株式会社エミシス

福岡市にある株式会社エミシスは「エンジニアの理想郷を創る」ために奮闘しているシステム開発会社。エンジニアが輝ける会社を目指して、SI業界のこれまでの慣習から抜け出し、様々な取り組みを続けている。

事業面では、SES（システムエンジニアリングサービス）の最適な形を模索している。一般にSESは、エンジニアのスキルと時間に対して対価が発生する。「エンジニア単価×稼働時間」が、売上となる。

同社では、クライアントへの「アウトプット」をもって、売上にできる業務形態を目指している。

「エンジニア単価と稼働時間で算出するのではなく、満足できるアウトプットでお客様に価値提供できる会社を目指しています。エンジニアが時間に縛られると、現場に張り付かなくてはならなくなり、エンジニアのキャリア面でも当社のビジネス面でも柔軟性が失われます。時間ではなくお客様が満足できるアウトプットを対価として提供することで余白が生まれ、エンジニアのキャリアパス構築の選択肢や事業構築の幅が増えます」（代表取締役・藤木寛人氏）。

各分野のプロフェッショナルメンバーがチーム体制でクライアントに技術力を提供する。エンドユーザーとの折衝、設計・開発から保守運用までワンストップで対応できるエンジニアで構成。敢えて業種を限定しないシステム開発に携わることで豊富なプロジェクト実績を持つ。

「商流としてエンドユーザー直請けの案件はまだ少ないですが、エンドユーザーと直にやりとりできる案件にこだわっています。プログラミングやシステム保守・運用等の下流工程だけにエンジニアを送る“下請け仕事”ではなく、エンドユーザーに価値提供できる会社であるのを強みにしており、今後もその姿勢は貫きたいと考えています。会社のさらなる成長に向けて、エンドユーザー直請けの案件も増やせるように動いています」（藤木氏）。

顧客満足にフォーカスした開発を手掛けるのが同社のモットー。100点のアウトプットをベストだとは考えず、常にそれを超える120点のアウトプットを目指している。

「顕在化したニーズの先にある、真の要求を具現化するコミュニケーション力と技術力。クリエイティブな仕事が作り出す顧客満足。当社で働くエンジニアには、一般的なSESでは味わえない仕事の楽しさを感じてほしいと願っています。ワクワクを胸に抱えるエンジニアが世の中を面白くする。エンジニアのワクワクこそが常識を変える原動力。新しい常識によって世の中がもっとワクワクできるものに成長していく。それが、当社の描く世界です」（藤木氏）。

エンジニアの稼働時間についても、同社では独自のスタンスを貫いている。エンジニア各自が生産性の高い仕事を通じて、ポジティブな余白を生み出し、その余白をエンジニア個人、あるいは自社のために活用できる体制の構築にチャレンジしている。

「一日当たり8時間分の成果を、6時間で実現する。そうすることで、一日2時間、月間で40時間の余白が生まれます。当社では、生産性向上で生み出した余白を、自社のために費やせるようクライアントに働き掛けています。この40時間をエンジニアのスキルアップに使うことで、クライアントに対して提供できる価値を上げていく。そうすることで、当社もクライアント企業も、そしてそこで働くエンジニアにとっても、大きなメリットを生み出せます」（藤木氏）。

エンジニア各自が生産性を上げて生み出した「月間40時間」の余白。同社では、これを自社の成長に繋げるため、社内勉強会を実施する等エンジニアのスキルアップを全面的にバックアップしている。

「生産性の高い仕事で時間を作り、それを自己研鑽に充てる。そうすることで、キャリアをしっかり築いてほしいと願っています。もちろん勉強会への参加や新しい技術の習得は“強制”ではありませんし、最新技術の習得だけでなく、ディベートの練習、社内ツールの作成等、取り組み方は自由。“今”を投資して、明るい“未来”を掴みたいと考えているエンジニアを、当社は全力で応援します」（藤木氏）。

SESの働き方は、客先に常駐するケースが大半。そこも同社では常駐しない働き方を模索し、クライアントの同意を得て自社オフィスやフルリモートでの働き方を実践している。

「一日2時間の余白を作るといっても、お客様先に常駐していると、余白時間を別の業務に充てるのは気が引けます。そこで、当社ではSESで働くエンジニアも原則として客先常駐しない形にしています。メンバーの中には、福岡市以外に住むエンジニアもいるため、フルリモートで働ける環境も整えています」（藤木氏）。

社員が働きやすいように、オフィス作りにも気を配っている。地下鉄七隈線「櫛田神社前」駅から徒歩2分の立地にオフィスを構え、スペースの半分を「フリースペース」にして、エンジニア同士のコミュニケーションが活性化する場を設けている。

「オフィスはフリーアドレスで、フリースペースで気分転換をしながら働くエンジニアもいます。エンジニアが楽しく働くためには“仲間”の存在が大切。フリースペースを広く設けることによって、開放的で風通しの良い組織が出来上がります」（藤木氏）。

エンジニアの理想郷を創るために様々な取り組みに挑戦している同社。組織面でもフラットな形態にして、ボトムアップで会社の運営が進む形を採っている。例えば、福利厚生は社員の提案を基にブラッシュアップしている。その他、給与の設定も自己申告制を採用。エンジニアが納得して働ける仕組み作りを進めている。

「エンジニアの理想郷は、エンジニア達によって創ってほしい。だから、エンジニアが自分達で進む未来を考えられる組織にしたいと考えています。年俸制を採用しているのですが、エンジニアの年収も自己申告を基本としています。１つの評価として経営陣から次期年俸の金額を示しはしますが、最終決定はエンジニア自身が行うようにしています」（藤木氏）。

年間休日も120日以上あり、生産性高く働くことから残業も少ない。エンジニアの年収アップに強いこだわりを持ち、平均で年5%の昇給を続けている。多い年は平均9.3%上がった年もあった。エンジニア個人がライフステージや価値観に合わせて、自由に暮らしを設計できる会社。同社が目指すのは、エンジニアが豊かになれる会社なのだ。

「その昔、エンジニア35歳限界説なるものが巷で唱えられていました。また、エンジニアの働き方は“ブラック”の典型例とされていました。2011年に当社を創業した時、私の頭の中には“生涯就業”という言葉がありました。35歳限界説を乗り越えて、エンジニアが自分で引退を決めるまで幸せに働ける会社を作りたいという思いからです。あれから10年以上の歳月が流れ、エンジニアの働き方は変わりました」（藤木氏）。

エンジニアの就労環境は、この10年で大きく様変わりした。月の平均残業時間が20時間を切る会社が増え、有給休暇の取得率も軒並み上がっている。けれども、生成AIの登場で「プログラマーの仕事が失われる」等、エンジニアを取り巻く環境はまだまだ厳しい側面もある。同社ではエンジニアが末長く働けるために、エンジニアのスキルアップを推奨している。

「当社のエンジニアは、原則として上流工程からプログラミング、保守、インフラまでを担当できるフルスタックエンジニアを目指してもらいます。エンジニアとして長く働き続けるには、幅広く技術を身に付ける必要があります。業務の生産性を高めて時間に余白を作り、将来への投資に充てるのも、エンジニアに長く働き続けてほしいと願っているから。エンジニアの理想郷を創るためには、ＳＩに留まらず自社サービスの開発も念頭に置いています。未完成な会社で主軸を担い、末長く楽しく働きたいと願うエンジニアがいれば、ぜひ一緒に様々な取り組みにチャレンジしましょう！」（藤木氏）。