岩崎 哲 代表取締役社長 1989年、松下電器産業㈱（現パナソニック ホールディングス）に新卒で入社。開発SE、フィールドSE、営業を経てパナソニック コネクト㈱現場ソリューションカンパニー金融・郵政部門執行役員、 その後、九州社社長に。2020年4月より現職。

企業人として、また経営者として、どのような信条をお持ちですか？

個人的な信条は「一所懸命」です。その時その時のテーマに全力を尽くせば、お客様から信頼され、結果もおのずとついてくる。そう信じています。 中央官庁を担当した営業職時代、総務省が掲げるe-Japan構想のもとで、次世代の情報プラットフォーム開発について各社を交えて熱く議論し、衛星を活用した防災ネットワーク構築にも取り組みました。 振り返れば、常に社会の「その先」を見つめながら、目の前の課題に懸命に取り組む…この「一所懸命」の姿勢を貫いたことで、パナソニックらしい仕事の一端を担うことができたのでは、と思いますね。 組織のトップとしては、全社員が心と身体の健康を保ち、安心して働き続けられるような会社づくりに注力しています。その一環として、社員の生の声を聴く「ダイレクトミーティング」を毎年実施。10人ずつのグループミーティングを繰り返し、1年かけて500人を超える全社員と対話をします。その中からも新たな施策が、毎年のように生まれています。

パナソニック システムデザインの強みとは？今後の展望とあわせて教えてください。

当社はパナソニックグループ内外が手掛ける幅広い分野・事業をITで支える技術者集団です。お客様の技術課題・事業課題を解決する「真のパートナー」を目指し、あらゆる領域のご依頼、ご要望事項に対して「エンジニアリング」と「コンサルティング」の両面からアプローチを重ねていく。その過程で築き上げた深く幅広い技術力こそが、当社の財産であり強みです。AIやXRといった新たなテーマにも積極的に取り組み、サクセス事例を蓄積しています。 今後についてもこれまでと同様、ミッションに掲げる「技術とデザインで新商品と新サービスを創造し、サスティナブルな社会の実現に貢献」する姿勢を貫き、社会に求められる新たな技術テーマに挑んでいきます。 今この時にも、キャッシュレス化を支える多様なソリューション、また交通業界のテーマ、たとえば顔認証技術を活用した混雑緩和のシステムなど、多くの革新的な案件を進めています。

システムエンジニア教育が充実していると聞きました。詳細を伺いたいです。

当社が掲げるビジョン「技術者No.1カンパニーを目指す」を踏まえ、以前から教育制度の充実に注力してきました。テレワークが一般化した2020年には、学ぶテーマを選べるオンライン学習支援ツール「Udemy Business」のIDを全社員に付与しました。もともと充実した仕組みに「自ら選ぶ」能動的なスタイルが加わり、より分厚い教育体系になっています。 教育と対をなす資格取得支援制度の充実にも注力しています。報奨金支給対象となる資格数も年々増え、現在は126資格に。ダイレクトミーティングでの社員の提案をきっかけに制度化しました。ちなみに報奨金の額も難易度に応じて細かく設定しています。全社の取得資格数はトータル900以上。全社員530人、そのうちスタッフ部門を除く約480人がシステムエンジニアなので、1人の社員がほぼ2つの資格を持っていることになりますね。ただ注目してほしいのは取得数よりその背景にある社員の向上心。当社らしさはそこに息づいています。

全社的な採用戦略の中で、キャリア採用をどのように位置づけていらっしゃいますか？

もともとは新卒中心の採用スタイルでしたが、近年はキャリア採用にも積極的に取り組むようになり、現在では比率が逆転し、今年度はキャリア採用の社員が新規採用者数全体の6割を占めるまでになっています。 キャリア採用を重視する背景には、DXをはじめとするお客様ニーズの多様化と、それに伴う技術領域の進化と拡大があります。あらゆるオファーに即応する技術体制を確保する意味でも、他社で経験を積んだ即戦力人材への期待が年々高まっています。 キャリア採用組の社員を通じて、社内のカルチャーがより豊かに底上げされる効果も見逃せません。多くのプロパー社員が、キャリア社員の意外な観点からの業務改善策に驚かされたり、働きやすい空気や福利厚生施策を絶賛する声に「そうか、ウチはそんなにいい会社だったのか」と気づかされたり、様々なメリットがあるように思います。 今では、新卒採用とキャリア採用を同じように重視しています。そして姿勢そのものが当社らしいカルチャーであるとも考えていますので、今後も変わることはないでしょう。

社員の定着率は97％超だとか。なぜ定着率が高いのでしょうか？

さきほどお話しした教育制度の充実、キャリア採用の効果、何よりも、広くて深い開発テーマがもたらす達成感と成長実感…答えはひとつではなく、複合的な要素の相乗効果、ということになるでしょうか。新卒かキャリア入社かに関係なく、当社にジョインしたシステムエンジニアの大半が、そのまま当社を自己実現の舞台に選んでくれているというのは、経営トップとして大変うれしく思います。 「年間休日127日」に象徴されるワークライフバランスの良さも、社員に支持される要素のひとつでしょう。全社員の3割を占める女性社員だけでなく男性社員の多くも、育休や産休、介護休暇など、ライフステージに合わせた柔軟な働き方を選びながら当社でキャリアを重ねています。 会社としても現状に満足せず、社員の要望に応える形で始まった各種部活動へのサポート、社員の意見を取り入れた全国各拠点オフィスのレイアウト改善など、職場環境や福利厚生制度を今より少しでも向上させようと、努力を重ねています。