株式会社CLARITY STUDIO

株式会社CLARITY STUDIOはオンラインゲームの開発会社だ。メジャーなソーシャルゲーム各社に多くのゲームを提供し、その一部は同社のWebサイトに実績として公開されている。ただし製作者として名前を出せないケースも多いので、詳しくは直接同社を訪ねてみるといいかもしれない。近い将来、自社ブランドのゲームを出すことも計画しており、その開発も着々と進んでいる。

同社創業社長である栗林氏は、パソコン通信の時代からオンラインゲームの開発に携わってきた、いわばこの世界の先駆者。前職ではとある有名なゲーム開発会社で開発部長を努めていた。しかし立場上、マネジメントの仕事が多くなるにつれ、やはり自分の手でゲームを作りたいという思いが強まったという。その後独立し、設立したのが株式会社CLARITY STUDIOだ。社名に「STUDIO」と入れたのは、自然と人が集まって、自由に伸び伸びとゲームをつくる「開発スタジオ」のような組織にしたいと思ったからだ。

そんな経験、スキル、人脈と全てを持ち合わせている栗林氏だが、まったく偉ぶったりすることはなく穏やかに、そして好きなゲームについて語る時はニコニコと笑顔になる。その和やかな雰囲気がそのまま社内の空気になり、楽しそうに仕事をするメンバーたち。この会社から、ユーザー数50万人に上るヒットゲームも生まれた。

「今後も大人数で戦うようなオンラインゲームを作りたいですね。プライベートでするのもそういうものばかりです（笑）。大人数で戦うのは、みんなでワイワイ盛り上がりながら宴会をやるようなもの。コンピューターが敵だと、ある程度攻撃のパターンもわかってきますが、人が相手だと、『そう来たか！』というような驚きがあります。やっぱりそれが楽しい。当社で作るゲームもそういう方向を目指したいです」とこう楽しそうに語る栗林氏。

「おもしろいを実現し、もっとおもしろいへ」。同社のWebサイトにはこんな言葉が踊る。自由な発想で、ワクワクするような体験が得られるゲームを出したいという同社の思いが伝わってくる。

オンラインゲーム開発会社としてのCLARITY STUDIOの特徴は、ジャンルやターゲット層を問わず、多様なゲームを開発する力があること、そしてその開発力や企画力の高さから、自らゲームの企画をつくってゲーム会社に提案していくようなスタイルの仕事が多いことなどが挙げられる。もちろん「こんなゲームを作りたいのだけど…」と話を振られることも多いが、いずれにしても企画段階からスタートし、設計、開発、リリース後の運用という一連のプロセスに高いレベルで対応できる力を備えていることが強みだ。

ちなみに、ゲーム会社から、開発がうまく進まない他社のゲームが持ち込まれ、ヘルプを頼まれることもある。オンラインゲームにはノウハウが必要であり、たとえばコンシューマーゲームを中心にやってきた会社が、流行っているからとオンラインゲームに挑戦しても、一朝一夕にはうまくいかないこともあるという。そんなときの駆け込み寺的な存在にもなっているのがCLARITY STUDIOだ。

「当社が評価してもらっているのは『ちゃんと作る』という点だと思います。作れないでトラブルになるというケースが少なくありませんから。またオンラインゲームは、ゲームのおもしろさだけではなく、課金の仕組みなどビジネスとして考える必要があります。私は20年前からこの仕事をしているので、その点が身に染みてわかっています。そのあたりも他社さんとの違いになっているのかなと思います」と、あくまでも謙虚に語る栗林氏だが、まさにその経験の差が同社の強みになっているのだろう。

少数精鋭の同社。エンジニアやディレクターなど職種はあるが、全員の顔が一目で見渡せる環境下、職種を超えた口出しも大歓迎だ。栗林氏の仕事ぶりを見ながら企画の立て方も学べ、さらには自ら企画を出すチャンスも大いにある。メンバーには「一人で企画から運用までできるほどに力をつけてほしい」（栗林氏）と思っているだけに、実際にそのような意欲あるメンバーが多く出てくれば、こんなに嬉しいことはない。色々なことを学び、自らの手でゲームを生み出すチャンスも身近にある。CLARITY STUDIOはそんな会社だ。

現在、社員は8人（2014年3月）だが、オフィスにはアルバイトや外部スタッフも出入りし、にぎやかだ。学校を出たばかりの若手メンバーから、ベテランの域までと年齢層も様々だが、共通しているのはみんなゲームが好きだということ。これから新しいメンバーを迎えるにあたり、異業種からの転職も大歓迎だが、マインドとしてはやはりゲームが好きな人を求めている。

他社のゲームも研究してほしいという考えから、携帯電話の買い替え時の費用や月々の通信費も補助している。加えて、もちろん自分の仕事をしっかりすることが大前提だが、勤務時間中にゲームをするのも可。セミナーや業界の飲み会などへの参加も推奨し、会社で費用を補助する。それらが後の資産になると考えているからだ。

栗林氏に、ゲームを作ることの面白さや醍醐味を聞いた。
「チャレンジできることが多いという点だと思います。新しい企画を考えて実現したり、新しい技術を取り入れたり、自分たちで責任をもってやれる範囲ならどんどん挑戦しますから。技術も世の中の求めるものも日々変化します。この仕事は新しいことを学び、自らを成長させることが重要だと思っています。限界は人に決められるものではなく、自分で伸ばすもの。できることや可能性はまだまだいくらでもあるのではないでしょうか」。だからこそ、簡単にあきらめない、「やりきる力」のある人に来てほしいとも。

とはいえ決して求めてばかりの会社ではない。所定の勤務時間は10時～19時だが、自宅での作業も認められ、小さなお子さんのいるメンバーには育児の都合も考慮する。プライベートや家族を大事にしてこそ仕事も長続きするという考えの下、一人一人の生活に柔軟に寄り添う。それは少人数の会社だからこその利点でもあるだろう。創業以来、退社したメンバーは1名だけという定着率の高さにも、そんな同社の働きやすさが表れている。

この会社の作るゲームに、開発体制なども含めた雰囲気に、そして栗林氏の人となりに魅力を感じたら、一度訪ねてみるといいだろう。自分が企画したゲームが世に出る可能性も十分にある。自らやるという強い意志があれば、きっと様々なことが実現できる場に違いない。