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インタビュー画像座長(代表)の嶋田 悠介氏

時速5kmの速度設定はどのように決まったのですか。

まず時速5kmと言われて、どれぐらいの速度か分かりますか。人間が普通に歩くと時速約3km、「動く歩道」が時速2kmです。「動く歩道」の上を人が歩くと5kmぐらいの速さになります。早歩きと同じぐらいの速度です。ただ、『iino』の運行で時速5kmを使うことは稀です。歩行者と共存しながら走ることが多いので、センサーを使って周囲の歩行者の歩く速度や距離に応じ、5km以下の範囲で緻密な調整をして運行しています。 時速5km以下の速度は、様々な実験を通して決めました。『iino』はゴミ収集車をヒントに開発したモビリティです。好きな所で自由に乗り降りするようなモビリティが街中を走っていたら面白いなという発想でスタートしたものの、そのためには具体的にどのような速度が適しているのか、どんなデザインなら乗りやすいのかは全くイメージが付いていませんでした。既存の乗り物で近いものがないか探るために、市場で使われるターレットトラックを借りる等して実験したのですが、モビリティという以上、せめてジョギングと同等の時速7km、8kmぐらいで移動しないと乗ってくれないと思いました。ところが実験してみると誰も乗ってくれませんし、乗ったとしても振り落とされそうで怖がられてしまう。 そこで速度を落として実験してみると、5km以下で乗ってくれるようになりました。しかもコーヒーを持ったり、スマホを持ったり、手すりから両手を離した状態でリラックスして乗車している様子が観察できました。ある大学の構内で実証実験した際には、試乗した学生や職員へのアンケートでは「こんな所に緑があったのかと気が付いた」「急いでいたのに不思議とぼーっとしてしまった」「いつもよりコーヒーがおいしく感じた」といった感想が寄せられました。そういった結果から、「私達は歩く速度について分かっているようで全く分かっていなかったのだ」という発見がありました。それをきっかけにいろいろと調べてみると、車で通学している子供が描く絵、徒歩で通学している子供が描く絵では、同じ通学路でも認識しているものが全く違うという研究結果が海外にあることを知りました。 こういった経緯から、5km以下の速度設定に落ち着いたのですが、同時に、単に歩行を補完する便利な道具としてだけではなく、モビリティに様々なことに気付くきっかけを与えるような付加価値を載せるコンセプトにも繋がりました。

そもそもモビリティ領域に着目した理由をお話しください。

ゴミ収集車という個人的な原体験は一つありますが、それとは別の流れで、関西電力の中に若手有志の会があり、そこで事業創造をしていこうという話が出てきた時、会社の中で議論されていたのがEV領域での事業創造でした。電力会社ですので、EVは親和性があると思われていました。ただ、いざEVをテーマに議論しても、面白いアイデアは出てきません。いかに電気を売るかの話に終始してしまっていましたので、抽象度を一段上げて、テーマを“モビリティ”に変更してみると、急に様々なアイデアが出始めたのです。 その中で生まれたのが、私の原体験をベースにした「街の中で自由に乗り降りできるモビリティ」というアイデアです。さらに、時速5kmの走行速度の価値を深掘りする中で、「ウォーカブルシティ」「都市」といったキーワードに辿り着き、クライアントが付き始め、資金調達を経て優秀なエンジニアの採用もできるようになりました。 このように順調に推移してきた背景には、私達の研究が受け入れられる社会的な土壌が出来上がっていたことがあります。自動運転のテクノロジーが成熟するとともに、法規制が整い始め、我々が作るようなモビリティに公道を走る市民権が与えられました。さらにウォーカブルシティのような、人間中心の社会、単に便利さだけを追求するのとは異なる価値観も広がっています。 現在は都市そのものが、人の流れや時間帯ごとの人流データ、鉄道等公共交通機関の発着情報、イベント情報、店の賑わい等、様々な情報を蓄積し始めています。今後は、そういった情報とモビリティを連携させ、単に輸送手段としてだけではなく、IoTデバイスとして活用される時代がやってくるものと考えています。

