ホームプロにかかわるようになった経緯をお教えください。
リクルートがホームプロに出資する検討を進めていた頃、私はリクルートで『Goodリフォーム』の営業責任者を務めていました。利益が上げられていない状況にあるホームプロに出資することに対して、どちらかというと私は否定的にとらえていました。「出資するならすべてを変えなければダメ」と上司に対して言った覚えがあります。しかし、会社は出資を決め、私の直属の上司が社長に就任することになりました。そして、私はその上司に連れられて営業責任者としてホームプロに出向することになりました。 正直に言うと最初は抵抗感がありました。しかし、数カ月もすると「こんなに面白い事業はない!」と思うようになったのです。それまでの二十数年の会社員生活の中で、これほど毎日ワクワクできたことはない程でした。 『Goodリフォーム』もそうですが、リクルートの情報ビジネスは、基本的にクライアントからメディアへの掲載料を頂戴し読者に情報を提供することで成立するビジネスモデルです。ところが、ホームプロは単なる情報提供ではなく、サービスベンダーとユーザーとの間で取り引きが成立することで初めて課金するというモデルです。つまり、双方のお客さまが満足できなければ成立しないという枷を自らに課しているという点で、顧客満足に真正面から真剣に向き合わなければならないのです。当事者になってみて、そこにある種の感動を覚えました。それ以来、この会社にのめり込みましたね。
社長に就任された経緯はどういったものでしたか?
社長に就任していた上司が、人事の都合で1年でリクルートに戻ることになりました。後任を考えた時、仕事にのめり込んでいる私を適任者と思ったのだろうと思います(笑)。 就任を打診されて正直、驚きました。当時はまだ赤字が続いていた状態でしたので、黒字化しなければならない責任の重さをズシリと感じました。しかし、チャレンジしがいのあるテーマだと考え直し、この画期的なビジネスモデルを磨きこんでもうかる仕組み作りにトライしようと思いましたね。
では、どのように業績を立て直して行かれたのでしょうか。
まず大前提として、『ホームプロ』は加盟リフォーム会社とエンドユーザーが車の両輪となって成長していけるビジネスです。当社を成長させるには、この両者を獲得し、それぞれのご満足につながる中味の濃いサービスを実現させていくことに尽きます。 業績を上げるためにまず考えたのは、加盟会社に対する手数料の値上げでした。しかし、一方的に値上げをするだけでは、加盟会社の離脱を招きます。そこで、一緒になってユーザーを獲得し成約に結び付けるための仕組み作りに取り組みました。具体的には、商談ノウハウを形式知化し、加盟会社向けに無料セミナーを開催してレクチャーしたり、エリアマネージャーが一軒一軒回って直接お教えするといった地道な作業を繰り返したのです。その結果、1社の離脱を招くことなく手数料率アップを受け入れていただきました。また、ユーザー獲得のためには、リスティング広告を適正化するシステム構築に取り組みました。 親会社のリクルートは、四半期ごとに業績目標を立てて追求する企業風土の会社です。しかし、当社はユーザーにリフォーム会社をご紹介してから相談や商談を経て、さらに工事をした後に初めて売り上げが立つビジネスです。紹介から半年や1年はかかります。リクルートに対して、そうした事業構造を理解し長い目で見てもらうようにすることにも努めました。 そして、2011年度に昨対比40%アップという好業績に結実させることができたのです。
そのようなご自身の仕事観と、社員に対する思いについてお聞かせください。
好きな言葉に「人事を尽くして天命を待つ」があります。事業は天命、つまり運によって左右される面も多分にありますが、そうした運を引き寄せるのは人の力だと信じています。何かを待つ前に、やれるだけのことはやっておきたいと常に思っています。 社員に対しては、人生を充実したものにしてほしいとの思いがあります。そのためには、まずは仕事が充実したものでなければならないでしょう。仕事が充実すれば、プライベートも充実すると思います。そういう意味でも、この1年間で5人の社員が結婚しました。相当充実しているのではないかと自負しています(笑)。 そんな社員に対しては、自分達で会社を創るという気持ちでいてほしいという思いもありますね。私はよく言うのですが、引かれたレールの上を走るのではなく、自らレールを引く人になってほしいということです。
では、求める人材像をお教えください。
今申し上げたように、歯車の一つとなる人ではなく、「歯車を動かす人」ということです。事業を動かすことに、苦労は付き物です。そこで、苦労を苦労とも思わず、楽しめるような人に来てほしいですね。また、「成長し続けるために自ら動く人」です。打率は低くてもバットを振らなければ絶対にヒットは生まれません。 そして、既成概念の枠にとらわれない人です。ホームプロのビジネスモデルに拘泥する必要はありません。今の仕組みを磨いても10%の成長はできるかもしれませんが、倍増させるのは難しいかもしれません。どうすれば業績を倍増できるか、そうした大きなテーマに挑戦したいという人からのご応募をお待ちしています。