株式会社エネクスライフサービス

株式会社エネクスライフサービスは、電力小売事業やモビリティサービス事業を展開し、ライフスタイルを豊かにするサービスを提供する企業である。伊藤忠エネクスグループの一員として、2016年に誕生した。伊藤忠エネクスはエネルギー専門商社でプライム市場に上場している。
伊藤忠エネクスグループは、"社会とくらしのパートナー"を経営理念に掲げ、暮らしに欠かせないガソリン、ガス、電気などのエネルギー商材を全国に届けている。

現在、エネクスライフサービスの副社長を務める野中康平氏に取材し、設立の経緯を聞いた。
「2016年頃、電力全面自由化により電力会社を自由に選べるようになったことをきっかけとして、一般消費者向けに電力をはじめとするライフサービスを提供する会社として当社は設立されました。伊藤忠エネクスグループでは、2010年に電力事業を開始し法人向けの電力事業を行っていましたので、その事業基盤を活用できることが当社の強みです」

会社設立以降、グループの営業基盤などを活用しながら着実に成長を続けていった。その後、2021年には同グループのエネクスオート株式会社と統合し、モビリティサービス事業との化学反応が始まった。

「モビリティサービス事業の主力サービスは会員数30万人を超えるカースタレンタカーです。カースタレンタカーは全国に500店舗以上出店しており、フランチャイズ運営やWEBマーケティングを得意としていました。電気自動車が本格的に世に広まりつつありましたので、エネクスライフサービスは“電力×モビリティ”の強いシナジーを生む組織として生まれ変わりました。」と野中氏は振り返る。

それまでエネクスライフサービスは電力に、エネクスオートはモビリティ関連に特化していた。業務スタイルや組織文化もそれぞれのものが根付いていた。その2社がタッグを組んだことによって、かなり大きな化学反応が巻き起こった。

例えば、エネクスオートが培ってきたノウハウの1つにWEBマーケティングがある。このノウハウが電力事業にも還元され、TERASELでんきは急激に成長した。一方、統合前のエネクスライフサービスは、大量の顧客データを管理運営するために業務改善や顧客管理システム開発等に力を入れていた。そのノウハウがモビリティサービス事業に活かされ、カースタレンタカーには『ダイナミックプライシング』や無人レンタカーサービス『楽のりスマート』などの新機能が次々と実現した。

元々2社の特徴であった少数精鋭で小回りの利く組織体制はそのままに、それぞれの得意分野を融合させて、目覚ましい成長を遂げていった。

前述してきた通り、同社は“化学反応”が得意な組織だ。それはステークホルダーとの繋がりにも言える。

『TERASELでんき』等を展開する電力事業。レンタカーサービス『カースタレンタカー』やコミュニティ型EVカーシェアサービス『TERASELカーシェア』を手掛けるモビリティ事業。こうした独自ブランドを展開している同社は主に、代理店やフランチャイズ加盟店を通じてサービスを手掛けている。

現在、直営店舗をほとんど展開していない同社。そこにはやはり「パートナー企業とのシナジー効果」という大きな戦略が見られた。

「当社は各地域の優良なパートナー企業様の協力のおかげで広まっています。私たちはパートナー企業様の本業に貢献できる電力プランを提供したいと考えています。例えば、大手の自動車ディーラー様とは、電気自動車と家庭の電力をセットで販売し、成功を収めた実績もあります」（野中氏）。

このシナジー効果は、サービスの質向上や、加盟店との信頼作りにも役立っている。各モビリティサービス部の部長を務める金澤大輔氏はこう話す。
「フランチャイズというと、本部ががっちりとサービス内容を固めて加盟店に提供する……というイメージがあるかもしれませんが、当社では違います。サービスの現場である加盟店を信じ、ある程度のことはお任せしています。また、お客様の声を間近で聞ける加盟店の意見を少しずつ取り入れて、一緒にサービスを作っていますね」

こうした柔軟な体制で、よりユーザー目線に立ったサービスへとブラッシュアップされ、順調に売上を伸ばしている。また一緒にサービス作りができるこの体制は、加盟店からも高評価。伊藤忠エネクスグループという安心のネットワークに加え、フランチャイズ取引継続の大きな要因になっている。

加盟店との絆を深めながら、2023年の利益は、なんと前年から約2倍もの成長を見せた。野中氏いわく、こちらはグループの中でも群を抜いている成長具合だという。

今後の展望について、野中氏はこう語る。
「これまで徹底してきたように、消費者目線にこだわり、今後も時代によって変わるライフスタイル適応した事業やサービスを展開していきます。」

また“ライフサービス”を社名に掲げる企業として、さらに一般消費者の暮らしに役立てるようなサービスも検討中。そこでは電力やモビリティの掛け算を筆頭に、周辺領域のサービスも考えているという。

時代に応じた消費者のライフスタイルを支えてきた同社。伊藤忠エネクスグループの理念「社会とくらしのパートナー」を掲げる企業としても、その使命感は強い。そのためにはやはりユーザー目線を持ちながら積極的に提案し、新たなことにも挑戦していく必要がある。

だからこそ、同社ではスキル面以上にマインド面を大切にしている。

「当社では、“まずやってみよう”と行動するチャレンジングな姿勢を重視しています。取り組む中で成功すればそれをもっと伸ばせばいいし、上手くいかなければ軌道修正だってできます。それを応援してくれる仲間もいるので安心してほしいですね」（野中氏）。

そんな同社の面白いところは、グループの頑丈な基盤をバックに、ベンチャー気質も備えているところだ。

伊藤忠エネクスグループの“人・モノ・資金”といった豊富なリソースを駆使しながら、ダイナミックにチャレンジすることが可能。それでいて社員の提案が採用されやすく、一人ひとりに巡ってくるチャンスも多い。部署と部署の垣根も低く、それぞれのプロとの情報交換も活発に行っている。

「自分のアイデアが生かされ、暮らしに密接したサービスとなり、社会に受け入れられていく――。その様を見られるのは、当社の大きなやりがいではないでしょうか」（野中氏）。

社員には、同業界である電力関連企業やモビリティサービス企業の出身者もいるが、彼らだけが活躍の場を広げているわけではない。多業界での経験を、新しい形で生かす社員も多い。社内でのキャリアチェンジも盛んなため、あらゆる形で自分の力を試すことができそうだ。

また同社ではキャリアアップもスピーディーだ。実際、入社3年ほどで課長へと昇格している社員も。「チャレンジ制度」という仕組みもある。一定期間、管理職を経験し、適性やキャリア志向を判断して正式に登用するもので、社員にとってチャンスが一気に広がる制度だ。

このようにキャリアアップを後押しする環境で、若手の管理職も誕生。また管理職のうち女性が43%を占めている（2024年時点）。従業員全体の女性比率42%に対して、ごく自然にキャリアアップを実現していることが分かる。

もちろん、ライフスタイルに沿った働き方も可能。時短勤務はもちろん、リモートワークもOK。社内全体でも「なるべく残業はしない」という風土が根付き、月の平均残業時間は14時間と少なめだ。

そして、男女問わず育児休暇も取得している。野中氏も例外ではない。「私にももうすぐ三人目の子供が生まれるのですが、育児休暇を取る予定です」と語っている。

社会の暮らしをより上質なものに――。そんなサービスを次々と生み出す同社には、社員一人ひとりの夢やライフスタイルも支える仕組みが備わっていた。この環境を味方に付け、ぜひ大きなチャレンジをしてもらいたい。