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株式会社ビズ・クリエイション

  • IT/Web・通信・インターネット系
  • マスコミ・エンターテイメント・メディア系

住宅業界のDX化を促進。地方の広告代理店からクラウドサービスプロバイダへ

上場を目指す
自社サービス製品あり

企業について

新型コロナウィルス感染症拡大の影響を受け、あらゆる産業においてデジタルトランスフォーメンション(DX化)が加速している。モデルハウスや完成見学会といった来場型イベントをフックに営業活動を行うことが慣習化している住宅業界においても、オンライン化の動きは活性化している。

注文住宅業界におけるイベント開催のオンライン化に先鞭をつけたのは岡山市に拠点を構える株式会社ビズ・クリエイションだ。緊急事態宣言が発令された4月、自社で開発する住宅業界向けクラウドサービス『Kengaku Cloud』に、オンライン見学会・オンライン相談会機能を追加。見学会のライブ配信、オンラインVR個別案内などを手軽に実施できる環境を実現した。

「3月下旬、住宅業界も集客が落ち込み、何とかしなければいけないという機運が高まり、オンライン会議システムを使った相談会の実施が目立つようになりました。しかし実施までの流れが、Webサイトのフォームで受け付け、メールでミーティングルームのURLを送るといった煩雑な仕組みになっていました。住宅会社もお客様も慣れていないため、スムーズな開催が難しい状況でした。そこでそれらの工程を全て自動化する仕組みを提供したいと考え、開発を始め3週間でリリースしました」(代表取締役・初谷昌彦氏)

緊急事態宣言のもと、『Kengaku Cloud』内で発生する予約件数は一旦大きく落ち込んだが、オンライン見学会・オンライン相談会機能を実装後は一気にV字回復し、8月の予約件数は緊急事態宣言前の通常月の2.5倍にまで達する結果となった。予約件数のみならず、着工件数も着実に増加している。

『Kengaku Cloud』は住宅業界専用クラウド予約受付・管理システムだ。CMSと営業支援ツールが融合したようなシステムで、集客イベントページの作成、自社Webサイトとの連携、Google Analyticsとの連携によるアクセス解析、予約受付管理、メールなどによる追客、営業進捗管理といった機能を備える。

従来、戸建住宅の設計・施工・販売を行う住宅業界のイベントでは、営業担当者が待機し、ランダムに来場する顧客を迎えて接客してきた。人件費やモデルハウス建設などのコストが非常に大きいため、集客量を増やす必要があり、多額の広告宣伝コストが必要となる。

『Kengaku Cloud』は、このような構造を長年に渡って維持してきた日本の住宅業界に「見学予約」という概念を持ち込み、集客の効率化と仕組み化、成約率の向上、経営の高収益化を実現させた。予約制にすることで待機時間がなくなり、営業担当者は商談に専念できるようになることに加え、購買意欲の高い顧客と1対1で商談できる確立が高まる。さらに『Kengaku Cloud』の各種機能によって、集客関連の雑務業務の大幅削減、成約1件あたりの広告費圧縮へと繋がるのである。

同社の創業は2008年。岡山県内の広告代理店に勤めていた初谷氏が、25歳の時に設立した会社だ。クライアントの集客を支援する仕事をする中、クライアントの要望を満たすだけではクライアントの為にはならないことに気づいたことが起業のきっかけだった。エンドユーザーのためにもなる広告活動をしなければならない、既成概念に囚われず新しい発想で事業を展開したい。その想いが起業家としての初谷氏の原点だ。

総合広告代理店からスタートした同社が、自社の強みを持つために特定の業界に特化することを考え、たどり着いたのが住宅業界である。きっかけは住宅業界における広告宣伝費の大きさだった。住宅業界では慣習的に売上高の3%が広告宣伝費に投入される。

「広告費だけではありません。イベント会場で何もせずに待機するスタッフがいたとしても粗利が大きいのでペイできてしまう。細かい無駄が積み上がっていても気づかない利益構造の業界です。他社より成果が上がる提案が出来れば、予算のリプレイスが可能であり、プラスアルファの予算を引き出すことも可能だと考えました」(初谷氏)

また住宅業界を調べていて気づいたことは、ほとんどの注文住宅を建てているのは地域密着の工務店であるということだ。大手ハウスメーカーの全国シェアは15%しかない。地域密着型の工務店には勉強熱心かつ経験値と技術力の高い会社が多いが、大手と比べて露出が少ないこともあってそれらの情報は生活者のもとには届きにくい。その情報の非対称性を正したいという想いが生まれたことも住宅業界に絞った理由の1つだった。

以降、地元工務店のプロモーション支援を行いながら、独自の取り組みを数多く行ってきた。現在も、地元工務店を紹介するWebメディア、工務店で家を建てた施主に取材して掲載するWebメディア、モデルハウス見学の予約に特化したWebメディアなど、複数の広告メディアを横串で展開するとともに、個社のプロモーション支援などを行っている。

全国には約5,000万戸の住宅があり、そのうち3,000万戸が一戸建てだ。単純に15%を除けば、工務店が建てた家が全国には約2,500万戸もある計算になる。それらを見学することが出来ればモデルハウスは不要だ。そこで考えたのが工務店で家を建てた人と、家を建てたいというニーズを持った人をマッチングさせるCtoCのプラットフォームだった。

しかしこの仕組みを成立させるには解決しなければならない課題が多数ある。まず、住宅オーナーが見学を受け入れるメリットがない。また、家を建てたい/買いたいと思った購入希望者に、相手の時間を予約して見学に行くという発想がなければそもそも成り立たない。

