エー・アール・システム株式会社

エー・アール・システム株式会社は、1991年の創立以来、30年にわたって通信販売に特化した基幹システムの開発・販売を手掛けているシステム開発企業です。

クライアントは学研やキッコーマン、メルシャン、日本直販といったD2Cを手掛けるメーカーや大手通販会社等、約600社に導入され、年間の流通総額は1,500億円に及んでいる。

2018年に新開発した『通販Ace』は、従来システムで弱点となっていたECツール領域にも対応し、サービス提供開始以来売り上げを順調に伸ばしている。

従来、主要なECツールとして利用されてきたカートは、売上管理はできても、その後の入出金や出荷管理、仕入先への発注等に必要なデータ送信までは行えなかった。売上分析のためのデータ処理も自動化できず、これらがEC事業者の大きな課題となっていた。

このようなクライアントの課題を基に開発した『通販Ace』は、コールセンターや自社ECサイト、ショッピングモールといったあらゆる受注口から送られてくるデータを変換・連携させ、仕入先や倉庫・物流（WMS）、決済代行会社・債券管理会社、分析ツール（BI）、経理部門といった必要な場所に送信するといった機能を保有しています。更に、同一形式に統一されたデータを一元管理し、必要な情報を瞬時に取り出すことも可能にしている。
その結果、マーケティングやCSのためのカスタマー分析やきめ細かいサービス対応も効率的に行えるになりクライアントの成功を後押ししている。
「このデータの加工や出し入れ、並べ替えといった技術をコア・コンピタンスとして、どこにも負けないプロダクトづくりを実現させています」と代表取締役社長の中村恒彦氏は胸を張る。

中村氏は、地方のテレビ局で勤務の後、通販に特化した広告代理店に転じる。そこで、クライアントの大半が『通販Ace』の前世代製品である『通販Pro』のユーザーであったことから、エー・アール・システムに注目するようになった。その後、親族の会社で自ら通販ビジネスを手掛け、『通販Pro』のユーザーとなって同社ともコミュニケーションを取り始める。
そして、2019年にリタイアを決めた同社の創業社長から請われる形で代表取締役社長に就任する。

同社のパーパスである「日本のものづくりを元気にする」について、中村氏は次のように話す。
「日本は流通業が強く、商品をメーカーが希望する店頭のいい場所に置いてもらうことは思うようにいかないといった状況があります。こうした状況に対し、流通業に頼らなくて済むDtoCを展開し始めるメーカーが続出しています。当社は、こうしたメーカーに対して効率的かつデータドリブンな通販基幹システムを提供し、その発展に貢献したいと考えています」

前述のとおり、『通販Ace』は同一形式に統一されたデータを一元管理し、必要な情報を瞬時に取り出せることにより、自由自在なデジタルマーケティングを可能にする。受注・在庫管理・仕入・出荷・入出金管理・決済管理・督促・アフターサービスといった一連の通販業務効率化と、マーケティング支援の両面から、通販事業者となるメーカーを強力にサポートする。

それだけではない。中村氏は次のように続ける。
「さらに、コンタクトセンターや倉庫、配送事業者をディレクションする形で、問い合わせ対応や受注業務、在庫管理、配送管理、入出金管理といったフルフィルメント業務の代行までを請け負うプラットフォームの展開を検討しています。これによって、例えばものづくりをする個人でも、即座に通販チャネルでものが売れるようになります。通販は非常に可能性のあるチャネルであり、その裾野をどんどん広げていきたいと考えています」

中村氏は、社長に就任後、風土づくりの基軸として次の3項目のバリューを掲げた。

① Laughter to Members　社員に笑顔を
私たちは、「仲間」を大切にしています。最高のサービスを作り上げることで、一人ひとりが自己実現を果たすため、どんな環境でも、全員が笑顔で前向きに職務に当たる会社であり続けます。

② Impression to Client　顧客に感動を
私たちがご提供するのは、「満足」を超えた「感動」です。お客様の業務を徹底的に理解し、確かな経験に基づいて常にお客様の未来を見据えたソリューションを先回りでご提案します。

③ Value to Society　社会に価値を
私たちのパーパスは、「日本のものづくりを元気にする」ことです。煩雑な業務を私たちがシステムを通じて全て請け負うことで、ものづくりに携わる全ての人を応援します。

「一つ目は、社員だけでなくその家族や繋がっている人も含め、大切な人の生活のために事業を行っていると認識しています。事業には苦しい局面もありますが、一致団結して乗り越え、みんなで笑顔になって達成感を味わおうという希望です。
二つ目は、手掛ける製品によるお客様の満足は当たり前のことで、当社はお客様から『凄い！』『思っていた以上だ！』と感動してもらえるところまで追求するという覚悟です。
三つ目は、我々は先人達が築き、残してくれたものを受け取って生きることができていて、まずは全てに感謝すべきです。そして、今度は我々がお返ししていく番である、という認識です」と中村氏はバリューに込めた思いを語る。

子供時代から野球に打ち込み、大学の体育会系野球部で活躍した中村氏は、同社全体を一つのチームと考え、社内コミュニケーションに力を入れている。その一つが、毎朝の全員による清掃。「一日のはじめ、仕事前に体を動かしながらコミュニケーションし、おまけに綺麗になって気持ち良く仕事ができるメリットがある」と中村氏は言う。
その後の朝礼では、テレワーク中のメンバーもオンラインで参加し、持ち回りで発言する時間を取る。

そして、週末は「プレミアムフライデー」として早めに仕事を切り上げ、社内の会議スペースでアルコールやケータリングで軽くパーティーを楽しむ。
「時には社員がギターを演奏する等の芸も披露します。自由参加ですが、みんな楽しみにしていますね」（中村氏）。

2021年11月現在、社員は26名。うち、外国人が6名を占める。「国を離れ、日本で頑張ろうというモチベーションは当社の大きなエネルギーになると考え、積極採用している」と中村氏。また、日本的慣行から脱し、公平・公正な評価制度づくりやダイバーシティインクルージョンの実践を通じて、企業体質の強化にも繋げていく。
「中には日本語能力が不十分なメンバーもいますが、きちんと理解してもらおうというコミュニケーションの姿勢に繋がっています。この効用は大きいと考えています」（中村氏）。
そんな同社が求める人材像は、成長意欲があり、真面目にコツコツと努力を重ねていけるタイプ。
「当社で何かを得て、実績を残したいという気概のある方に来ていただきたいと願っています」と中村氏は呼び掛ける。