アイザック株式会社

2024年12月に創業10年目に突入したアイザック株式会社。「世の中を、実験しよう。」をミッションに掲げ、幅広い領域で多数の事業を展開している。

ハイクラス層向け恋活・婚活マッチングアプリ『ゴージャス』やシニア向けマッチングアプリ『ラス恋』、法人向けの電話発信自動化ツール『オトコル』などの業務改善SaaSなどが事業の柱として成長中。その他、AIパートナー作成サービス『Aimy（アイミー）』や、キャリア×スキルのコーチングサービス『キャリア道場』、アートギャラリー向けSaaS『ArtX（アートエックス）』等、多岐にわたる。

「当社は一つのプロダクトや領域で上場やM＆Aを目指すのではなく、創業者ないしは優秀な社員が“やりたいこと”をやれる環境づくりに重きを置いています。言うなればファンドのような会社です」と話すのは、代表取締役の田中和希氏。

基本的には社員がやりたいことを提案し、通れば本人が裁量を持って少人数のチームで事業化を進めていく。もちろん経営層の提案からスタートする事業もあるが、何より技術力のあるエンジニアが多数在籍していることとスピード感のある事業開発力が強みだ。

「当社が何より大事にしているのが、事業責任者の思いであり情熱です。あとは、私自身もバックグラウンドがエンジニアであり、技術に強みを持つ会社なので、何かを“ハック”しているかどうかは大事にしていますね。シンプルにやりたいからだけでなく、何か世の中の歪みに対してギャップを埋めにいくような、ちょっとだけ癖のあることをやっている感覚があります」（田中氏）。

事業開発におけるキーワードが「実験」だ。「100回の議論より、1回の実験」の考え方で、まずはやってみることを大事にする同社。目指しているのは、面白いと思ったことはどんどん試していくラボのような会社だと話す。

「優秀で野心を持った人がその力を発揮できる場所をつくりたいのです。大手だと組織の歯車になってしまうし、ゼロイチのベンチャーだとリソースが足りなくてしんどい思いをする。僕らはその両者の良いところを持ち合わせていて、しっかりとした基盤がありながら、全力で裁量を渡していますので、そうした環境の中で社会にインパクトを与える事業をつくってほしいと思っています」（田中氏）。

もう一つ、同社の大きなキーワードが「100％自己資本経営」だ。余計な要望に振り回されることなく、自由度高く仕事に取り組める環境があるのだ。

現在はマッチングアプリ領域と業務改善SaaSが好調で、着実に売上の基盤を積み上げている同社。今後についてはエンタメ事業やアート事業にも力を入れながら、非連続な成長を狙っていく考えだ。また、同時並行で海外展開もスタート。土台が安定しているからこそ、次なるチャレンジにも前向きに力を入れていける良いサイクルができている。

「世の中のトレンドに合わせて、常に新しいプロダクトを出し続けられる組織でありたいですね。そのためにも、世の中の流行の移り変わりにきちんと対応できる状態をつくりながら、常に変化していける組織を目指します。新しいことをやるならアイザック、と世の中に認知されるくらいになりたいですね」（田中氏）。

成長した事業については切り出して子会社化する考えもあるという。そうすることで、CEOのような責任あるポジションを生み出すことができ、それを多くの人が経験できるからだ。「人も事業も成長できる環境をつくれるのが、うちの強みです」と田中氏。

「私がいつも言っているのは“全力で挑戦した結果の失敗に対しては寛容だけど、怠惰や仕事の習慣が悪くて失敗したことに対しては厳しい判断をする”ということ。うちの社員はそれをすごくわかってくれているので、結果が出なかったことに対してネガティブになったりしませんし、積極的にチャレンジしてくれていますね」（田中氏）。

挑戦し続けたい社員にとっての機会創出の場として設けているのが、アイデアの事業化を応援する新規事業奨励制度「Go To Moon」だ。提案内容について経営陣からフィードバックがあり、その中から事業化されるものも多いという。事業化のための資金だけでなく、事業化が決定した場合は別途ボーナスが支給される。

社員一人ひとりの自主性や創造力を尊重するだけでなく、新たなアイデアの実現を後押しする企業文化の醸成にも力を入れる同社。役職や部署など立ち位置は関係なく、「いつでも誰でも挑戦者になれる組織」をつくることに力を入れているのがよくわかるだろう。

2023年に新たに策定したのが、「全ての挑戦者が、生涯働きたいと思える場所をつくる」というパーパスだ。メンバー全員が挑戦者になることができ、平等に機会を得られる場所であることは当然として、「楽しい！」を共有できる仲間と生涯一緒に働けるかけがえのない場所をつくりたいという思いが込められている。

「そのための一つとして、社員旅行やオフラインのイベント等、コミュニケーションを促進するための取り組みについては投資を惜しまずに行っています。歓迎会のほかに新入社員は2週間ランチに行き放題といった制度も用意しており、社員同士の交流は多いと思いますね」（田中氏）。

アイザックでは様々なバックグラウンドを持つ20〜30代が多数活躍している。その特徴について伺うと、「ナイスな人が多いですよ」と笑う。

「能力が高いだけでなく、気持ちの良いコミュニケーションが取れる人がたくさんいますね。そういういい人たちに吸い寄せられるように人が集まって、アイザック特有の心地の良い組織風土ができているように感じます」（田中氏）。

求める人物像については、「好奇心が強いこと、負けず嫌いで誠実に頑張る人、何より素直でいいヤツ」と語る田中氏。さらに「変化が激しい時代だからこそ、新しいスキルを獲得しないといけなくなるペースも早まっている。だからこそ変化に強い人であってほしい」と付け加える。

創業10年目に突入し、大きな変革期を迎える同社。立ち上がった事業がどんどん成長しており、面白いフェーズに入ってきた。まさに今が旬といえる事業がたくさんあることから、今後の成長も大いに期待ができそうだ。

「当社はすごく優秀なエンジニアが集まっている一方で、ビジネス側のポジションがまだまだ空いており、良い打席は回ってきやすいのではないかと思います。特にマーケなどは経験豊富で優秀なCMOがメンターにつきますし、ゼロから全部自分で組んでいける環境があり、“全部自分がやった”といえるような経験を積めるはずです。チャンスをつかんでいただくなら、今なのかなと思いますね」（田中氏）。