない仕事には手を出さない。反対にAIやビッグデータといったブームを追い求めすぎることもしない。世の中で最もニーズがある領域を堅実に追っていく考えだ。

そして、アサイン先を決めるときは、各技術者の多能化(複数言語化)を意識している。一つの言語に精通するだけでは、世の中の潮流が変わった時についていけなくなるからだ。営業を兼ねる代表取締役・大沼俊哉氏が個々のエンジニアと時間をかけてじっくりと面談しながらキャリアパスを設定し、それぞれのキャリアステップに応じた案件にアサインしていく。そのアサイン先を確保するため、大沼氏は常に新規顧客を開拓し続けており、結果として常に新しい顧客のプロジェクトは全体の3割程度を占める状況になっている。

「弊社の事業コンセプトは、お客様とエンジニアとWIN-WINです。お客様に良いサービスを提供しWINを感じてもらうことは当然ながら、その過程で、エンジニアのキャリアパスを構築し、エンジニア自身もWINであることが大切と考えています。今後、技術者不足の状況はより一層に進みますが、そういう状況であるからこそ、しっかりとキャリアを選択・構築すべき時期と考えています」(大沼氏)。

教育メニューもユニークだ。同社は3ヶ月に1回、全社会議を開催。その全社会議の日には『語りの場』や『学びの場』を設ける。『語りの場』では先輩社員から後輩社員へ、エンジニアとしてのプライドや勉強し続けることの大切さ、自らの成功体験、成功に至る考え方等を伝授。また『学びの場』では、労働基準法等の働き方に関する法律の知識、IT業界の時事ネタ、AED講習等、社会人として知っておくべき知識・教養を、外部の講師を招いて教授する。そういった教育を施す狙いは、あたまでっかちのエンジニアでなく、エンジニアとしての厚みや社会人としての成長もあってほしいという大沼氏の考えである。

「ここ1年は、政府が推し進めている働き方改革に即して特に労働に関する知識を重点的に教育してきました。IT業界はブラックだとよく言われますが、その理由の一つに36協定や休憩のルールなど理解していないエンジニアが多すぎると感じます。経営者もリーダーも労働者もそれぞれが働き方のルールを正しく理解する。これがあるべき姿と思っています。」(大沼氏)。

経済産業省のデータによると、2030年には40万から50万人という規模でエンジニアが不足することが予測されている。その一方では雇用のミスマッチが生まれ、現場で求められる技術に適応できずに仕事を得られない50代のエンジニアも大勢存在する。IT業界では、会社側の都合のみで非正規化を推し進めてきた側面もある。そういった現状に対する問題意識が、現在の同社の事業方針に反映されているのである。

創業者である大沼氏自身、SES業界で15年間以上の経験を持つエンジニアである。24歳の時に、全くの未経験でSES業界に入った。元々パソコン操作は苦手だったが、その苦手分野で、周りに勝てるスキルを身に付けることが出来れば、元々持っている強みとの相乗効果で圧倒的な強みに転換できると考えて飛び込んだ。ところが実際に入ってみると、メールを送ることはもとより、パソコンのシャットダウンの方法も分からない。大学でプログラミングを勉強してきた同期と比べられて、人生最大の挫折感を味わった。だが、それを機に必死で勉強を始めて、3年目にはベテランエンジニアと肩を並べて仕事ができるぐらいのスキルを身に付け、リーダークラスのポジションを担うまでになっていた。

「学校で勉強してきても、社会人になると勉強しない人が多いですね。社会人になってからのほうが、むしろ勉強は必要なのに。。。私はコツコツ勉強を積み重ねなんとか追いつくことができましたし、今後もコツコツ勉強します。諸先輩を見ていると地道に勉強を続けているエンジニアは、年齢を問わず活躍し続けることができることも分かりました」(大沼氏)。

そんな大沼氏が起業を志したのは、在籍していた会社がコンプライアンス違反を犯し、大手取引先から取引停止を通達されたことがきっかけだった。ちょうど携わっていた案件が佳境に入っており、投げ出すわけにはいかなかった大沼氏は、独立を決意し、引き続き個人で請け負い始めた。それがテックマート社の設立へと繋がったのである。

そういった経験がベースとなっていることもあり、大沼氏はテックマート社の運営においてはコンプライアンスの遵守を重視している。36協定に基づき、自社のエンジニアに対しては労務管理を徹底。派遣契約の場合でも請負契約の場合でも関係なく、責任を持ってフォローし続け、エンジニアが落ち着いて働けるよう支え続けている。そしてそういった姿勢は対外的な信用にも繋がり、同社が新規案件を獲得する上での大きな武器になっているのである。

