株式会社ジェーピークリエイト

株式会社ジェーピークリエイトは「システム構築・運用」「調査・編集」「組版・印刷・在庫管理」と、三つの事業領域を持った情報処理サービス会社。『情報を集めて、まとめて、仕上げまで』をキャッチフレーズに、三つの事業を効果的に組み合わせることによって、クライアントのより細かいニーズに対応する事を強みにしている。

システム構築・運用では、設計・開発からデータベース構築、システム運用サポート・メンテナンスまで、ワンストップ体制で受託。マークシートの設計、読み取り等、システム開発の範疇に収まりきらないノウハウも持っており、デジタルとアナログ、それぞれの強みを生かしてクライアントの課題を解決する。

「システム開発は、当社のキャッチフレーズに当てはめるなら『情報をまとめる部門』に相当します。システムを開発するだけでなく、その前後との繋がりが当社の強み。テレマーケティングやストレスチェック等、情報を集めてそれを処理し、最適な形で出力するところまでが当社の仕事です」（代表取締役社長・坂本和恵氏）。

データベース構築はA社、テレマーケティングはB社、成果物作成はC社に分けると、データの引き継ぎや業者のハンドリングで担当者の負担も多くなる。データ引き継ぎが上手くいかずに収集した情報の精度が下がり、満足できる結果を得られないということも多々あるという。

「Web、郵送、マークシート、FAX、電話等、様々な媒体での情報収集を行い、システムとの連携によってデータベース構築を踏まえたマーケティングを提案しています。そのほかにも、学会やキャンペーン事務局、セミナー等の事務局業務の代行等、幅広い事業を手掛けています」（坂本氏）。

組版処理サービスや印刷の手配も手掛けており、自動データベース組版による大量一括処理を得意としている。きめ細やかな禁則処理・詰め処理・空け処理、またテキストBOX・画像の自動配置等、他社とは違った“かゆい所に手が届く”組版技術には定評がある。最新の組版システムと高い処理技術を駆使し、各種印刷物やCD-ROM、Webコンテンツといった製品化まで請け負っている。

「同じIT業界でも『システム開発会社』『SIer』とは、少し異なる毛色を持った会社かもしれません。当社が『情報処理サービス業』を名乗る由縁です。お客様のニーズに応える形で事業が増えていきました。リクルートグループや各種団体等、長年の取引がある企業からの依頼が中心で、事業の柱が三つもあることから業績も安定します」（坂本氏）。

ジェーピークリエイトの特殊な事業ポートフォリオには、確固たる理由がある。そのために、同社の歴史を紐解いてみたい。

株式会社ジェーピークリエイトの設立は2002年7月だが、前身となる協業組合東京ジェーピーは、都内の中小印刷業者19社が立ち上げた「文字印刷共同クラブ」を源流としている。この協業組合は、印刷業界にコンピュータを導入するための基礎研究を目的にしていた。

「1968年5月に設立された『文字印刷共同クラブ』は、印刷業界でコンピュータを活用するための基礎研究を共同で行うために設立されました。当時はパソコンもなく、汎用機が主流の時代。コンピュータで漢字を出力することもできず、文字印刷共同クラブがコンピュータで漢字を使えるようにしました」（坂本氏）。

印刷会社の協業組合として設立されたIT会社だけに、システム開発と組版・印刷の事業を手掛けるのは納得できる。では、調査・編集の事業はどのようにして生まれたのだろうか？

「私は長年リクルート社の担当をしていました。組版やデータベースの構築で取引があったのですが、ある時、それまでリクルートが自社で行っていた調査業務をアウトソースすることになり、当社に依頼いただくことに。とことんまでお客様のニーズに応えるのが、当社の営業スタイル。そこで、調査・編集部門を立ち上げ、リクルートグループの旅行サイトの制作補助を手掛けるようになりました」（坂本氏）。

こうして現在のジェーピークリエイトの主力事業が出来上がった。近年はオーダーメード開発だけでなく、これまでの経験とノウハウを生かして各種ソリューションをパッケージ化して『まるっとおまかせ』シリーズとして販売している。

「クライアントのニーズで作ったシステムを、簡単に導入できるようにしたのが『まるっとおまかせ』シリーズです。テレマーケティングやストレスチェック、オンライン検定試験、クラウド型顧客管理システム等、企業で必要とされるソリューションを提供しています。2020年5月には『まるっとテレワーク導入支援』を作り、テレワーク導入で困っている企業向けにリリースしました」（坂本氏）。

ジェーピークリエイトは、地味にコツコツとお客様のビジネスをサポートしてきた歴史がある真面目な会社である。『まるっとテレワーク導入支援』でも、テレワークツールを開発・販売するのではなく、既存のツールの中からクライアントに最適なツールを選定して、SEが導入をサポートするというスタンス。テレワーク助成金申請代行まで手掛けるという親切なパッケージを作るあたりに同社のカラーが見て取れる。

クライアントと真摯に向き合い、真面目にコツコツとクライアントのビジネスをサポートしてきたジェーピークリエイトは、一体どんな社風の会社なのだろうか？

「営業がガンガン仕事を取ってくるスタイルの会社ではないですね。今までの付き合いを大切にして、確実にお客様の要望に応え、仕事内容に満足してもらい、継続的な関係を築く。システムを作って終わりの関係ではなく、その後の運用も含めて、長い付き合いの会社が多いですね。年鑑の作成を請け負っていることもあり、毎年、同じような仕事が発生するのも特徴かもしれません」（坂本氏）。

クライアントの中にはITリテラシーの高くないところもあるため、ITに関する相談をまるっと受けることもあるという。

「お客様先に出向いてパソコンの設定をやる等『IT何でも屋』として頼られています。信頼関係を土台にビジネスをしているので、お客様との関係も良好です。お客様とのコミュニケーションを通じて、自分の仕事の成果を知ることができます。システム開発だけだと納品後のことは分かりませんが、お客様がどれだけ満足し、またどこに満足していないかが分かり、お客様満足を指標に仕事を進められます」（坂本氏）。

仕事の範囲が広いのもジェーピークリエイトで働く際のポイントかもしれない。サーバのことも、バックエンドのことも、フロントのことも知っていれば活躍できるフィールドがある。

「SIerが手掛ける大規模なシステムとは違い、小規模なシステムの開発だけにあらゆることを経験できます。バックエンドのプログラムをしているがフロントやサーバもやってみたい人も大歓迎。当社でならフルスタック的な動きができますよ。また、色んな技術を試すチャンスもあります」（坂本氏）。

上流工程を経験できるため、キャリアを伸ばしたいが、なかなか現場の都合で新しい領域や技術にチャレンジできないで悩んでいる人にピッタリの職場といえるかもしれない。

「平均年齢は36歳ですが、ベテラン層と若手層に二分されている感じです。ベテラン層は生え抜きが多く、定年退職を迎える社員も在籍しています。昭和から働いている人がいるIT企業は珍しいかもしれません。社長も新卒入社の35年目。若手層は中途入社ばかりです。中間層が少し手薄ですから、今後は経験者採用で中間層を埋めてバランスよくしたいですね」（坂本氏）。

IT業界の中で、独自の進化を遂げてきたジェーピークリエイト。パッケージ化した商品は、どれもビジネスの現場で重宝されるものばかり。今後の展開次第では、まだまだ成長の余地が十分にある。ジェーピークリエイトのアセットを使って、同社のこれからを担える人材に、是非チャレンジしてもらいたい。