株式会社ディー・アイ・ジー

株式会社ディー・アイ・ジーは、SAPのコンサルティングから開発、運用保守までを一貫して手掛けているITベンチャーである。

同社では、エンタープライズ向け基幹システム（ERP) として知られるSAPの諸モジュールのうち、主にSD（販売管理）、MM（購買／在庫管理）、PP（生産計画／管理）といったロジスティクス領域をメインに手掛けている。

手掛ける業務範囲としては、上流コンサルティング、SAPの導入・開発、およびSAPの運用保守（Application Management Services：AMS）。

「企業へのERP導入は導入して終わりではありません。関連する法令の変更や導入企業の組織変更、新機能のリリース等のたびにメンテナンスを行う必要があり、基幹システムにつき大きな予算が組まれます。このため、IT領域の中でもマーケットは堅実であると言えます」と代表の加々美氏は説明する。

同社のクライアントは、売上規模が数千億円から数兆円の製造業を中心とする大手企業ばかりで、直取引が80%以上という商流の高さが強みだ。

業務のスタイルとしては、同社のメンバーは営業およびコンサルティングから要件定義などの上流工程を担い、開発業務は全て外部のパートナー企業に依頼してプロジェクトを組成している。その方針について、加々美氏は次のように話す。

「プライム案件、プライム二次請け企業として、技術的な品質の高さは死守しなければなりません。そこで、技術力やコスト競争力を重視してフリーランスや協力会社を厳選し、人員を確保しています。これらの中からお客様の課題や人柄等に合うスタッフをアサインしますが、合わないと判断すれば即座に変更しています」

こうしたスタイルを特徴として、これから顧客を増やしていく構えだ。

同社は2015年9月、代表の加々美氏が取締役と共に4名のメンバーで創業した。社名のディー・アイ・ジー（DIG）とは“掘る”という意味。「顧客がなかなか言葉にできない"真のニーズを掘り起こす”」という思いを込めて命名した。

代表の加々美氏は、ドイツ系大手IT企業に在籍し、自動車メーカーをクライアントとしてICTサービス全般を扱うアカウントセールスに6年ほど従事する。その後、日系大手SIerのグローバルサービス部門に転じ、SAPのアカウントセールスとして日系企業の海外展開における基幹系システムの導入を手掛ける。そこで、アメリカやドイツ、シンガポール、マレーシア、タイ、インド、香港等を飛び歩く日々を過ごした。

「30代を迎える頃となり、このままでは仕事に追われプライベート生活をつくれないまま過ぎてしまうことを懸念していました。そこから脱するには、自ら環境をつくるしかないと考えていました。そんな話を長年親しかったお客様と話している時に、『会社をつくればいい。応援する』と言ってもらえました。その言葉に背中を押されて当社を設立したという経緯です」（加々美氏）。

掲げたパーパスは、「だれのためのテクノロジーか？」である。
加々美氏は、システム開発会社が売上拡大のために必ずしも必要とは言い切れない機能やプロジェクトを提案し、開発する実態を見てきた。特にSAPの業界はエンジニアも高単価である半面、技術力やノウハウがそれに見合っていない問題意識があった。一方で、ユーザーである企業側はシステムに関する悩みを抱え、相談相手を求めていることも知っていた。
「そういったことから、お客様の一番の相談相手となり、お客様にとってベストと言えるものを提案できる存在になろうと決めたのです」（加々美氏）。

そのために、スタート当初からプライムの立場にこだわり、高い技術力を持つ協力会社やエンジニアの確保に取り組んだ。
「商流が高ければ高いほどお客様の悩みを正しく捉えることができ、直接提案できる面白さを感じることができ、収益性を高めてスタッフの報酬を上げ、よりハイレベルのスタッフを確保することも可能になります。この“正のスパイラル”にこだわり続けます」と加々美氏は力を込める。

そして今後もSAPにこだわり、“顧客のためのテクノロジー”にもこだわりながら事業規模の拡大を図っていく方針だ。

同社では、次の三つのバリューを掲げている。

●Enjoying the challenge：挑戦を楽しむ
未知の領域に踏み出す勇気を持ち、自身の成長を楽しもう

●With Integrity：真摯に向き合う
他者への敬意、理解する努力、伝える努力を怠らない

●Professional Excellence：プロとしてのこだわりを持つ
プロとしての責任とこだわりを持ち、自身のパフォーマンス向上を追求し続ける

同社のマネジメントポリシーについて、加々美氏は次のように話す。
「お客様に提供するサービスの質、スピード感といったものに対しては、かなり厳しくチェックしています。また営業については例えば、『外部からのメールには3時間以内に返信する』といった定量的なルールを設け、明確に伝えるロジカルなコミュニケーションを重視しています」

もちろん、ハイレベルなアウトプットにするためのチャレンジを求めるだけでなく、分からないことはオープンに教えたり、常に最新の機能に触れて学べる環境も用意している。また、営業面では体系化されたナレッジを構築し、初心者でも取り組みやすい環境をつくっている。
「案件をまたいでコンサルタント同士が情報交換、情報共有できるネットワークを構築していることも、当社の特長の一つ」と加々美氏。

働き方としては、子持ちで時短勤務をしているコアメンバーや、遠方の実家でたびたび仕事をしているメンバーなど柔軟な働き方をしていることもあり、これから加わるメンバーもリモートワークを基本として柔軟に働けるだろう。

「業務のアウトプットはもちろん、服装や身だしなみ、時間等に対する規律には厳しいですが、それ以外は自由にできる環境があると思います」（加々美氏）。


そんな同社が求める人材像について、加々美氏は次のように期待を寄せる。
「オーラが明るく、ポジティブな方。失敗を厭わず、目的に貪欲に取り組める方。そして、責任を全うできる方。当社は思ってもみなかった大きなチャレンジができる等、成長できる環境があります。ぜひ仕事を楽しんでいただきたいと願っています」

これから規模を広げていくフェーズにあって、コアメンバーとして会社を大きくしていける醍醐味も味わえるだろう。