株式会社アコーズ

株式会社アコーズは、ECサイトとバックオフィスシステムの構築に強みを持つシステム開発会社だ。要件定義から設計、開発をはじめ、顧客に伴走して売上向上に努める運用保守まで、全ての工程を一気通貫で手掛ける。顧客の目線に立った公正な提案と独自仕様を実現する開発力、そして真摯な対応が高い評価を得ている。同社はここまで堅実な経営で、着実に成長を遂げてきた。これからは、さらなる飛躍を目指して組織の強化と拡大、自社サービスの立ち上げに挑む。第二創業期ともいえる成長局面を迎え、中核となり得る新たなメンバーを募る。

同社は、代表取締役を務める樋口佳久氏が2015年5月に設立した。樋口氏は成長途上であった大手IT企業に新卒入社して、パソコンソフトウェアの流通やブロードバンド展開事業等に従事した後、ソフトウェアメーカーへ転じる。IT業界をリードする巨大企業でセールスやマーケティング職として、日本のITサービスの最前線を走り続けてきた人物だ。
「1990年代後半、大学生の時にインターネットに触れて、すごいと思いました。当時はネットワークも遅く、サイト表示にもとても時間がかかる状態でしたが、それでも図書館にいかなくても調べものができたり、資料請求ハガキを書かなくても就職活動できたりしたことは、大きな可能性や将来性を感じた体験でした。当時はインターネットといえばYahoo!でしたので、関連のあるIT企業を志望し入社しました。オペレーティングシステムの深夜販売やインターネットセキュリティ関連商品の先取り、ADSLの初期展開等、昼夜を問わず働きましたね。納得いかないことがあった時、明け方に上司と話をするなんていうこともざらにありました。ハードながらも充実した日々で、仕事の意義とは？自分にとって会社とは？といったことをすごく考えるようになりました。
そうした大きな企業で働いていく中で、最初は漠然と起業したいと考えていましたが、この分野で数年後には独立したいと明瞭に思うようになりました」（樋口氏）。
そして樋口氏は別会社への参画等を経た後に、独立して受託開発事業を開始した。

樋口氏は事業を行う上で、大切にしている信念を社名として表現している。
「忠臣蔵の赤穂浪士をもじっています。いろいろな解釈はありますが、赤穂義士が持つ忠義と信念の心には感じるものがあり、社名に取り入れました」と話す。
企業理念として「お客様・自分たちの作り出すもの・日々の仕事に対して、公正・誠実に取り組むことにコミットして情熱を注ぎ、努力を惜しまない」と掲げる。こうした同社の思いが込められているのが、赤穂義士から派生させたアコーズという社名なのだ。

同社の受託開発事業の主軸は、直接契約を交わす大手小売企業を中心にしたECサイトやバックオフィスシステムの開発・運用だ。

受託開発とはいえ、同社は顧客の要望や求めていることをそのまま受け入れることを良しとしない。「なぜそれが必要なのか」「本当にそれは必要なのか」と深掘りする。これは単なる受託業者という感覚では行えない対応だ。自社の利益以上に、顧客にとって最良な選択をするという公正な考えと当事者意識があってこそ実現できる。同社は「現場主義」を貫いており、それが当事者意識を高めることにも役立っている。
樋口氏は「我々はECサイトの他に業務システムも多く手掛けています。業務システムは、現場の人にとって使い勝手が良くなければ価値があるとは言えません。現場に足を運び、どのような状態になっているかを感じ取ることも大切な開発業務の要素です」と話す。
現場主義に至ったのは、小売業の顧客に対するある経験による。

それは、ネット注文した商品を店舗で受け取れるシステムを納品した時のこと。商品が店舗に届いたタイミングで注文したユーザーに即通知される仕様を実装した。その結果、通知を受けたユーザーが一気に店舗へ訪れてしまい、数時間経っても行列が解消しない混乱が生じた。その様子を実際に見た樋口氏は「現場を知らないと、スムーズに業務が進むシステムは作れない」と痛感した。
この時の経験から、誰が使うシステムであるか、その機能は現場に即した機能であるかを強く意識するようになった。そして樋口氏をはじめメンバー各自が、取引先の店舗や商品倉庫へ納めたシステムが安定稼働した後でも頻繁に足を運ぶ。
システムにはトラブルが付き物だと樋口氏は率直に言う。しかしどんな時にも決してごまかさず誠実に対応することで、顧客からの信頼を得てきた。こうした姿勢が評価され、受託開発案件の引き合いは増すばかりだ。

好調な一方で、樋口氏は先を見越して踏み込んだアクションを取る。自社サービスの立ち上げである。
「おかげさまで受託開発事業はとても好調です。しかし外的要因によるリスクを完全に消すことはできません。その点で自社サービスはコントロールしやすい事業であり、エンジニアにとっても最新技術を積極的に取り入れることができます。当社の可能性を広げ、エンジニアの成長マインドを満たすためにも自社サービスの売上比率を高めていきたいと考えています」（樋口氏）。

進行中の自社サービスは社内課題の管理ツールと、小売事業者に対するサービス拡充ツールだという。
「我々が長年手掛けてきた小売業界に対するサービスを、形を変えて投入していきます。小売にWebテクノロジーを掛け合わせた『ShopTech®』サービスです」と樋口氏は今後の計画に力を込める。

同社はこれまでフラットな組織体制を敷いてきた。役職と部門を設けず、東京と大阪というロケーションでの分割だった。
おおまかには東京がプロジェクトの受注や管理、顧客との折衝を担い、大阪は実際に手を動かして開発や運用を行うメンバーが多く所属する。
事業拡大に当たり人事制度と組織の構築を進めているが、勤務地や職務内容は希望を考慮して話し合いの上で決定する。
採用を強化し人員が増えていく中で組織化は進めるものの、公正で誠実に仕事に取り組む価値観と、目的達成に向けて率直に意見交換を交わすカルチャーは保持したい考えだ。
「情熱を注いで仕事に取り組んでおりディスカッションは活発ですが、ものごとを良くするためだと皆が理解している。価値観への共感があるので、コミュニケーションは率直で風通しが良い。ハードでありながらも楽しく仕事ができる環境だと自負しています。これまで家庭の事情以外の理由での退職者はいません。食事会や飲み会への参加は自由ですが、楽しいからとほぼ全員が参加します。そんな雰囲気の良さと仲の良さがあります」と樋口氏は話す。

社内の人間関係の気まずさやコミュニケーション上のストレスは、仕事にも悪影響を及ぼす。同社では樋口氏が社員に敬意を持ち、公正かつ誠実な態度で接する。率直でありながら温かみのあるコミュニケーションと個を尊重するカルチャーは、このようにして醸成されたのだろう。
「私は何事も楽しいことが大事だと思っています。仕事もそう。大きいプロジェクトをやるから楽しいとか、プログラミングすることが楽しいとか、あるいはさらにその先でお客様の業務が改善され売上が伸びることが楽しい。そんな風に目の前の成果や成長していく将来に楽しさを感じながら、着実に取り組んでいくことが大切だと思っています」
働きやすい環境と楽しめる仕事を提供するので、社員には自らの仕事の領域を自分自身で決めずに取り組んでほしいと願う。

同社は堅実な経営を続けながら、挑戦できる環境を整える。個々人が会社の中でキャリアアップして、それが会社のステップアップとリンクする。そんな風に一緒に成長していこうと、樋口氏は呼び掛ける。
疑問や不安な点、質問等があれば、気兼ねせずに問い合わせてほしい。樋口氏をはじめ、同社で活躍するエンジニアが率直に答えるだろう。