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株式会社きものすなお

  • 製造・メーカー系
  • IT/Web・通信・インターネット系
  • マスコミ・エンターテイメント・メディア系

着物業界をリメイク。SNSフォロワー数No.1の1級着付け技能士が目指す世界

自社サービス製品あり
残業少なめ

企業について

JR山科駅から徒歩8分ほどの住宅街にある一軒家。作業場を抜けた畳の間に、凛とした和服の装いで佇む。着付け動画の配信で、多ければ1日に5回、着物を着替えることもあると言う。株式会社きものすなお 代表取締役・清水直氏だ。

清水氏は大学在学中に着物に魅せられ、新卒1年目の2013年、きもの装いコンテスト世界2位にまで上り詰めた着付けの実力者。国家資格である1級着付け技能士を持つ。2020年7月に会社を設立する以前に開設したYouTubeチャンネル『すなおの着物チャンネル』は登録者数35万人、Instagramは14万人という、着付け業界No.1のフォロワー数(いずれも2024年10月現在)を誇るカリスマ的存在である。

同社は、“タンスの着物を循環させる”という、清水氏が23歳の時から一貫して持ち続けてきた理念を実現するために設立された会社だ。YouTubeをはじめSNSを活用した情報発信を中心に、着付け教室、物販、さらに着物サークル『すなおの着物会』(オンラインサロン)の運営等を、幅広く手掛けている。

現在、収益の柱となっているのは、プロ向けの着付け教室『着付師養成講座』だ。清水氏が自ら講師を務め、半年パックで着付けのプロになれる講座を提供している。オンラインの他、月1回、本社の和室等で集合型の講座も行っている。既に4期目に入り、5期生も決定段階だ。

「当社は来年以降、一般向けの着付け教室を全国展開する予定で、そこで指導できる人を養成しています。2025年春には京都に1号店をオープンし、翌年には東京、その次は大阪、横浜と、5年間で主要都市に8店舗をオープンするという夢を持って頑張っています」 (清水氏)。

同社は、清水氏が自宅で開業した着付け教室からスタートした会社だ。清水氏が一般向けの着付け教室を運営する上で貫いてきたのが、“出し惜しみしない”、“否定しない”、“押し売りしない”という三つの信念だ。従来、着付け教室の多くが、出し惜しみや押し売りといった習慣の上で成り立ってきた。「ここから先は上級クラスに入らなければ教えない」という出し惜しみをすることで教室に通う期間を長引かせ、受講者の着物を否定して新しい着物の購入を勧める。また、展示会に誘い、高額の着物ローンを組んでまで買わせようとする。そういった行為は、結果的に業界人が自分で自分の首を絞めることになると清水氏は語る。

「私自身、学生時代に100万円の着物を個室で強く勧められたことがあります。今はネットの時代。そういった噂がすぐに広まり、“着物は怖い”というイメージが定着してしまうでしょう。また、否定して新しい着物を勧めることに関しても、その場では買ってくれるかもしれませんが、悲しかった思い出はずっと残ります。目先の利益のためだけに、そういった行為がはびこっているのです。当社が運営する教室では、先述の3つのモットーで純粋に着付けを教えることに特化しています。」(清水氏)。

あくまでもタンスに眠る着物が生かされる場面を増やすことが、同社が着付け教室を運営する目的なのである。

同社が手掛ける物販事業は、職人技術を次世代に繋ぐことを目的に、2024年1月からスタートしたブランド『wake up kimono』として展開している。タンスに眠っている着物を全国から引き取り、職人の手で再生し、ライブコマースやイベント、ECを通して販売する。

着物の再生ビジネスは、着物の保管場所や修繕費、検品や採寸を担うスタッフの人件費等、コストがかさむ。過去にも古い着物を引き取り、リペアして売る事業者はあったが、いずれも途中で撤退していった。清水氏は、職人達に夢を語った時、「これまでと一緒で、どうせすぐになくなる」と、懐疑的な反応を示された。だが、各職人に合わせた仕事を持ち込むうちに、積極的に協力してくれる職人が増えていった。現在、協力関係を結ぶ職人は京都市内で約50名に及ぶ。

「『wake up kimono』は、1,400着の着物処分に困っていた団体から相談を受けたことから始まったプロジェクトです。テレビで取り上げていただき、YouTubeやInstagramで告知した結果、現在では定期的に段ボール3箱分ほどが届きます」(清水氏)。

清水氏が着付けにのめり込んだのは大学生の時だ。卒業後は大手企業に就職したが、学生時代に通っていた着付け教室での体験、長年タンスにしまわれていた祖母の着物、世間の着物離れ等、着物に関する様々な思いを経て、「着物業界を変える」と決意。その頃に生まれたのが“タンスの着物を循環させる”という信念だ。

その信念に基づき、呉服メーカーに転職。本格的に着物を学び、出産を機に退職。自宅で着付け教室を開業した。より多くの方に着物の楽しさを伝えたいと考えブログを開設し、YouTubeでの着付け動画配信、SNS等と活動の幅を広げていった。

インターネット上で影響力を強める中、同業者からの大バッシングを受ける等、心が折れそうになることもあった。それもやがて消え、大手着物会社からコラボレーションの声がかかる等、業界の中でも認められる存在へとなったのである。

決して順風満帆だったわけではないが、15年前の決意は揺らがず、“タンスの着物を循環させる”ことを考え続ける中で徐々に確立されてきたのが、『wake up kimono』の“着物循環モデル”だ。

