株式会社インフィニ

大手SIerとのプライム案件をメインに、システムのインフラ構築やセキュリティ支援を展開している株式会社インフィニ。エンジニアのキャリア形成をはじめ、“幸せの形”を模索し、実現してきたIT企業だ。

当社の経営理念に掲げられている言葉は、「For Happy」。ここには、代表取締役である加藤美菜氏の思いが強く刻まれている。

加藤氏は同社を設立する前にもIT業界で活躍している。同社のようなシステムエンジニアリングサービスや、システムの受託開発などを行う企業2社を経験。そこで、業界の課題を目の当たりにし、長年歯がゆい思いをしてきたという。

「私は管理側として、何百人、何千人のエンジニアとお会いしてきました。そこで懸念しはじめたのは、所属する会社によって、言ってしまえば、“運”によって、エンジニアの将来が左右されてしまうことです」と加藤氏は振り返る。

入社した会社にしっかりと教育制度があるか、自分の技術を磨けるような案件へアサインされるか――。そうした“環境”は、エンジニア人生に大きな影響をもたらす。中には環境に恵まれ、とんとん拍子でキャリアアップしていくエンジニアもいるだろう。しかし、数年にわたって同じ案件に不本意に留まってしまうエンジニアや、人間関係に悩んでエンジニアの道を諦めてしまう人の姿も、加藤氏はたくさん見てきた。

「本来は能力の高い人であっても、努力できる人であっても、自分ではどうにもコントロールできない環境に置かれてしまっては、才能を咲かせることができないのです。そんなエンジニアをどうにかできないかと考え、自分で会社を興そうと思い立ちました」（加藤氏）。

はじめは一人で同社を設立した加藤氏。あるとき、以前からのビジネスパートナーであった企業のメンバー5名を迎え入れ、人員体制を整えた。

しかしこのときの初期メンバーに、純粋なIT業界出身者はいない。人材業界をはじめ、医療器具メーカーやカーディーラーなど、ITとは畑の違う世界を経験してきた人ばかりだ。

「“環境”という運で、キャリアを犠牲にしてしまうエンジニアを救いたい」――そんな思いから立ち上がった同社。そこに業界の“当たり前”が浸透していないメンバーが集まったことは、強い追い風となった。バックグラウンドの異なるみんなで、会社の核を一緒に作りあげることができたと加藤氏は語る。

同社の事業は、大きく3つに分けられる。インフラソリューション事業、システムのセキュリティにおける受託開発やコンサルティングサービス。また3つ目としてIT領域とは別に、輸入製品や自社開発製品を販売するEC事業だ。

今回は、インフラソリューション事業とセキュリティ関連事業についてメインに取り上げたい。

まずはインフラソリューション事業について。

こちらでは、エンジニア常駐型のシステムエンジニアリングを通じて、インフラ領域をメインとしたシステム設計構築を手掛けている。最近では民間企業や官公庁でもDXが進み、クラウドシステムへの移行も注目されている。同社にはクラウドシステム構築に知見のあるメンバーも多く、依頼は多く寄せられる。

次に、セキュリティ関連事業について。

各企業のセキュリティ対応が喫緊の課題となる中、同社ではシステムの脆弱性診断や、実際のセキュリティ対策を実施。しかしそれだけではなく、クライアント企業に向けたセキュリティリテラシー教育などのコンサルティングも手掛ける。例えば販売における支払方法にクレジットカードを導入する企業では、その規定に準じたシステム環境の整備や、意識の在り方をレクチャー。セキュリティ診断から、対策の実施、そしてコンサルティングまでワンストップで手掛けられるとあって、セキュリティ環境を整えたい企業からの依頼も絶えない。