「SESの業界は多層構造になっていて、責任の所在が曖昧になりがちです。その結果、過重労働になって心を病んでしまうようなケースもあります。誰もフォローしない、管理しない、アフターケアなしというのがこの業界の駄目だったところでブラックと呼ばれる所以です。そういったこの業界の反省を踏まえ、弊社はあくまでもコンプライアンス重視を貫く方針です」(大沼氏)。

2014年7月の設立からの3年間は3名から5名の体制を維持して会社運営の方針を固め、4期目に入って事業規模を一気に3倍へと拡大。以降、信念に基づいた事業運営を続けながら着実に会社を成長させてきた。そして現在は、3期目から4期目にかけて採用した社員が自己成長していける良い循環も生まれ始めている。だが一方ではエンジニアの管理や営業を大沼氏が一人で担っている状況が続く。そこで今後は現在の3倍にあたる60名規模にまで組織を拡大し、重層化することでリスクの分散を図り、盤石な組織体制を築いていく考えだ。

組織作りの上で大沼氏が大事にしているのは個人の尊重だ。会社のために個人が存在するのではなく、あくまでも個人のために会社が存在するという考えが根底にはある。会社が主催する勉強会や飲み会は当然全社員に参集を呼びかけてはいるが、必ずしも全員が参加する必要はない。スキルの多能化に関しても、決して強制するわけではなく、本人が必要性を感じて関心を示すまで根気強く働きかけながら待ち続ける。

「全社員が行動を一致させる必要はありません。リーダーをやりたい人もいますし、縁の下の力持ちが良い人もいます。いずれであっても、コツコツと勉強し、成長するエンジニアならそれで良い。会社ができるのはあくまでチャンスを与えるまでです。そのチャンスを拾うため日々勉強する重要性などやるべき指針を示し続けたいと考えて、色々な工夫をしています」(大沼氏)。

例えば、最近始めたのが社内副業制度だ。経験が浅い若手社員とのコミュニケーションを図る機会であると共に、現場業務以外の経験をさせる場として始めた。例えばオフィス内に新しく技術書棚を作るという社内プロジェクトを、入社3年目の若手社員に任せた。本棚を買ってきて組み立て、管理台帳を作成する。どんな技術書があればうれしいかアンケートを取る。当人は、副業手当として収入を得られるだけでなく、たくさんの技術書を整理することで、世の中の技術ワードを肌で感じたり、先輩方がかつて読んだ良著なども知ることができる。これは成長のチャンスそのものだ。

また、スマートフォンで読める社長からのメッセージ集も作っている。生涯現役のエンジニアとして自立することの大切さ、そのために何をしなければいけないか、通勤の合間にでも目を通せるよう電子書籍の形で作成し公開している。

「そういった考え方は、全社会議等で話をするだけではなかなか定着しません。会社はできるだけチャンスは与えます。しかし、チャンスは全員分平等にありません。そのチャンスをつかむためにどうするのかというメッセージを伝えたいのです。時間が空いている時にちょっと眺めてみるということを繰り返していれば、いつかそれがヒットする時が来ると思っています」(大沼氏)。

そんな同社が社員に求める資質は、真面目にコツコツと頑張ることができる下地だけだ。しかも、その頑張るきっかけをいかに作るかは経営者の仕事だと大沼氏は語る。

大沼氏の視点は限りなく労働者中心。その中でいかに仕事を取っていくか、チャンスを与えていくかに心を砕き続ける。国内の労働者不足が顕著になる中、外国人の雇用にも力を入れている。テックマート社は、自分が好きな働き方を実現する場として、また自分がどう働きたいかを発見する場として、全てのエンジニアに開かれた会社なのである。

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企業情報

会社名

テックマート株式会社

業界

IT/Web・通信・インターネット系 > システムインテグレータ・ソフトハウス

IT/Web・通信・インターネット系 > IoT・M2M・ロボット

IT/Web・通信・インターネット系 > ITコンサルティング

資本金

1000万円

設立年月

2014年07月

代表者氏名

代表取締役 大沼 俊哉

事業内容

■ ソフトウェア・WEBシステム等の企画・設計開発・システムエンジニアリングサービス
2014年7月の設立以来、コロナ禍の影響を受けた2020年度も含め、6期連続黒字を達成。

SES会社としての最大の特徴は、エンジニアファーストに徹した事業運営。
特に“生涯現役”と“自立”をキーワードとして、50代になっても現役のプロフェッショナルとして活躍できるエンジニアの育成に重点的に取り組んでいます。

株式公開(証券取引所)

非上場

従業員数

20人

本社住所

大阪府大阪市淀川区西中島1丁目9−13 クレアシオン新大阪ビル 502号

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