株式会社パルシス

株式会社パルシスは1987年に創業し、30年以上の歴史を持つ独立系のシステム開発会社だ。エンジニアを大切にし、確かな仕事でクライアントと信頼関係を築くことで、今日まで堅実に成長してきた。その間にはリーマンショック、東日本大震災、直近のコロナ禍と度々逆境があったが、創業以来、一度たりとも赤字に陥ることなく、黒字を続けてきた。この事が、何よりも同社の地力の高さと堅実な仕事ぶりを示している。

創業後間もない時期から今も続く主要なクライアントは、本田技研工業（通称：ホンダ）と、汎用コンピューターを扱う大手IT企業だ。いずれもプライムまたはほぼプライムに近い立場で、数々のシステムの開発、運用に当たってきた。基盤構築系では、長らく金融機関の案件等も手掛けている。

パルシスは、長く信頼関係にあるクライアントとの間に安定的に案件がある一方で、そこに安住することはない。その時々の社会や産業が抱える課題を技術の力で解決すべく、新しい技術にも積極的にチャレンジしてきた。最近では、数年前からノーコード、アジャイルによるスピーディーでリーズナブルな開発に取り組み、長い付き合いの大手企業のほかにも数々の新たなクライアントを開拓。プライムの立場で、数々の受託案件を手掛けている。

同社の開発部門は現在、第1技術部から第4技術部の四つに分かれている。第1は大型コンピューターのシステム基盤構築、第2はオープン系およびクラウドのシステム基盤構築、第3と第4はJavaをメインとした受託開発で、第4がホンダ専属、第3はそれ以外という布陣になっている。今後は、第2、第3、第4の事業を強化し、より幅広な案件に対応することでさらなる成長を目指す考えだ。

ちなみに社名のパルシスは、仲間・相棒を意味する「Pal」と「System」を合わせたもの。クライアントとベンダーという立ち位置ではなく、仲間という意識で、強い思いを持ってお客様のシステムをサポートするという意味を込めた。同社は30年余り、まさにこの社名の通りの仕事ぶりを貫いてきた。

今後のパルシスの成長のエンジンとなるのが、組織でいうと第3の受託開発の部分だ。培ってきた膨大なノウハウを生かし、新しい技術領域にも果敢に挑戦しながら拡大していく考えだ。

同社の強みは、基盤構築からアプリケーションまでワンストップで対応できること。加えて、長くホンダの様々な業務システムを手掛けてきた経験から、特に製造業の課題解決に強みを持つ。同社の特色の一つが、ノンプログラミングのWebシステム自動生成ツール『Wagby（ワグビィ）』を活用した開発だ。自動生成できない部分はコードを書いて補うことで柔軟な開発が可能な一方、大幅に工数は削減され、スピーディーかつリーズナブルな開発を実現する。製造業の企業の基幹システムを開発した事例では、パッケージソフトをベースにすると膨大なカスタマイズが発生し、かといって特注すると予算オーバーするという状況で『Wagby』を活用。予算内で迅速に、クライアントが望む機能が実現できた。運用後は、生産効率も非常に上がったそうだ。

受託開発は比較的、中小規模のクライアントが多い。この規模の会社のIT化推進は、まさにこれから大いにニーズが見込まれる領域だ。第3技術部を率いる取締役の森川義昭氏は言う。「例えば製造業の場合、当社は、工場、販売管理、売掛買掛管理等、あらゆるシステムを総合的に手掛けます。特に中小規模のお客様の場合は、業務の一部だけということではなく、全体最適が必要で、しかも、お客様側はコンピューター部門を持っていないようなケースもままあります。お客様の業務に踏み込んで一緒に考え、基盤構築からワンストップで全てを提供できることが当社の強み。クラウドはもちろん、開発技法もスクラム、アジャイル等を積極的に取り入れて上流から開発、運用まで対応します。このような開発に興味ある人に、是非仲間に加わってほしいと思います」

パルシスが強みを発揮できる領域で、より多くのお客様の期待に応えるべく、人材を得て体制を強化したい考えだ。今後については「ほかの会社がやっていないことをやりたいと考えています。といっても、そこまで大がかりなことはできないので、例えば製造業の、特に会社ごとに独特な運用が求められる生産管理等、我々のノウハウやスキルがあれば大きな効果が出せるような領域で、サービスを提供していきたいと思っています」

ほかには、公共の開発案件も挑戦したい領域の一つだ。これまでも声掛けはあったが、人的リソースに余裕がなく、対応しきれていなかった。提案から開発・運用までの一連のプロセスを経験することで蓄積されるノウハウや、出来上がったシステムが社会に役立っていることを実感できるやりがい等が魅力だ。今後、挑戦していく。

そんなパルシスは社員を大事にする会社で、創業から30年余りにわたって黒字を続けているのも、社員と会社が信頼関係で結ばれ、共に頑張ってきたからこそ。人の出入りが多いこの業界で、同社の一番の自慢は「社員定着率95%」だ。離職率は極めて低く、一昔前は40歳定年、50歳定年等といわれるほど変化が著しい業界において、同社の社員は長く働き、年齢と共に技術やマネジメントの力を付け、それぞれの領域で活躍している。

「エンジニアを大切にするために、当社は、以前から働き方改革をかなり進めてきました。この業界は残業が多いことが普通ですが、当社は平均して月10時間程度。給与はみなし残業分を含めた年俸制に近いものなのですが、『みなし』をいいことに残業させる会社もある中で、私達はむしろ、減らそう減らそうと取り組んできました。フレックス制度も随分前から導入しています」（森川氏）。

2018年にはこれらの取り組みが認められ、東京都から「TOKYO働き方改革宣言企業」に承認された。テレワークも以前から実施していたため、コロナ禍でもスムーズに移行できた。

社員のワークライフバランスを重視する一方で、意欲があり、どんどんやりたいという人なら、それも叶う環境だ。一人ひとりのキャリアの志向や希望を聞き、できるだけ沿う形で仕事をアサインすると同時に、活躍した人材には報酬やポジション等の面で報いる。スペシャリスト志向、マネジメント志向等も考慮する。

「この辺りは社長の思いが強いです。どんな仕事、どんなプロジェクトでも納得して、好きになって取り組むから成果が出ると考えています。風通しが良く、誰でも普通に社長と話ができますし、こういうことをやりたい、勉強させてほしいなんてことも言えて、実際、結構やらせてくれますね。もっと言うなら、我々は、ずっとパルシスにいなければいけないとも思っていません。自分のキャリアアップの上で得意分野を伸ばせるところがほかにあれば、そこに行ってもいい。実際、一度辞めて戻ってくる人もいます。今、『一緒にやろう』という気持ちを持っていることが大事で、今、ライフとワークの両方をパルシスに投入し、頑張ろうと思っているなら、仲間として一緒にやっていきたいです」（森川氏）。

そのような思いを持つ人材が集結し、新しい領域にもチャレンジしながら、会社のステージをもう一段上げようとしているのが、現在のパルシスの姿だ。歴史の長い会社らしい落ち着いた雰囲気と、安定した収益基盤もある同社。基盤も含めて全工程を、お客様と一緒につくる開発スタイルも魅力だ。良き環境でじっくりとキャリアを積みたい人には、とてもいい会社だろう。