今後の中長期的な展開をお話しください。

まず、2025年までは現時点でお話をいただいている場所に実装させることが最優先課題です。常設導入により年間を通して運行し、様々なイベント等とも連携して、より多くの方々に使っていただきながらデータを取り、他の地点に横展開していくことを計画しています。2030年までの目標としては、数十地点での常設導入を思い描いていますが、数値的な目標をクリアするとともに、単に便利な乗り物としてではなく、「このエリアの魅力は『iino』が一番知っている」「『iino』に乗れば新しい発見があり、豊かな時間を過ごせる」等、人の役に立つプロダクトとして認知される存在を目指したいと考えています。 また、『iino』は国内だけをターゲットにしたプロダクトではありません。実際に、海外からもお話をいただいています。2024年12月にはジャカルタで社会実験を行う予定です。また、ドバイ万博の跡地を運営しているデベロッパーが品川の実証実験にも来てくださり、交渉がスタートしています。世界には車中心の社会ではなくウォーカブルで、なおかつ移動が負担にならないことを志向している都市が沢山あります。例えば、ジャカルタは渋滞都市と言われて久しいですが、新首都に移転する計画が進行しています。移転先は『10minutes city』のようなコンセプト案も出るなど、ウォーカブルかつコンパクトで過ごしやすい都市にしていくためにどうすれば良いかという、従来とは全く異なる考え方で都市開発を行っています。そういった世界の潮流を捉えた事業展開も視野に入れています。

起業の意欲は以前から持たれていたのですか。

私は大学を卒業して関西電力に入るまで、「起業したい」「社長になりたい」といったキャリアパスは全く考えていませんでした。ただ、事業開発に携わり始めてからは、自分の直感や感性を前面に打ち出せるプロジェクトを成功させたいという思いを持って取り組んできました。 事業開発に携わったのは、関西電力の経営企画室に在籍していた時に、会社として新しい取り組みをしなければならないという機運が生まれたことがきっかけでした。経営企画室の中にイノベーション組織を立ち上げ、私自身、様々なプロジェクトに取り組みました。その中で芽生えたのが、自分の原体験や直感に基づいた事業を創造したいという思いです。 その後、社外へ活動の場を広げ、試行錯誤を繰り返しながら事業コンセプトを固め、いろいろなところでプレゼンテーションやピッチをしたら興味を持ってくれる方が多く、メディアにも取り上げられるようになりました。さらに研究開発を進め、マーケティング実証をしながら事業化の目処が立ってきたところで、理解のある役員から「関電でやってみたらどうか」と背中を押され、起業に至りました。 起業後は価値観も大きく変わりました。クリエイティブや発明する行為は人間にしかできない行為です。サラリーマン時代は会社にとって利益になるか、意義があるかといった物差しでしか動いていませんでしたが、社会にとって必要か必要じゃないかという基準で物事を考え、価値を提供することに対して、自分のキャリアを全て費やすことは素敵なことだと考え始めています。 私は30代後半で「時速5kmの価値」や「都市の移動」というテーマに出会いました。それは今後のキャリアを全て懸けても良いと思えるイシューとの出会いです。この価値観を世界に広げていくことに、今後のビジネスキャリアを費やしたいと考えています。

目指す組織像、求める人物像をお話しください。

これまで私は、自分自身が現場に立って「豊かな移動経験」を作ったり、「時速5kmの価値」を伝えたりすることに好んで力を注いできました。しかし最近は関わる人員が増える中で、クリエイティブやエンジニアリング等、様々な技能や知識を持った人材が揃い始めています。その状況を見ながら、私自身が最前線に立ち続けるよりも、同じ志を持つメンバーを沢山集めて動きやすい環境を整えていく方が、よりレバレッジを効かせられるという実感を持ちました。私達の活動に共感し、かつエンジニアリングやクリエイティブのスキルを持ったメンバーを集めて、ビジョンドリブンで会社を発展させたいと考えています。 私達が求めているのは、自分の領域にしがみ付きデスクトップに向かって仕事をするのではなく、現場に出て、自分自身の目でユーザーの体験を確かめながら、そこで得たフィードバックをものづくりへ積極的に生かせる人物です。当社は、世の中にないものをゼロから生み出す事業を行っている会社です。今後、社会実装する段階では一定の形は決まりますが、その後も運用やプロモーションの仕方、機能等、継続的なチューニングが発生します。その試行錯誤を楽しんでいただきたいです。 当社は現在、『iino』という社会の価値観を変え、都市を変えるプロダクトを、世の中に解き放つフェーズを迎えています。各自、タスクとしての業務範囲はあるものの、オーバーリーチして議論することも少なくはありません。セクショナリズムになり過ぎず、全員で走り続けることを楽しめる方、同じゴールを目指す仲間と一緒にサービスや会社を作ってくれる方のご入社をお待ちしています。

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