株式会社エルユーエス

株式会社エルユーエスは、医療・介護・福祉業界に特化した採用支援事業を展開している。医療・介護・福祉業界の法人・施設の「採用活動」を強化するために、人材紹介会社でもある同社のノウハウを注いでいる。

専用採用ホームページ作成・求人作成代行・求人運用・求人広告運用を基本パックに、 自社採用力強化のために同社が全面的にサポート。月間応募実績「平均16.9件（最大120件）」、サービス継続率「93.3%」とサービス開始直後から多くの事業者から支持を得た。

「医療・介護・福祉業界に特化した人材紹介事業を、約20年間展開してきた会社ですが、○○年にコロナ禍を機に、人材紹介事業で培ったノウハウをソリューションとして提供する事業をスタートさせました。現在は採用支援が主力事業となり、今後もこの事業に力を注いでいく方針です」（代表取締役・野田荘一氏）。

人材紹介事業を展開する中で、医療・介護・福祉業界の転職事情に精通した同社が、病院や介護施設の採用活動をバックアップする。人材の流動性が高い業界であるため、慢性的な人材不足に悩んでいる病院や介護施設は多い。

「長く人材紹介事業を続けてきた結果、当社は医療・介護・福祉業界で働く人材のニーズを深く理解しています。求人用の記事作成においては、ニーズを汲み取って最適なメッセージを作る必要があります。加えて、SEO等Webマーケティングの知識も豊富。病院や介護施設の採用活動をトータルで支援できるのが、最大の強みです」（野田氏）。

さらに同社では、求人と応募を管理する独自ATS（採用管理システム）を自社開発して、採用活動支援に利用している。

「独自開発のATSを採用支援に使っています。世の中にはATSを提供するサービスも沢山ありますが、当社はATSの利用料を請求しません。採用活動支援の一環でATSを利用しているので、それを活用したコンサルティングにこそ当社のバリューがあると考えています。人材紹介事業で使用しているホームページも自社制作してきた実績があり、システムやWeb運営のノウハウも社内に蓄積しています」（野田氏）。

生存競争が激しいビジネスの世界において、長年にわたって会社を維持するには、時代の流れに合わせた柔軟な経営が必要とされる。2005年創業の同社も、約20年間、医療・介護・福祉業界に特化しつつも、ビジネスモデルを柔軟に変化させながら、顧客をバトンリレーしてきた実績を持っている。

看護師や介護福祉士等の人材派遣からスタートした同社は、その後、人材紹介のビジネスにシフトした。現在も採用支援事業と並行して人材紹介事業を続けている。採用支援事業と人材紹介事業は利益相反とも考えられるが、一方でクライアントを共有できる。

「病院や介護施設の採用は年々厳しくなってきており、それに合わせて採用にかかるコストも増加しているのが現状です。クライアントに価値提供するには、採用支援事業と人材紹介事業、それぞれのアプローチがあります。当社は、その二つを同じクライアントに提供できる会社です」（野田氏）。

2023年5月、独自ATSを開発したエンジニアを社員として迎え入れた。それまでアウトソースしていた開発を内製化し、ATSの開発スピードを上げるとともに、同社のクライアントに開発したシステムを販売する体制を組織する計画が進んでいる。

「病院や介護施設のデジタル化は進んでいないといわれています。医療DX・介護DXが叫ばれていますが、導入したツールやシステムが使いこなせていないという話も耳にします。病院や介護施設のお客様と長年の取引がある当社が、病院や介護施設の現場でのニーズをヒアリングし、その課題を解決するサービス開発を新規事業として進める計画です」（野田氏）。

エンジニアチームを組織して医療・介護業界の課題解決を実現するサービスを開発する。そのためのパートナーは沢山いる。20年間で積み上げたクライアントとの関係がここでもまた引き継がれようとしている。

「病院や介護施設との間で培った関係を、新規事業でも活用できると考えています。医療・介護業界の現場にある“リアルな課題”にリーチできるポジションにいます。これまでと同じように医療・介護業界のクライアントに価値を提供し続ける企業として、形態を変えながら進化していきたいと考えています」（野田氏）。

同社は創業から約20年間、無理な拡大をせずに、医療・介護業界のクライアントに価値提供を続けてきた。新規事業を始めるに当たり、エンジニアを増員して開発チームを組織する。

「エンジニアチームは月間の労働時間だけ決めて、あとは自由に働くスタイルを採用しています。エンジニアの働き方が分からないため、特別にチームに任せている状態。これから入社するエンジニアと一緒に組織面の整備を進めたいと考えています。評価制度や福利厚生等、他社での経験を当社で生かしてほしいと願っています」（野田氏）。

同社は、人材紹介事業をメインとしていた頃から社員の「働き方」に工夫を凝らしてきた会社でもある。人材紹介業は働く時間が不安定になりがちで、長時間労働になりやすいとされてきた。しかし同社は、働き方を工夫することで、人材紹介業界の常識を覆そうと努力してきた。

「人材紹介業界は、労働時間が長いとされてきました。しかし、当社は現場の工夫で長時間労働をしないカルチャーを作ってきました。採用支援事業をメインにすることで、社員の労働時間は大幅に減りました。今、“週休3日制”に向けて、生産性を上げる取り組みを進めています」（野田氏）。

週休3日制。社員に「仕事以外の経験を積んでほしい」という野田氏の願いを実現するためのチャレンジだ。

「コロナ禍明けに海外5カ国を訪問しました。沢山の刺激を受けて、20代の頃に経験しておきたかったと痛感しました。当社の社員には、仕事に忙殺されることなく、いろんな経験をしてほしい。そのためには、週2日の休日では足りないと思い、週休3日にチャレンジしています。従来の生産性を保ちながら休日を1日増やすためには、全社を挙げた協力体制が不可欠です」（野田氏）。

週休3日制に加えて、年間優秀者に30万円と特別休暇を付与し、1週間海外に行ってもらう「海外楽学制度」を創設。社員が海外で刺激を受けて成長するのを後押ししている。

「2023年は『ミニ楽学制度』を設け、10万円を10名に与えて、近隣のアジア各国を訪問してもらいました。帰国後に報告会を開いて、他のメンバーに向けて自分が受けた刺激を発信してもらう機会を設けました。みんな楽しそうに発表をしているのを見て、今後も続けていきたいと思いました」（野田氏）。