大手SIerとのプライム案件が9割を占める同社。クライアントとより近い距離でシステム支援をしている。

クライアントとの関係について、加藤氏はこう話す。

「当社では紹介でお仕事を頂くことが多く、ありがたいことに長い関係が続くクライアントもたくさんいらっしゃいます。そこでは、当社の人間力も評価されています」

高い技術があることは大前提。その上で、同社のエンジニアは「このエンジニアと、今後も一緒に仕事しきたい」と支持されているのだ。

「企業によっては、営業面と技術面が完全に分担されているところもあるかもしれません。しかし当社ではエンジニアも提案や相談に積極的で、現場での関係を深く築いているのです」（加藤氏）。

そういったエンジニアの技術力×人間力は、“インフィニ スタイル”とも呼ばれている。この姿勢があるからこそ、同じクライアントから別のプロジェクトを依頼されたり、他の企業を紹介されたりと、新たな繋がりが生まれているのだ。その結果、売上も利益も右肩上がりの成長を見せている。

「この“インフィニ スタイル”をもっともっと確立させたいですね。現場にいるエンジニア一人ひとりがしっかりとアンテナを張り、クライアントの要望にプラスアルファで応えていく。そうすれば、より多くのクライアントに価値を提供できると信じています」（加藤氏）。

「For Happy」を経営理念に掲げ、社内エンジニアの輝かしいキャリア形成を目指してきた同社。同社でのエンジニア人生において、加藤氏は以下の3つのキーワードを大切にしている。

それが、「成長」・「QOL（Quality of Life）」・「仲間」だ。

まずは、なんといっても「成長」。

同社では一人ひとりの「どうスキルアップ・キャリアアップしていきたいか」をしっかりとヒアリングし、そのステップに見合った案件へアサインできるように最大限努めている。スキルアップにおいてはオンライン教育システムを導入するほか、社内勉強会（任意参加）も定期的に実施。

「またスペシャリストとして技術を極めるか、チームを成長させるマネジメントの道を歩むか、といったキャリア選択も本人の意思を尊重しています。同じエンジニアでも、どちらの道が自分に合うかは一人ひとり違いますから、面談などを通じて一緒に考えていきます」（加藤氏）。

また同社は「QOL」、つまりプライベートの在り方も大切にしている。

個人の能力に見合った評価を収入に還元した上で、ワークライフバランスの取れた働き方ができるよう、働きやすさも整備している。リリース前などの繁忙期にもよるが、ほとんどのメンバーは定時退勤が基本だ。またリモートワークも推奨。インフラソリューション事業はクライアント先への常駐が基本であるものの、同社全体では8～9割のメンバーがリモートワークを活用している。

そして、そんな「成長」と「QOL」を支えているのが、同社に集まった「仲間」だ。

エンジニアには、それぞれに得意な領域や技術があるだろう。そのため社内勉強会では、得意分野について情報を交換し合い、社内全体でレベルアップを図っている。

「現場への常駐やリモートワークで、社内のチーム体制を不安に思う方もいるかもしれません。ですが、当社の上長は面倒見のよいメンバーばかりです。技術面だけでなく、現場での悩みも相談してほしいですね」（加藤氏）。

また「仲間」という点で、サークル活動などの交流も大きな特徴だ。

2024年7月時点では、加藤氏をはじめとしたキャンプ好きが集まるキャンプ部や、ゲームを趣味にするメンバーが集結したゲーム部などが立ち上げられている。

「あくまで任意の活動ですが、趣味の合う人同士で同じ時間を楽しんでもらっているんじゃないでしょうか。またゲーム部では交流だけでなく、社外の大会で同業界の企業と知り合って、新たな取引がスタートしたこともあるのですよ。そういった予想外な面白さもありますね」（加藤氏）。

加藤氏が設立時に見つめていた、エンジニアのキャリアの在り方。それは、同社の「成長」という軸で見事に実った。そしてそれだけでなく、素晴らしい仲間との出会いや、心地よい暮らしまで実現した。エンジニア、ひいてはIT業界の“幸せの形”が、ここにはあるのだ。