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株式会社東京カソード研究所

    オンリーワンの技術で成長

    上場

    企業について

    「カソード」とは、ブラウン管の内部にある電子銃に組み込まれ電子ビームを発生する部品で、ブラウン管の心臓部といわれるものだ。東京カソード研究所は、カソードの開発・製造から事業を開始し、その後は半導体関連および液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ関連市場へと事業領域を広げながら成長してきた。




    創業は1950年。当初は創業者である大久保庄三氏の個人企業だった。当時、カソードを専業とする会社は他になかったこともあり、社名にも「カソード」をつけた。1964年の東京オリンピック開催から通信需要が急速に増大したのを受け、同社は1963年に株式会社化した。




    カソードはブラウン管テレビにおいては心臓部に当たる重要な部品だが、現在は液晶パネルやプラズマディスプレイの市場が拡大し、ブラウン管そのものの需要が落ちている。そうなると、売上は下がりそうなものだが、同社の業績は順調に伸びている。




    それは、カソードで培ってきた高い技術力をベースに変化に柔軟に対応し、その時々の市場のニーズに応え、新しい製品を生み出してきたからである。

    同社は、「全員一致協力により最良の製品を世に出して、最大ではなく最良の会社-Good Company-を目指す」という企業理念を打ち出し、常にオンリーワンであることを標榜している。1995年10月、日本証券業協会に株式を店頭登録(現在はジャスダック証券取引所に上場)。2007年4月には、大久保尚武氏が社長に就任し、さらなる成長を目指して活動を続けている。現在、カソードで築きあげてきた企業資産を大切に活かしながら、次代のコア技術を模索している。




    そんな同社には現在、大きく分けて3つの主力商品がある。
    半導体検査に使われ、ICの不良品を選別する「プローブカード」。液晶パネル、画像処理、特に光学フィルムの不良品を検査する装置。そして液晶パネルのバックライト用電極だ。




    同社はもともとカソードを作っていたわけだが、カソード部品で使われている「タングステン」という材料を利用し、プローブカードを作ることになった。続いて、プローブカードを検査するための装置事業部を立ち上げたが、それが発展して液晶パネルの検査装置が生まれた。このように、時代に要請される製品を、高い技術力で実現し続けてきた結果が、同社の新しいコア事業となっているのだ。




    現在、取引先には、半導体や液晶パネルの大手メーカーの名前がずらりと並ぶ。半導体で言えば、NEC、東芝、ルネサステクノロジ、富士通、松下電器産業など主要企業はほぼすべてを網羅し、液晶でもシャープ、サムスンなど、世界のトップ企業に製品を納入している。




    同社の競争力の源泉は技術力。開発室は社長直轄で、新しい開発テーマも社長が直接管理し、推進していく。
    これまでに同社が手にした技術の中でも特筆すべき例を挙げよう。ひとつは、モリブデンを使ったバックライト。従来、バックライトはニッケルを加工して作られてきたが、ニッケルよりもさらに高輝度の効果を得られるモリブデンという素材に対して、メーカーから注目が集まっている。ただし、モリブデンをバックライト用に加工するには非常に高い技術が要求され、現在その技術をもっているのは世界でも2社しかない。そのうちの一つが同社なのである。また、プローバは現在、接触型のものから非接触型へとニーズがシフトしているが、非接触の技術を持っているのは、同社と競合ただ一社だ。こちらも高い伸びが期待されている。

    同社の社員数は247名(2008年3月現在)で中途採用者が半数をしめる。平均年齢は30歳代後半。「すなおでおっとりした人が多い」(大久保氏)という。
    同社では、採用において学歴にはこだわらない。大切なのは「常識力」と大久保氏は言う。




    2005年に新人事制度を導入し、年功給は残しつつ、個人評価をより積極的に取り入れるという柔軟な給与体系とした。具体的には、ある年齢までは経験給として年功がつき、一定の給与水準にいたるまでは給与を引き上げるかたちをとっている。完全な実力主義ではなく、バランスの取れた内容で社員が納得感を持って働けるように配慮している。




    社員教育にも力を入れている。各事業部長に対しては、マーケティング・会計・リーダーシップ・営業教育・メンタルコントロールなどのハードスキルの部分や、クリティカルシンキングなどのソフトスキルの研修を行っている。また、2007年からは教育専任担当者も採用した。希望者は外部研修にも参加できる。これも主体的な人材を育てるという方針の一環だ。「当社は「オンリーワン」という点を昔から強く意識していますが、昨年からはさらに従業員の幸福感を向上しようと社員にも訴えています。会社をさらに成長させるためには、顧客だけでなく、社員や株主の幸福感を高めることが自分のミッションだと思っています。」と大久保氏。社員とのコミュニケーションを意識的に増やし、意思疎通と一体感の醸成を図る。




    以前サービス業で営業職に就いていた小林氏は、メーカーで働きたいと考え、24歳の時に同社に転職した。管理部門の中で未経験の業務に携り、一からたたき上げられた一人。現在も人事担当として奮闘中である。
    採用において小林氏は、「面接ではどんな質問にもざっくばらんに話します。良いことばかりでなく、ありのままを話すよう心掛けています」と言う。それは「良い人を採用することが目的ではなく、採用後に活躍してもらうことを目的としているからです」と同氏。入社してから「こんなはずではなかった」というミスマッチ離職は、お互いが不幸になると考えているからだ。




    新しく入社する人には、「自分がこうなりたいという社会的な視点で目標を持っておいたほうがいい」と大久保氏はアドバイスを送る。主体的な取り組みができる人であることがキーポイントであるようだ。
    「10年後には500億円から600億円の売上規模、営業利益率10%を目指す」と同氏。しなやかに変化を続ける同社で、チャンスをつかんでみてはいかがだろうか。

    インタビュー

    株式会社東京カソード研究所のインタビュー写真
    <strong>代表取締役社長 大久保 尚武 氏</strong> 大学では工学部でセラミックを勉強。卒業後、富士通ゼネラルに就職し、1996年に東京カソード研究所に入社。経営企画室勤務を経て、1999年には海外企業との合弁会社の社長を務め、相手先との交渉や経営面を学ぶ。その後、ブローブカード事業部長、取締役を経て、現在に至る。

    ── 就任2年目ですが、現在、どのような取り組みを行っていますか。

    今まで、様々な事象について抽象的に捉えていたものを、数値化して明確に把握し、経営に活かしていく取り組みを行っています。その一環として、人事制度を変化させつつあります。一つは完全に年功序列だった給与体系を見直したこと、もう一つは実力があれば誰でも管理職になれるような仕組みにしたことです。10年前なら40歳でようやくマネジャーになれるというところでしたが、今では32歳や35歳のマネジャーも登場しています。

    私自身は、できるだけ社員とのコミュニケーションを積極的に取るようにしています。たとえば、すべての事業部の会議に出席したり、飲み会にも参加するようにして直... 続きを読む

    企業情報

    会社名

    株式会社東京カソード研究所

    企業の特徴
    上場
    資本金

    23億2,310万5,195円

    売上(3年分)

    2008313,652百万円

    2007312,506百万円

    設立年月

    1953年04月

    代表者氏名

    代表取締役社長 大久保 尚武

    事業内容

    半導体・LCD・PDP検査機器/
    プローブカード/
    電子材料/
    LCDバックライト用電極/
    ブラウン管用部品の開発・製造・販売

    株式公開(証券取引所)

    従業員数

    247人

    平均年齢

    39.3歳

    本社住所

    東京都 板橋区板橋1-10-14

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