株式会社ホームプロ

全国の優良リフォーム業者を紹介するサイト『ホームプロ』を運営する株式会社ホームプロ。トラブルが多いリフォーム業界において優良業者だけを紹介する安心さや手軽さが受け、ここ数年間は売上高で40％ほどの高成長を続けている。

『ホームプロ』は、大阪ガスの社内ベンチャーとして2001年2月にスタートした。国内初のリフォーム業者紹介サービスの登場である。当時、悪徳リフォーム業者が高齢者に高額のリフォームを売りつけるといったトラブルが続出し、社会問題になっていたことが背景にあった。関西圏へのサービス提供でスタートし、6月には首都圏、7月には中部圏とサービスエリアを拡大。そして、11月にNTT東日本、NTT西日本などの出資を得て株式会社ホームプロとして法人化。2002年には、生活総合情報サイト『All About』の「スーパーおすすめサイト2002：住宅・インテリア部門賞」を受賞するなど、ECサイトがまだポピュラーではなかった当時、その画期的・先進的なサービスは注目を集めた。

しかし、リフォームという限定された市場をターゲットにしていただけにユーザー数を増やすことが簡単ではなく、収益力をいかに上げていくかが大きな経営課題となっていた。その時期にリクルートと出会う機会があり、2006年にリクルートが51％を出資し同グループに加えることになった。情報誌やフリーペーパー、そしてネットといったメディアを通じて広範な分野で情報サービスを展開していたリクルートは、当時、新しいマッチングモデルを模索していた。そうした中で、サービス提供者とユーザーを結びつけるだけでなく成約まで後押しする『ホームプロ』のビジネスモデルに着目したのである。そこには、リクルートが展開する『Goodリフォーム』というリフォーム分野の情報誌や、住宅情報の『SUUMO（スーモ）』とのシナジーを発揮させてサービスを強化する狙いもあった。

その後、『ホームプロ』はSEO/SEMで独自のノウハウを構築して集客力を格段に高め、2008年度に3億円弱であった売り上げが2012年度は約10億円を見込むまでの急成長を遂げた。

そのプロセスでサービス提供エリアを着実に広げ、2012年7月の沖縄でのサービス開始を最後に、47都道府県のすべてで利用できる文字通りの全国サービスに発展した。今後は、さらに登録リフォーム業者を増やして数多くのユーザーにより身近なリフォーム業者を紹介できるようにするとともに、登録リフォーム業者のサービス品質を不断に高めていく方針である。

同社が展開する『ホームプロ』は、「家全体」をはじめ、「水まわり」「外まわり」などの部位別、「マンション」「増改築」「耐震」などのテーマ別に、ユーザーの要望に合うリフォーム業者を最大8社紹介する。ユーザーはそれぞれの業者から提案を受けたり、費用相談や見積り依頼ができ、ユーザーが申し込むとその情報が登録リフォーム業者に提供され、リフォーム業者が手を挙げることで紹介が成立する。ユーザーとリフォーム業者は専用ログイン画面を通じて、ダイアログ方式で相談や見積もりのやり取りができるという仕組みだ。そのプロセスでユーザーはリフォーム業者を選択することができる。匿名でやり取りができるので、途中で離脱してもその後不要な営業行為を受ける心配はない。

また、ホームプロはリフォーム業者を登録する際、厳重な審査を行っている。まず、金融機関並みに財務内容をチェックし、さらに過去の取引実績を提出してもらい利用者に聞き取り調査を行うのだ。こうして、“優良”と判定した業者だけを選りすぐっているのである。

それだけでなく、工事終了後はユーザーに評価してもらい、高評価の業者は表彰し低評価の業者には「改善報告書」の提出を義務付けるなど、登録業者の質の向上に徹底して取り組んでいる。

一方、リフォーム業者の中にはネットを使ったこともない人もおり、ホームプロの「エリアマネジャー」と呼ばれる営業担当者がキメ細かい指導を行う。こうして成約率の向上に地道に取り組んでいるのである。

もう一つ、ホームプロの成長の大きなエンジンとなったのが、SEO/SEMのチューニング技術である。この独自開発によるWebマーケティング技術によりコストパフォーマンス最大化を図っている。

平均年齢は32歳で、社内は比較的落ち着いた雰囲気だ。リクルートグループの会社ではあるが、全28人の従業員中21人はホームプロに入社したプロパー社員が占める。

組織はシンプルで、加盟リフォーム業者を開拓・指導する「営業部門」と、サイトの開発運営や集客を担う「メディアプロデュース部門」、「経営企画部門」に分かれる。「メディアプロデュース部門」は、サイト開発、運営、集客などと担当が分野ごとに分かれているので、スキル向上はそれぞれがセミナー受講などを通じて図っている。

人事制度はリクルートグループに準じており、職務に応じて給与のベースが決まる「ミッショングレード」制を導入。半期ごとのミッション達成状況による考課が為される。福利厚生の水準もリクルートグループに準じて設計されており、株式会社リクルートホールディングス社員持株会にも加入できる。なお、社外の福利厚生サービスにも加入している。

ホームプロの場合、少数精鋭の環境下であるがゆえに、一人ひとりに任される範疇が広くなるため、まずは主体的に業務に取り組める人を求めている。そのためには、コミュニケーション力も高くなければならない。また、コンセプチュアルなアプローチだけでなく、数字に落とし込んで物事を考えるビジネスセンスも必須だ。

40％というリクルートグループでも高い成長率を見せる同社はいま、強い存在感を放っている。リアルで強力なネットビジネスに携われる、またとない会社であると言えるであろう。