株式会社エイリック

株式会社エイリックは、東南アジアに特化した不動産投資情報を提供するポータルサイト『アジア不動産情報センター｜ARIC』を運営している。

「日本人は、株にしても不動産にしても、投資を考えたとき、その対象を日本国内で探す傾向が強い。しかし、アメリカをはじめとした先進国だけでなく、新興国の投資家も、良い投資先を世界中に求めています。これではグローバル投資で日本人が勝てるはずがありません。しかし、『日本経済復活のためには、国際市場で勝てる日本人が絶対に必要』――この思いから、今後の成長が期待できる東南アジアでの不動産投資情報を提供するサイトを立ち上げようと考えました」（代表取締役・田中圭介氏）

東南アジアは、近年、着実な成長を続けている地域で、2015年にはASEANに加盟する10カ国が域内の貿易自由化や市場統合などを通じて成長の加速を目指すべく、ASEAN経済共同体（AEC）を発足。域内人口約6億2000万人は欧州連合（EU）を1億人以上も上回っており、域内総生産も約300兆円に達している。加盟各国の2016年の経済成長率を見ても、カンボジアが7％、フィリピンやベトナムが6％台を示すなど、1％台を推移している日本を大きく上回っているのだ。

「東南アジアは、かつて日本が経験した高度経済成長真っ只中の注目のエリアです。当然、経済成長とともに不動産価格も安定的に上昇しています。当社は、このような東南アジア、中でもタイ、フィリピン、ベトナム、カンボジアを中心とした不動産と日本の投資家をつなぐため、各国の優良不動産会社、開発会社約50社と提携し、会員に情報を提供しています。また、国内投資家向けの不動産セミナーや現地視察ツアーなども主催しています」（田中氏）

同社は、情報を扱うメディア運営会社であって、物件を売買・賃貸する不動産会社ではない。あくまでも情報を媒介として不動産と投資家を結びつける存在なのだが、その信頼性は高く、サイト立ち上げから着実に会員数が増加。現在、その数は3000人超で、年内に登録会員数1万人を目指している。

株式会社エイリックが信頼を勝ち得ているのは、“情報の透明性”に徹底してこだわっているからだ。残念なことだが、東南アジアの不動産市場は「市場の成長性や利回りが高く評価される一方、情報の充実度や市場の安定性が低い」と言われがちだ。裏付けのない怪しい情報が数多く流布しているのも事実だ。情報の不透明性が東南アジアへの不動産投資を躊躇させる原因の一つとなっているからこそ、エイリックは「確度の高い情報にこだわる」のだと田中氏は強調する。

「私は、前職で大手不動産ポータルサイトの運営会社にいたとき、タイで現地法人の立ち上げに携わり、3年間、タイで生活しました。その当時から数多くの現地不動産会社や開発会社とお付き合いし、幾度も痛い思いを経験しながら信頼できるネットワークを少しずつ広げてきたのです。現在、エイリックが提供する情報は、当時から築き上げてきた人脈がベースになっています。だからこそ、『エイリックになら』『田中になら』と信頼性の高い未公開情報をいち早く提供いただけるのです」（田中氏）

起業後も、タイはもとより東南アジア各国に頻繁に足を運び、情報の更新だけでなく、キーマンとの絆のさらなる醸成、ネットワークの拡大にも注力している。また、第三者的立場から、東南アジアで不動産投資を行う上で気を付けておくべきことといったコラム記事をサイト上で公開。高利回りなどのメリットだけでなく、デメリットも伝えることで、投資家の啓蒙にも一役買っている。こういった多様な情報を提供することによって、情報不足を原因としたリスクを最小に抑える努力をしている。

このような経験値や現地ネットワーク、実績は、東南アジアへ進出を計画する企業にとっては非常に魅力的だ。実際、相談を持ち掛けられる機会も少なくない。そこで、「ASEAN進出支援事業」として事業化し、複雑な現地ルールがある不動産業をはじめ、飲食業界や化粧品業界など、幅広い企業の現地進出もサポートしている。

日本における海外不動産投資ポータルサイト分野は競合が少なく、マーケットも決して大きくはないが、高い信頼性を背景に、エイリックはすでにナンバー1のポジションを築いている。

「今後は、さらなる情報の充実やUIの改善を進めて、圧倒的トップといわれるサイトへ育てていきます。そして、東南アジアにおける不動産投資を思い立ったとき、また、現地への進出を考えたとき、真っ先に思い浮かぶサイト、会社を目指します。そのためには、新たな人材が必要なのです」（田中氏）

同社が社員に求めるのは、事業を理解し、熱量を持ってその成長に力を注げることだという。

「東南アジアと日本の投資家をつなぐこと、海外投資で勝てる日本人投資家を一人でも多く育てること。そのために、当社が貢献できることを考え抜き、ビジネスとして形にしていくには、当社の考えやスタンス、事業に共感し、楽しめることが大前提だと思うのです。この“楽しめる”というところが重要で、その気持ちがあれば、自分からいくらでも学ぼうとするし、前向きな人には積極的にチャンスを与えていこうと考えています」（田中氏）

同社の育成方法は、基本的にOJTだが、上級ウェブ解析士資格取得は会社で費用負担をするし、英会話についてもオンラインで学べるインフラを用意している。Webディレクターであっても、「東南アジアを体感したいという意欲があれば、いくらでも連れていく」という。しかし、こういった機会を活かすのも無駄にするのも本人次第というわけだ。

「それに、この仕事は、キーマンといえる“人”との結びつきをどれだけ築けるかにかかっているのですが、人を動かすには、やはり仕事に対する熱量が必要なんです。仕事と本気で向き合えず、自信を持って勧められない人のことなど、誰も信用してはくれませんから」（田中氏）

ただ、ベクトルを共有して熱量を持って取り組める人なら、「刺激的な日々が待っている」とも続ける。

「東南アジアは、成長しようという熱気にあふれています。現地に行くとわかりますが、人々のパワーのようなものを体感できます。発展途上にある分、混沌としてはいますが、次々と新しいことが起き、今までの価値観を変えるような経験もできます。このようなマーケットを舞台に、グローバル投資で勝てる日本人投資家を育てるというミッションに挑むことに、私は面白さを感じているのです。好奇心を刺激するようなモノ、体験があふれていて飽きることがありません。この感覚を味わいたいと思う人は、ぜひ一度、当社の門を叩いてください」（田中氏）