株式会社オイシル

「美味しいを身近に」をミッションに掲げ、食品業界の支援事業を展開している株式会社オイシル。同社は、有料職業紹介事業・採用支援事業・営業支援事業・Web支援事業の4事業を展開する、スタートアップ企業だ。代表の葛川英雄氏は類い稀な経歴の持ち主で、高校を卒業後、水産市場の競り人として4年ほど活躍した。

「大学費用がもったいないことと、友達よりも4年間先に働けるというメリットから就職を決意しました。高校が進学校だったので職業紹介の斡旋がなく、ハローワークへ。“君、気合が入っているから市場の仕事がおすすめだよ！”と言われたことがきっかけで、水産業界に足を踏み入れました。当時、営業の仕事は絶対にしたくないと思っていたのですが、いざ入社すると営業に配属されまして。ところが実際に営業をやってみると、お客様との距離が近かったり、裁量が大きかったりと非常に面白く、徐々にその魅力にとりつかれていきました」（葛川氏）。

その後、より水産業界の知識や経験を積みたいと考え、水産商社の営業職へ転職。希望していた新規営業の獲得などを手掛けたが、人間関係の問題や自身の成長に疑問を感じ、人材紹介業を営むベンチャー企業に入社した。その後3年ほど転職エージェントとしてのキャリアを磨き、2022年6月に株式会社オイシルを設立した。

「独立する際、水産業界には関わり続けたいと考えていました。食品流通にはメーカー、問屋、卸、運送、フォワーダー等、様々な職種が絡み合っています。その方々と関わる仕事が良いなと考えていたのです。また、水産業界にいたときに食品業界全体に、転職・採用・営業・生産性の課題があるなと思っていました。これらの課題に向き合い、解決に導くことで業界全体を元気にしたいと思い、当社を設立しました」（葛川氏）。

そして、これまでの“水産×転職エージェント”という希少な経験を組み合わせ、人材紹介サービス『オイシルキャリア』を立ち上げた。『オイシルキャリア』は、生鮮業界に特化した人材紹介サービスで、総合系の人材会社にはない求人が多数掲載。厚生労働省認可取得済みで、日々新着求人が紹介されている。

『オイシルキャリア』は全国展開しており、その求人数は約8,000件にも及ぶ（2024年2月現在）。現在、葛川氏を含めて社員4名の同社で、どのように膨大な求人を獲得しているのか伺うと「全国に対して営業ができる手法を確立しているのです」との回答が返ってきた。なんでもITツールを駆使して、企業側への営業や契約締結を行っているそうだ。さらに求職者との面談やフォローもITツールを活用しているため、全国の求職者と企業のマッチングも可能となっている。

また、業界経験10年以上の葛川氏がアドバイザーとして求職者のサポートをしてくれることは強みであり、他社サービスとの差別化に繋がっている。
「私たちは、求職者の方々にとってメリットとなる情報を明確に把握しているエージェント集団を目指しています。なぜ転職時にエージェントにお願いするのかと言うと、エージェントが企業の情報をたくさん持っているからだと思います。私たちは、求人票にはない会社の理念や財務情報、売上構成比など、業界にいるからこそ把握している情報も含めて、求職者の方々をサポートしています。そのため、求職者の方から“安心して相談できました” “企業に関する知識はどこよりも豊富ですね”といった、ありがたい声を頂戴することもありますね」（葛川氏）。

さらに、転職後の定着率が90%以上という実績もある。求職者と企業のミスマッチをなくすために、求職者の適性を分析することと、入念なフォローを心掛けているという。
葛川氏によると「求職者の方にマッチしなさそうと分かっていながら就職先を紹介することは不誠実です。ご希望やご経験、お人柄などを考慮しながら、求職者の方が活躍できる職場を紹介するようにしています。その際、我々の先入観だけで判断してしまうと求職者の方の可能性を縮めることになるので、十分気を付けていますね」このように早期退職を防ぐために、求職者一人ひとりに寄り添ったサポートを徹底している。

同社は設立以来、売上が全クオーターで右肩上がりと着実に成長を続けている。今後はスーパー・生鮮業界の周辺領域にて、新しい人材紹介サービスを計画しているほか、人材派遣サービスも検討中だ。これらの実現に向けて、まずは土台となる人材を確保するべく新しい社員を募集している。

同社が大切にしているのは「お客様に矢印を向ける」ことだ。売上や会社の成長にばかり矢印を向けてしまうと、どうしても独りよがりなサービスになってしまうと葛川氏は語る。そうではなく、お客様の声を聞き、どうすれば役に立つのかを日々考えて行動。そして気付いたことを社員に共有し、全員が同じ目線で顧客に接することができるようにしている。

同社には営業成績に見合った報酬、つまりインセンティブの制度が確立されている。
「以前エージェントとして働いていたとき、チーム内で私だけが年間目標を達成した年がありました。お金のために働いている訳ではないので期待していなかったのですが、やはり賞与の日はドキドキしていましたね。しかし、いざ金額を見てみると想像以上に少なかったのです。そのときに頑張った人が全く報われないのは違うなと思いました。人が成長するから、会社も成長するという考えを持っているので、当社ではインセンティブの制度を明文化。売上成績に応じてインセンティブを支給するようにしています」（葛川氏）。

葛川氏が目指す社内の雰囲気は、“社員一人ひとりが自分の足で強く立ち、ナレッジを共有し合える仲間”だ。社員数は葛川氏を含めて5名だが、2024年末で10名、2025年末で20名の組織拡大を目標にしている。

そんな同社が求める人物像は、「株式会社オイシルのカルチャーにマッチする方」「メンバーマネジメントを手掛けたい方」だ。ゆくゆくは葛川氏の右腕となり、マネジメントを手掛け、組織を円滑にまとめていくような人材が求められている。

「面談では腹を割って話さないと早期退職に繋がってしまうと思っています。そのため、入社後のメリットはもちろん、現在整えている部分のことも全てお話しますよ。実際に社員から“面談では素で話すことができました”“葛川さんの人柄がきっかけで入社を決めました”と言われました」（葛川氏）。

サービス、そして組織を絶賛拡大中の同社。会社の成長を間近で見られるからこそ、ここでしか得られない貴重な経験ができるだろう。サービス拡大、メンバー育成、組織づくりなど、自分の力を試したいという方におすすめの企業だ。