株式会社キーバインド

銀行・保険会社といった金融業界を中心に、大手クライアントのシステム開発を手掛ける株式会社キーバインド。同社は2002年からの歴史を誇りながらも、現在大きな変革期を迎えている。

設立当時のメンバーは、金融領域のシステム開発現場を長きにわたって経験していた。そこで蓄積されたノウハウを生かし、まずは金融機関系業務システムの開発ノウハウを生かしたシステムエンジニアリング企業としてスタートを切った。

現在は、SIerや不動産会社、警備会社等、多岐にわたる業界のプロジェクトも手掛ける。また、システムエンジニアリングだけでなく、受託開発でもプロジェクトを進めている。

同社の大きな特徴は、大手企業とのプライム案件が圧倒的に多いこと。しかしそれでいて、同社そのものは中規模な組織。この一見相反する企業規模の取引が、プラスの効果を生んでいる。少数精鋭のチームで動くため、フレキシブルな対応や、クライアントとじっくり対話しながらの開発ができるのだ。

そのような体制がクライアントから高く評価され、業界で話題に上がるようなシステム開発に携われることも多い。近年は、とある保険会社で扱う汎用機（メインフレーム）をオープン系へとマイグレーションするプロジェクトに参画した。

またある時は、クライアント側の予算管理の他、クライアントが雇用する自社エンジニアの教育を担うことも。社員さながらに踏み込んだシステム開発で、信頼を得ているからこそ依頼される領域だ。

「こういった仕事はシステム開発企業としては珍しいかもしれませんが、長年お付き合いのあるクライアントからよく依頼を受けます。当社としても喜んでお受けしています」
取締役（人事・経理部 部長）を務める坂元将人氏はそう語る。

エンジニアとしても、手応えを感じる瞬間は多いはずだ。大手クライアントからの要望をダイレクトに聞きながら開発に当たり、ユーザーの反応や喜ぶ姿をそばで見られるのは、プライム案件ならではの魅力だ。

そんな同社を象徴するキーワードは、「共存共栄」。会社としても経営テーマの一つに掲げている。同社の高い技術力を求めるクライアントへ、付加価値（想像以上）のあるシステムを提供する。そのために社内のエンジニアは、日々技術やノウハウを磨き続ける。その繰り返しで、クライアントと自社という「企業と企業」、そしてユーザーとエンジニアという「人と人」が、お互いに成長していくのだ。

ここで、同社の社名について触れたい。

鹿児島の方言「きばっど」は、「頑張ろう」「気張ろう」と自分や相手を励ます言葉だ。また「繋ぐ」という意味のある「バインド（Bind）」にも思いを込めたという。人と企業が巡り合い、結び付き、共に磨き合い、成長していく。先にも触れた、「共存共栄」のマインドにもしっかり結び付いている社名だ。

同社は設立以来、右肩上がりの成長を続けている。

「業績は現在さらに好調で、会社が日々大きくなっている実感が湧いています」と話す坂元氏。

続けて、こうも話した。
「しかし、今までと同じ考えや動きを続けていてはいけません。今の好調ぶりをプラスに捉えつつ、今後さらに発展させていくために、経営陣も含めて意識改革を進め、サービスや組織の在り方をアップデートさせています」

その改革の一つとして、クラウドサービスはもちろん、開発へのAI活用も積極的に行っている。

例えばテストコード等はAIに任せ、人間の手で行うべきところと分担し、生産性を上げている。社内で実証実験を繰り返し、独自のツールを生み出した。作業効率が上がるだけでなく、同社の技術力の高さも証明でき、クライアントからの評判も上々だ。

また近年は、自社プロダクト等の新規事業も展開する同社。近年は、見守りセンサーサービス『日日安心』等の自社プロダクトも開発・販売。『日日安心』は地元を離れて暮らす子供や孫が、オンライン上で高齢者の暮らしを見守るサービスだ。メディアに取り上げられ、ふるさと納税の返礼品にも採用されている。

独自のAI開発ツールや自社プロダクト……。こういった新たなアイデアは、トップからの構想だけではなく、事業部単位や一般メンバーからも寄せられる。というのも当社では、各事業部がほとんど独立した形で動いている。事業部ごとでカラーがあり、独自の企画や体制が出来上がることも珍しくない。そして、経営陣の稟議もスピーディーに進む。

「会社としても新しいことを続々とスタートさせたいですし、企画の価値や本人の熱意があれば、実現に向けて前向きに考えることが多いですね」（坂元氏）。

この社風について他のメンバーにも取材したが、「『やってみたい』という声を応援してくれる」と支持する人が多い。自身のアイデアや企画を出しやすく、メンバーの協力体制も根付いており、実現スピードが速いからだ。今まで縦割り文化の組織を経験したメンバーや、未経験のことに手を出せなかったメンバーにとっては、同社はアクティブになれる環境だろう。

「繰り返しますが、当社は今、大きな転換期を迎えています。この進化の過程を一緒に楽しみ、一緒に成長できる人をお迎えしたいと考えています」坂元氏は改めて、こう語った。

そのために求めるのは、自分や組織を高めるための行動力、思考力。そして日々学ぶ意欲だ。

実際、この3点を持ち合わせて活躍するメンバーは多い。

まず、教育業界から未経験で転職したメンバーA氏。エンジニアの業務経験はなかった。しかし福利厚生として無制限利用できる学習システム等を駆使して、猛勉強を重ねた。その結果、現在社内でも大規模なプロジェクトのPLとしてチームを頼もしくリードしている。

次に、入社当時は自信がなく、言動も控えめだったというB氏。純粋に技術が好きな職人肌に見えたが、同社での仕事を通じてマインドも変化する。ある時「リーダーになりたい」と発言する機会があり、坂元氏を驚かせたという。

さらに、坂元氏は語る。
「もちろん、元々の素質を兼ね備えた優秀なメンバーばかりですが、そんな彼らも、経営陣や上司、先輩の背中を見て成長している気がします。というのも、当社の上層部の人間は、キーバインドという組織の在り方を、自分達がきちんと実行しているんです。上層部が自ら考え、行動し、日々たゆまず学ぶ姿勢を体現している。だからこそ、一般のメンバーも納得して見習いますし、頼って相談してくれるのではないでしょうか」

そう、システムエンジニアリングがメイン事業の一つである同社だが、社員間の繋がりも強い点は面白い。

同社はクライアントのプロジェクト先に出社するケースも多いが、それでも週1回ほどのハイペースで事業部ごとに集まり、顔を合わせてのディスカッションや相談を怠らない。経営陣や事業部長等との距離感の近さは、上層部、ひいては会社全体への信頼を築いているようだ。

実際、取締役である坂元氏へ一般メンバーが相談を持ち掛けることも多く、社内の食事会等の出席率も高い。

高い帰属意識とモチベーションを持ち、仲間やクライアントを思い、「共存共栄」し続ける姿勢。これが、同社が設立以来途絶えることなく目覚ましい成長を見せる理由なのだ。

そして同社のストーリーは、次のページが開かれようとしている。企業の大きな変化をつくり出し、自らのキャリアも前進させたい。そんな人にぜひおすすめしたい企業だ。