株式会社エイムプレイス

急成長を遂げるITベンチャー企業、株式会社エイムプレイス。同社は、Webサイト構築や広告運用を行うWebコンサルティング事業、および医師・看護師に特化した医療業界専門の人材紹介事業を行う企業として2010年に創業。現在はインターネットメディアに注力し活動をしている。

その分野は多岐にわたるが、美容や不動産領域に強みを持っている。2021年からは不動産オーナー向けの情報サイト『フドーノ!!』。人々の生活に役立つあらゆる情報を記事にして発信してくメディア『PeoPle‘s』を相次いでリリース。

PeoPle‘sはコーポレートドメイン配下でメディアを作成。これまでの自社サイトとは異なり、様々なジャンルを横断したメディアとなっており、各分野のエキスパートに取材をした上でコンテンツ制作を行っている。

さらに、2020年12月からはYouTube「HAYATOMAN 河上隼人チャンネル」を開設。美容・不動産など競争力の激しい業界でインターネットメディアを運営する中で蓄積してきた自社のSEOノウハウの発信に力を入れている。

これまではウェブコンサルティング等様々な領域でサービスを行ってきた同社が、自社メディアに注力することには理由がある。

「自社メディアで成功し結果を残すことで会社としての信頼を勝ち取って行きたい。今のSEOでは誰が発信している情報なのかという点が評価に繋がっているので、発信者の信頼性・権威性を高めるためにも現在はYouTubeやTwitterというツールを使って情報発信をしている。時代に応じてSEOで評価されるポイントは変わってくるので、時代の流れに応じて最適な施策を模索しつつ、柔軟にあらゆることに取り組んで行く必要がある。」（河上氏）

アグレッシブに様々なことに取り組む同社がメディア運営をする上で目指す世界観は非常に明快だ。

「周りからみたらアイツらすげーなと思われるメディアを作っていく。単純にあいつらすごいなと言われることが気持ちいい。」（河上氏）

同社は、“「おもしろい」「ありがとう」を引き出す価値あるサービスを創造する”という企業理念を掲げる。特に「おもしろい」というキーワードは、河上氏にとって重要なキーワードだ。「おもしろいか、おもしろくないか」が、次の一手を考える際の判断基準になっている、と河上氏は語る。その判断基準について掘り下げる前に、河上氏の来歴と同社の成り立ちについて触れておこう。

高校・大学とラグビー部に所属し、体育会系一筋で過ごしてきた河上氏。大学卒業後は、アルバイトを経て通信機器を販売する会社に就職した。その会社で「自分は営業に向いている」という思いが芽生え、Web専業の広告代理店に転職。WebプロモーションやWebによる集客で頭角を現し、入社3年で50名の部下を持つ営業部長に抜擢される。そこで自信を深めた河上氏は、30歳を迎えるタイミングで株式会社エイムプレイスを設立した。

河上氏は会社員時代の自分を「扱いづらい人間だったはず」と振り返る。
「昔からとにかく目立ちたがりで、会社でも営業成績で先輩・上司を抜いてすぐトップに立ってやろうと、そればかり考えていました。トップに立つにはどうするか。“人と話すのがうまい”という自分の強みを最大限に活かそうと決め、自分で戦略を立て、営業に出ていたんです。逆に会社のルールには従いませんでした。生産性が下がるような会議には出なかったし、取引先と深酒をして翌日遅刻、ということも珍しくなかった。でも1年もかからずトップに立ったので、誰からも文句は言われませんでしたよ」（河上氏）。

そして、成果を出してお金を稼ぐことに大きなモチベーションを感じた河上氏は、「もっとできるはずだ」と判断し、自ら会社を設立するという決断をする。前項で触れたように、設立10年目を迎えた2019年も、収益の獲得に向けて同社の優位性をフルに発揮し続けている。その優位性を獲得するための判断基準が、「おもしろいか、おもしろくないか」だ。

社員から相談を受けたとき、自分自身に向けても、相談を持ちかけた社員に対しても、「それっておもしろいと思う？おもしろくないと思う？」と問いかけるようにしている。

「そう聞き返すときは、内心“おもしろくない”と思っていることが多いですが。自分はもちろん相手もおもしろいと思うかどうか。当社の事業に即していえば、ユーザー目線に立って自社メディアに載せるコンテンツを作れるかどうか、が最も重要です。でも自社メディアを扱っていると、メディア側の視点でサービスを考えがちになります。それは“おもしろくない”。当社のサービスも競合のサービスも知っているユーザーが見たとき、何を仕掛ければ“おもしろい”と思ってもらえるか、が勝負ですよね」（河上氏）。

おもしろいか、おもしろくないか。そう問い続けることが、同社の原動力と言えそうだ。

同社は、2019年8月、西新宿にオフィスを移転し正社員採用強化を考えた矢先、新型コロナウイルスによって働き方は一変した。

世の中が変わっていく中で、希望社員はリモートワーク体制にした上でリモートワーク手当を支給。一方で出社して仕事を取り組みたい人には出社できる仕組みにするなど柔軟は働き方を実施している。

また、同社は副業に対する考え方も柔軟だ。これからは「個」の時代だと考える河上氏は、正社員として働きながらも副業をすることで業務の幅を広げるたり、色々な仕事を通して様々な経験を得たりすることでメンバーに成長してほしいと考えている。さらに、正社員という働き方に捕らわれず、業務委託として契約し一緒に働くといった選択肢も与えている。

「オフィスも含めて時代にあった考え方、働き方を常にしていくことが大切。オフィスに関しては、今後は都心に本社は置きつつ、オフィスの縮小、地方へ拠点の設立、メンバーが集まりやすい場所へワークスペースの設置なども考えている。都心に大きなオフィスが必要だと感じたら契約をすればいい。働き方に関しては、今後個の力の影響が強くなっていくと考えているので、個々人が成長しやすい環境や制度を整えていきたい。」（河上氏）。

時代にあわせて姿形を変化させていく同社の評価制度も変化をしている。

「昔は目標を設定し、目標に対しての点数をつけ評価するガチガチの評価制度を使っていたが、目標の立て方の上手い下手によって本来評価されるべき人が評価されないこともあった。そこで目標ではなく、際立って数字を立てていること、サービスの運営側で集客のパフォーマンスを上げたこと、会社を良くしていくための発言をしていることなど直接会社に影響を与えていることを評価するようになった」（河上氏）。

目標といった形がないものの、うまく「でしゃばる」ことで正当な評価を得られるのが同社の特徴だ。受け身ではなく、自ら動ける人はチャンスをつかみやすい企業ということだ。