LUCAジャパン株式会社

「債券や株式などの伝統的資産ではない投資」＝オルタナティブ投資を取り扱うデジタルプラットフォームの運営をメインビジネスとし、2021年に設立されたLUCAジャパン株式会社。ヘッジファンド、プライベート・エクイティ、プライベート・デット、コモディティ、不動産、道路や鉄道等のインフラへの投資、及びこれらに投資するファンドを総称するオルタナティブ投資は、市場連動性の高い伝統的投資とは収益の相関性が異なる資産運用法であり、その複雑な投資プロセスをワンストップで完結できるのが、同社のデジタルプラットフォームの特徴となっている。同社の代表取締役・シデナム慶子氏は、これまで米国系資産運用企業でオルタナティブ投資戦略室の立ち上げに関わり、また資金調達の責任者となるなど、その専門領域に約20年、身を置いてきた人物だ。

「オルタナティブ投資は、資産運用における高い効果が世界の機関投資家からの注目を集め、広がりを見せている状況にあります。一方で、最低投資金額が高額であることから資産規模の小さい機関投資家からの利用が進んでいない、投資プロセスの複雑性が高いハードルになっている、という課題も存在しています。そこで、小口化による投資金額の低減、そしてテクノロジーの活用による書類処理やキャッシュマネージメントの効率化という解決策に取り組むために、弊社を設立したのです」（シデナム氏）。

オルタナティブ投資は、現代における長期の資産運用に欠かせないピースであると語るシデナム氏。そのピースを届ける専門企業として、デジタルテクノロジーを駆使し、プロセスの効率化と共に利用のしやすさを向上させることが、同社のビジネスのベースになっているということだ。自社の取り組みによって、小規模な機関投資家はもちろん、財団や基金といった組織にも利用を広げ、リソース不足だった投資主体にアクセスする扉を開くことが同社の事業コンセプトになっているとシデナム氏は語っている。

「投資商品の小口化ビジネスは増加していますが、各社に共通しているのは“1つの領域、戦略に特化している”ということ。しかし弊社は、あらゆるオルタナティブ投資を包括的に、デジタルツールを用いて提供しているという意味で、日本で唯一の存在となっているのです」（シデナム氏）。

オルタナティブ投資に関する全ての戦略を包括的に提供できるという強みに加え、同社には手掛ける投資案件の質の高さという強みもある。シデナム氏は、自社のサービスの質を「インスティテューショナル・クオリティ」（機関投資家レベルの質）と表現。海外・国内の様々な機関投資家が、長年にわたって投資できるような信頼性があることこそが、同社の強みであり特徴にもなっているということだろう。

「日本においてはまだ数少ないオルタナティブ投資のプロフェッショナルが運用マネージャーとなり、運用会社とのコネクションやネットワークを最大限に発揮できる運用ファンドを小口化しているのが、弊社のサービスの特徴です。さまざまな投資案件を広くカバーし、なおかつデジタルプラットフォーム上で信頼あるサービスを展開することで、幅広い投資家の方々に価値ある提案を実施することが可能になっているのです」（シデナム氏）。

今後の展開については、現在ベータ版としてローンチしたデジタルプラットフォームの進化に注力すると語るシデナム氏。また、ユーザーにとって有益な機能を追加することでサービスの価値を向上させたいという考えもあると、シデナム氏は語っている。

「たとえば投資シミュレーション機能や、顧客の資産データとプラットフォーム上のデータを連携させる機能を追加することで、より的確な投資行動が可能になります。最終的には、長期的な運用を担えるデジタルプラットフォームへと進化すること、そしてコミュニティ形成やセカンダリーマーケットの創出といったことも目指したいと思っています。そのために、テクノロジー領域の人材を充実させていきたいと、弊社では考えています」（シデナム氏）。

自社の開発領域を“Wealth Tech”と表現するシデナム氏は、その取り組みによるウェルスマネージメントは大きな注目を集めていると説明する。その領域での業務には、どのようなやりがい・面白味があるのだろうか。

「弊社の開発業務で最重要視されるのは、クオリティのコントロール、とくにセキュリティのレベルです。その前提のもと業務に取り組み、自身の技術力や知見を発揮することが、日本の投資や資産運用業界のクオリティを上げることに繋がる。それがこの仕事の最大のやりがいだと思いますし、大きな変革を起こすことに面白味を感じていただけるはずです」（シデナム氏）。

現在、同社には運用のスペシャリストをはじめとする役職者が7名在籍し、全員が金融業界でのバックグラウンドを有しているという。今後、技術者として加入するメンバーに求めることとして、シデナム氏は金融領域の知見や経験よりも「成長」を体現できる素養というものを挙げている。

「たとえば、スタートアップ企業で事業拡大を実現したという方であれば、現在の弊社の取り組みにマッチすると思います。金融業界以外での成功のシナリオであっても、弊社の成長に適用できる部分は必ずあるはず。その取り組みがなぜ必要かを理解し、そして楽しいと思える方々と一緒に、弊社のビジネス拡大にチャレンジしていきたいと思っています」（シデナム氏）。

金融ビジネスという“資産を預かり、運用する”という領域においては、何よりも自身の業務のクオリティに妥協しない姿勢が必要だと語るシデナム氏。先に挙げた「インスティテューショナル・クオリティ」を目指す姿勢は、自社の信頼性を高める上でも重視するべきものであるというのが、同社の考えなのである。また、透明性の高い情報発信を貫き、国内はもちろん、海外の投資家にも有益なサービスを提供しながら資金のインバウンドにも寄与することも、同社の目標の1つとなっている。

「海外の資金を日本の投資市場に呼び込み、ボーダーのない資産運用を実現することも、弊社の事業コンセプトの1つ。その業務においてはグローバルな人的ネットワークや海外の運用会社とのリレーションも体感できるはずです。また、弊社のデジタルプラットフォームを通して情報を発信することで、日本における資産運用に関する啓蒙にも繋げていきたいと考えているのです」（シデナム氏）。

自社のビジネス展開が日本国内の資産運用を活性化し、透明性の高い情報を発信することで投資を身近にする。そんな考えでビジネスに取り組む同社で、自身の技術力を「豊かな社会の実現」のために活かしてほしいと、シデナム氏は転職者に向けてメッセージを送っている。

「弊社は、デジタルプラットフォーム上でオルタナティブ投資を行う日本初の企業として、世界水準の資産運用を国内にも広げていきたいと考えています。その開発業務に関わることで、人々の生活を豊かにするための取り組みの一端を担える弊社で、社会への貢献という大きなやりがいを感じていただけたら嬉しいですね」（シデナム氏）。