インターネットが発達した現在も住宅業界では、相変わらずオープン形式での見学会、相談会が実施されている現状を冷静に分析し、まずは従来型イベントに「予約」という概念を持ち込み定着させることからスタートしようと考えたことが『Kengaku Cloud』の開発へと繋がったのである。

『Kengaku Cloud』はこれまで"予約"を軸に住宅会社の集客から成約までの業務を支援する機能を充実させながら成長してきた。今後もその方向を維持し、さらにブラッシュアップすることを優先事項に掲げてはいるが、同社の目的は住宅会社の集客業務を効率化することにとどまらない。

オンライン見学会・オンライン相談会機能をリリースした後、「オーナー邸見学機能」をβ版としてリリースしている。本来は2020年春のリリースを予定して準備を進めていたが、コロナ禍の影響で優先順位が入れ替わった形だ。現在は地元岡山の工務店など、一部のクライアントに提供し実証実験を重ねているところだ。

入居中の家の見学は住宅業界で以前から行われてきたことだが、手続きが煩雑なためなかなか広がってこなかった。その障害を取り除くのが「オーナー邸見学機能」であり、モデルハウス建設の必然性に疑問を持ち始めた際に描いたビジョンを具現化する第一歩である。オーナー邸見学は、住宅会社にとっても見学者にとっても大きなメリットが生まれる。実際に住んでいる人の声は、見学者にとっては重要な参考情報となるし、住宅会社にとっては信頼を裏付ける情報となる。

今後、機能を充実させ、コロナ禍が落ち着く頃合いを見計らって本格的にリリースする計画だ。将来的には、新築戸建てに限らず、全国5,000万戸全ての家を見学出来るようにすることが同社の目標である。

人口減少が進む中、住宅は余り、中古市場が伸びている状況だ。今後はさらにその状況に拍車がかかるが、これまで家を買いたいと思った際に仲介業者を通さなければ物件を見学することが出来なかった。住宅の情報は仲介業者が握っており、情報の非対称性が生まれやすい構造となっていたのである。

しかし様々なCtoCプラットフォームが登場し拡大する中、住宅業界だけがブラックボックスを抱えたまま生き延びていくことは困難な状況となることは想像に難くない。全ての家を見学出来るプラットフォームが完成すれば、個人同士で家を見学することが一般的となり、さらには住宅を個人間でも売買できるようになる。それは住宅の買い方を根本から変えることに繋がる。

一方で、それでも新築をしたいユーザーは住宅に独自のこだわりを持つ層であり、そこでこそ高い志と経験、技術を兼ね備えた工務店の価値が高まると、初谷氏は考える。

「ある意味ではレガシーな業界に対する挑戦ですが、忘れてはいけない視点は住宅業界全体が儲かる仕組みとして変えていくということ。単純に業界を壊すだけでは駄目だと思っています。不幸な人を増やすだけというのは良いことではありません。あくまでも住宅業界を支援しながら、良い方向へと導いていく。それが弊社の目指す方向性です」(初谷氏)

社会全体がデジタル化を志向する中、『Kengaku Cloud』の需要は拡大している。全国の住宅会社は35,000社。ビジネスはこれからが本番である。同社は事業の成長を加速させるため、新機能の開発とブラッシュアップに注力中だ。それに伴い、マーケティングやカスタマーサポートに加え、エンジニアなど、あらゆる職種で本格的な採用をスタートさせている。

現段階で迎える人材は全て組織の礎となるべきメンバーだ。事業の進め方、組織作りなどにも、積極的に発言し、職種にこだわらず行動出来る人材を求める。そこで最も大事にしていることは、ミッションの共有である。職種を問わず、“住宅業界を変える、より良くする”という同社のミッションに対し、深く共感出来る人材を迎え入れたい考えだ。

現在、特に注力しているのはRuby、機械学習、データアナリストなどのエンジニアの採用である。エンジニアの採用においても技術が長けているというだけでは採用には至らないと初谷氏は言い切る。

「家は生活のインフラであり、家を提供する会社は非常に重要な役割を果たしています。しかしこれまで日本の社会では、家は大量に消費されるものであり、あまり大事にはされてきませんでした。しかしQOLという言葉があるとおり、今後はそういう状況は変わってきます。その時、地域の中で活躍する工務店は、“家のかかりつけ医”として重視される世の中になっていくはずです。その分、工務店はしっかり自分達の存在を社会に示していく必要が生まれます。そういう変革が進行する中で、誰も手を付けていない領域で“ファーストペンギン”として取り組めることを、私は非常に誇りに思います」(初谷氏)

『Kengaku Cloud』は、まだまだ成長過程のサービスだ。自分が手がけるサービスが、より多くの人々が使うサービスへと成長していく。その過程に携わることは、非常に夢のあることでもある。

会社の基礎を作る過程にも並行して携わることは、単なるキャリアアップや収入以上の果実をもたらしてくれることだろう。「自分の力を試したい」「自分の能力を底上げしたい」など、自分の可能性を開くことに貪欲に取り組める人材にこそ、ビズ・クリエイションの門は大きく開かれているのである。

募集している求人

エンジニア・技術職(システム/ネットワーク)の求人(2件)

求職者の声

企業情報

会社名

株式会社ビズ・クリエイション

業界

IT/Web・通信・インターネット系 > インターネット/Webサービス・ASP

マスコミ・エンターテイメント・メディア系 > 広告・デザイン・イベント

企業の特徴
上場を目指す、自社サービス製品あり
資本金

3700万円

設立年月

2008年02月

代表者氏名

初谷昌彦

事業内容

住宅会社向け予約受付・管理システム「KengakuCloud」の運営
住宅見学マッチングサイト「iemiru」の運営

株式公開(証券取引所)

非上場

従業員数

12人

本社住所

岡山県岡山市北区今3丁目16-5

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