「この着物循環モデルは、資源の有効活用、伝統文化の継承、産地活性化、女性や高齢者の経済的自立、人々の幸福度向上等、様々な社会問題を解決するものです。始まったばかりで、まだ投資している段階ですが、社会的意義もありますし、“タンスに眠っている着物を循環させる”という当社の理念を最も体現する事業ですので、今後も注力していきます」(清水氏)。

法人化して5期目を迎えた同社。企業とのコラボレーション等、事業収益のチャンネルを増やしながら右肩上がりで業績を伸ばしてきた。今期はさらに昨対比1.5倍の売上を見込んでいる。“着物循環モデル”を確立し、今後さらに目指すのは、着物に関する困り事全てを解決する“着物総合企業”だ。

一般向け、プロ向け両方の着付け教室、着物のメンテナンス事業、着付けや販売会等のイベント、会員数350名のオンラインサロン、理念実現に繋がる取り組みを一つひとつ積み重ねてきた。着物に関するトラウマをなくすため、学校を訪問し、ボランティアで着付けを教える学生支援も行っている。これらによって、着付けを習いたい、プロになりたい、着物のクリーニングで困っている、着物を着る機会がない、着物友達が欲しい等、着物にまつわるあらゆる困り事に対応できるチャンネルが揃った。今後もサービスを増やしながら、点として存在していた事業を繋ぎ合わせて、持続的に成長する企業へと発展させたい考えである。

「『wake up kimono』ブランドでは、大島紬の職人が一から作る着物等、守るべき伝統技術も発信していきたいと考えています。ここまで着物に愛を持ちながら、総合的に事業を展開している会社は他にないと自負しています。それぞれの事業で業界No.1となり、リーディングカンパニーとして着物業界の発展に寄与していきたいと考えています」(清水氏)。

カギを握るのは、来期からスタートする一般向けの着付け教室と、本格的なマネタイズのフェーズを迎える『wake up kimono』の物販事業だ。従来ターゲットとしていた着物ヘビーユーザーのみならず、国内に約2,000万人存在するファッション志向の女性を対象にSNS戦略を加速させる。現在、同社に在籍するスタッフは、自宅で開業していた頃の着つけ教室の生徒や、SNSを通して清水氏の理念に共感し応募した着物愛好家達だが、今後は事業推進力を強化するため、マーケティングや事業オペレーション、Webサイト管理の各領域で専門性を磨いてきた人材の採用に注力する。

「現在は立ち上げのフェーズであり、これからご入社いただく方は、様々なゼロイチに携わっていただけます。多様なビジネスを展開しているからこそ、事業を横断して裁量権を持った仕事をお任せできます。また、様々な媒体を駆使して、事業成長に挑戦できる環境です。最初から幹部としてどんどん任せていきたいと考えていますので、チャレンジ精神と情熱がある方のご応募をお待ちしております」(清水氏)。

人員の増強に当たり、2025年には京都駅付近にオフィスを構え、本社機能を移転する計画もある。着物や着付け業界の知識や経験は問わない。それぞれの専門的スキルや経験の他には、同社が大切にしている周囲の人々や社会に対する感謝の気持ちと責任感、前向きに仕事に打ち込む熱意があれば良い。着物という伝統文化を守るために、業界に新しい風を巻き起こす。大きな夢が形になる一部始終に、当事者として関わるチャンスだ。

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インタビュー

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代表取締役社長・清水 直氏 2013年3月、滋賀大学を卒業。同年4月、大手インフラ企業入社。同年きもの装いコンテスト世界2位。2015年、京都の呉服メーカーに転職。2017年8月退職。9月に着付け教室開業。 YouTube『すなおの着物チャンネル』を開設し、5年でフォロワー数35万人に。2020年7月、株式会社きものすなお設立。2022年にGoogle社「Humans of YouTube」日本版100人選出、女性起業家賞 京都府知事優秀賞受賞。“タンスに眠っている着物を循環させる”を理念に事業拡大中。

── 元々起業の意志はお持ちだったのですか。

滋賀大学経済学部企業経営学科出身で、在学中から起業を意識していました。23歳の時に「着物業界を変えたい」と思ったのですが、基礎知識や経験がなければ何も始まりません。そこで、最も専門性を磨くことができそうな会社に転職し、ひたすら勉強させていただきました。

第一子を授かったことを機に呉服メーカーを退職し、自宅で着付け教室を開いた時も、開業届を出しただけの小規模な教室で、月収500円からのスタートでした。簡単な看板を玄関に立てかけたことが始まりで、ポツポツと近所の生徒さんが来てくださるようになった頃にブログを始め、Twitterも始めたら、受講の申し込み... 続きを読む

企業情報

会社名

株式会社きものすなお

業界

製造・メーカー系 > その他メーカー系

IT/Web・通信・インターネット系 > インターネット/Webサービス・ASP

マスコミ・エンターテイメント・メディア系 > 広告・デザイン・イベント

企業の特徴
自社サービス製品あり、残業少なめ
資本金

200

売上(3年分)

2024490440365

2023361596366

2022269145222

設立年月

2020年07月

代表者氏名

清水 直

事業内容

呉服商材の小売及び卸売販売

株式公開(証券取引所)

従業員数

9人

平均年齢

40歳

本社住所

京都市山科区竹鼻地蔵寺南町2-1

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