株式会社Momentum Youth

IT導入補助金サポートや助成金コンサルティング等の中小企業支援をはじめ、フレグランスの企画開発・マーケティング等を幅広く手掛ける株式会社Momentum Youth（モメンタムユース）。同社は、小学1年からの付き合いである共同代表の林田聡一朗氏と小山倫弘氏が、それぞれ社会人経験を積み、満を持して2018年に設立した会社である。IT導入補助金サポートでは競合を凌ぐ圧倒的な支援ノウハウで業績を一気に拡大。獲得した利益を、社員の希望を基に新しい事業に投資するという形で、エンゲージメントを高めてきた。設立10年に満たない同社が、業績拡大に成功している要因は何か。同社を支えるカルチャーはどのようなものか。共同代表の一人、代表取締役 林田氏にお話を伺った。

現在、同社が注力している事業は、IT導入補助金の申請サポート、助成金コンサルティング、フレグランスブランドの企画開発の三つである。

IT導入補助金とは、経済産業省が実施している補助金制度のこと。中小企業や小規模事業者が業務効率化に向けてITツールを導入する際、必要経費の一部を補助している。国を挙げて企業のDXが進められているが、申請が通る企業は50～60%に止まる。しかし同社は独自のノウハウを基に、月間300件に及ぶ顧客の申請を100%通している。林田氏によれば、同じ規模で申請サポートを行っている競合はほとんどないという。

「当社を立ち上げる前、私は補助金申請を行う会社の立ち上げにジョイン。そこで6,000～7,000件の申請に立ち会いました。申請の可否の理由は公表されないため、結果から洞察するしかありません。その点、6,000～7,000件のデータを分析した経験は、当社を立ち上げてサービス設計をする上で強力な武器になりました。このノウハウを手に入れるには相当な時間がかかりますので、参入障壁が高い。しばらくは勝ち続けられると考えています」（林田氏）。

そこで同社はIT導入補助金支援事業で順調に売上を伸ばし、企業が従業員のリスキリング等に必要な助成金申請のサポートに着手。林田氏によれば、現状の売上の8～9割はIT導入補助金支援事業が占めているが、2025年頃には助成金コンサルティング事業が同じ規模に成長する予定だ。この2事業で獲得した利益を原資に、同社はフレグランスブランドの企画開発にも乗り出している。

同社のフレグランス事業『FRALiʻa』（フラリア）では、国内大手メーカー5社と提携。フレグランスやディフューザー等を開発している。販売する商品の選定、香料、ブランドデザインからプロモーション戦略までトータルでサポートし、契約を結んだインフルエンサーによるブランディング、ECサイトの構築・運営、ロジスティクスまで幅広くサポートしている。立ち上げて間もないため、林田氏の直下で事業が進められている。

それにしても、何故他の2事業とは明らかに毛色が異なるフレグランスだったのか。しかも2025年以降は、国内で飲食店を開く、カナダでパン屋を開業する等の計画が進んでいるという。その真意を林田氏に尋ねると、「私自身はどんな事業を展開するかについてこだわりはありません。従業員の夢を叶えようとしたらこうなりました」と語る。

実は、同社では「夢年表」という個人の計画を従業員全員（派遣スタッフから正社員まで文字通り「全員」）書いて、2カ月に一度のペースで林田氏と擦り合わせているという。夢年表で従業員の「いつまでに・こうしたい」を把握した林田氏は、その実現のためにメイン事業で蓄積した利益を新規事業に投資しているのだ。

では何故そこまでするのかといえば、それは同社が掲げる「誰もが理想の自分を諦めない世界」というビジョンに由来している。同社のミッション・ビジョン・バリュー（MVV）は独特で、社外ではなく社内に向けられており、「誰もが」は「従業員の誰もが」を意味する。

そもそも同社のMVVは設立時にトップダウンで決められたものではない。7年目を迎えた今年（2024年）初頭、共同代表の2名と事業部のリーダー陣による「MVV合宿」で固められたものだ。お互いに思いを伝え合う中で、林田氏にも自分の核を掴む発見があり、思わず涙を流す場面もあったという。2023年に派遣スタッフとしてジョインし、正社員登用後にMVV合宿に参加した吉田唯花氏（IT導入補助金事業部 リーダー）も、この合宿に参加したことで「元々持っていた仲間意識が再燃して、メンバーを大切にしたいと考えるようになった」と語る。そんなターニングポイントがあったからこそ、同社は「誰もが理想の自分を諦めない世界」の実現に向けて、業績を築きながら次々と新規事業にチャレンジしているのだ。

同社は現在、バックオフィス部門の強化が急務となっている。林田氏が設立前に培った強力なノウハウを基に、IT導入補助金の申請サポートでスタートダッシュ。林田氏が友人や後輩を招き入れ、さらにリファラル採用を重ねることで顧客の要望に応えられる体制作りに邁進してきた。しかしアーリーステージも中盤を過ぎ、人事評価制度、取引先との各種業務、社内インフラ整備等の面でバックオフィス業務経験者の力が必要になっている。

ただし、経験があれば誰でもウエルカムかと言えばそうではない。林田氏によれば「当社のカルチャーに合うことが前提」になる。カルチャーについては様々な表現が可能だが、一つ象徴的なのは「言いたいことが言い合える」ということ。今回の取材では、林田氏もマネージャー・リーダー陣も、オン・オフの区別をはっきり付けていると異口同音に語っていた。

例えば成果主義を掲げる同社では「オン」、つまり勤務時間中は従業員に対して厳しいことも言う。林田氏と、マネージャーである冨工大和氏は友人同士、リーダーの赤羽美月氏とは先輩・後輩の関係だが、仕事の話はシビアに行う。また前出の夢年表は、従業員が自分の希望を発信する大切な場となっている。一方で「オフ」の時は、オフィス8Fのフリースペースに従業員が集まり、冷蔵庫からアルコールを取り出して“タメ口”で語り合う。22歳の若手社員が、外出しようとする林田氏を見つけて「林田さん、どこに行くんですか？サボりですか？」と笑いながら声をかけることも。

他にも、希望者が幹事となって季節ごとにイベントを開催したり（今夏は屋形船で納涼）、派遣スタッフも含めて社員旅行に行ったり…と、誰もが分け隔てなく同社の運営に参加。言いたいことが言えて、やりたいことができる環境なので、従業員同士の関係性は深い。「月曜日に出社するのが楽しみな会社」という林田氏のコメントも頷ける。

「このカルチャーに合う方であれば、バックオフィス部門のプロとして仲間を支えることは大きなやりがいになると思います。また、支えるだけではなく、その方にチャレンジしたい事業があれば会社として応援します」（林田氏）。

実は同社の従業員のほとんどは入社1年未満。その意味では、これから入社する人にとって馴染みやすい環境と言えるだろう。「誰もが理想の自分を諦めない世界」を、バックオフィス部門から目指してみてはいかがだろうか。