株式会社日本シャルフ

1983年から一貫して社労士事務所向けシステムを開発・提供しているソフトウェアハウスがある。株式会社日本シャルフという会社だ。

同社の製品は、主に社労士事務所をターゲットにしたソフトウェア。同社が開発する『社労法務システム』は、給与計算、社会保険手続き、電子申請等が一つのマスター情報で管理でき、労務管理業務が効率的に行える。充実のサポート体制と、継続可能な価格で社労士業務を強力にバックアップしている。

社労士（社会保険労務士）とは「人事労務のスペシャリスト」と呼ばれる職業。健康保険や雇用保険等の加入・脱退手続き、労働保険の年度更新や社会保険の算定基礎届、傷病手当金や出産手当金等の助成金・給付金手続き、あるいは労働者名簿・賃金台帳・出勤簿・就労規則・労働条件通知書の作成等、幅広く企業の労務関連の業務を代行する。

企業が従業員を雇用するに当たって、労働基準法や労働安全衛生法等、労働に関連する法律を遵奉し、決められた手続きに則って行政機関に書類申請しなければならない。大企業なら社内に労務部を設けて自社内で業務を行えるが、中小企業は社員数が少ないため専任の人材を雇うのが難しいケースも多い。そこで、社労士が顧問先の企業に代わって労務関連の書類作成・申請を請け負う。

「当社が開発しているのは、社労士の業務を効率化するためのシステム。顧問先企業の基本情報や給与等の設定、社会保険や労働保険等の情報に加え、従業員の基本情報や家族情報・給与の設定、所得税・住民税、社会・労働保険の情報を登録し、各種手続き業務を管理できます。給与計算、賞与計算、年末調整のシステムとも連動し、各種社会保険業務も効率的な手続き処理が行えます」(代表取締役・高田弘明氏)。

紙の書類で業務が進められてきた社労士の業務。前時代的と呼べる業務の進め方は、煩雑で無駄も多く、スマートな現代風のワークフローへの転換が期待されている。同社のシステムは、電子申請、ペーパーレス等、社労士の業務のデジタル化を推進してきた。顧問先従業員から直接個人情報を収集し、給与・賞与・源泉徴収票等の明細書を直接送付できる「WEB明細」に対応する等、社労士業務をデジタル化することで効率的な働き方を実現しようとしている。

「ゆとりある社労士ライフは、当社が掲げてきたキャッチフレーズです。社労士の業務は細かい計算を伴う業務もあり、顧問先や役所とのやり取りも多く、紙の書類を使った手作業で、時間も労力もかかります。顧問先の給料明細を印刷して、それを封筒に入れる等、アナログな作業が沢山あります。そんな社労士の業務をデジタル化することで、業務負担を軽減し、社労士の働き方にゆとりを提供する。それが当社のミッションです」(高田氏)。

同社には、40年の長きにわたって、社労士業務の効率化にチャレンジしてきた歴史がある。初代の『社労法務システム』は、まだパソコンがない時代に専用ハードウェアとして開発された。

その後、パソコンが一般に普及するのに合わせ、同社の『社労法務システム』はソフトウェア化。現在は、クラウド（ASP）版を主に提供している。

「創業者である先の代表は、自身が社労士としても活躍していました。自分達の事務所の業務を効率化する目的で、最初のシステムを開発したと聞いています。その後、開発したシステムは仲間の社労士にも販売されましたが、原則、知り合いの社労士にしか販売せず、事業としての拡大は緩やかなペースでした」(高田氏)。

同社の2代目である高田氏は、2007年に代表に就任した。義父が同社の創業者であり、自身は「ヨット」の世界でキャリアを積んできた人物。夫人の実家の要請に応える形で、同社を引き継いだ。

「義理の姉が義父の社労士事務所を継ぎ、私が当社を継ぎました。私が代表に就任するまでは、営業チームもサポートチームもなく、マーケティングの意識もありませんでした。そこから、組織の再構築と事業拡大を推し進めてきました。義理の姉が継いだ社労士事務所とは現在も密接に連携しており、社労士事務所の業務内容を熟知しているのが、当社の強みだと考えています」(高田氏)。

高田氏が就任してから、同社はこれまでのスタイルを変えて、攻めに転じた。全国の社労士向けにシステムを販売。そのために、営業やサポートチームを作り、マーケティングで顧客の獲得に乗り出した。さらに、社労士事務所へ『社労法務システム』の販売を拡充するだけでなく、システムを一般企業の労務部向けにアレンジして提供。クラウド型労務管理システムも開発した。

「人事労務のスペシャリストと呼ばれる社労士が使う業務システムを企業向けにアレンジして販売しています。企業の労務に関する知見が豊富な当社の強みを生かした労務管理システムも提供しており、今後もHRテックの領域で業務効率化を進めるシステムの機能を開発していく計画です。『ゆとりある社労士ライフ』というスローガンも『ゆとりのビジネスライフ』へと変更し、より多くの人がゆとりある生活をできるように、システム開発を通じて貢献していきます」(高田氏)。

同社が掲げる「ゆとりのビジネスライフ」というキャッチフレーズ。その根底には「やさしさと調和」という同社の企業理念があり、クライアントだけでなく当然、自社の社員にも当てはまる。

コア・バリューのひとつにも「相手のために行動しよう」というものを掲げている。
仕事は他者との信頼によって成り立っていることを意識し、大切にしている同社。社員同士が、それぞれに立場や役割、仕事が違うことを理解し尊重することを社員が常に意識し行動するようにしている。そのうえで組織づくりにも力を入れている。

ボトムアップ型の組織を理想とし、社員の意見やアイデアを積極的に経営に取り入れている同社。社員が集まって社内に様々な委員会を設立し、会社の制度作りや風土の醸成を社員主導で進めている。

「会社が決めたことを押し付けるのではなく、社員がみんなで会社を作る。委員会は社員の発案で発足しています。サークル活動のような委員会もあって、社内コミュニケーションの一環にもなっています。ここ数年で会社が大きく成長しており、社歴が長い割に若くてフレッシュな人材が多くを占める会社。目標管理と1on1ミーティングで社員個人の成長もバックアップ。中途入社でスピード出世し、マネジメントで活躍しているメンバーもいます」(高田氏)。

企業理念である「やさしさと調和」を世の中に広めるため、同社ではCSR活動に力を入れている。

「地域の人々の笑顔と満足を追求する。それが当社の社会的責任だと考えています。未来を担う子供達が成長していく上で必要となるのは、健康。そのために食事、運動、そしてコミュニケーションの領域で、社外活動を続けています。サッカー大国である静岡に拠点を持つ会社ということもあって、青少年育成・地域コミュニティの活性化を目的に、少年サッカーチーム『FCシャルフ』を運営しています。世界中の人に愛されるサッカーを通じて、地域の人々の笑顔と満足を追求しています」(高田氏)。