メンバーにはどのように成長してほしいと考えていますか。
この業界は、パソコンに向かうのが好きだからこの仕事を選んだというような、内向的な人がやはり多いですよね。でもそれでは、今のソフトウェア業界のおもしろさのほんの一部にしか触れられない。色々な部分に興味を持って、目を向けるようになってほしいと思っています。 僕自身は勉強が好きで、セガを辞めてから独立するまでの5年間にビジネススクールなどに通って、マーケティングも会計も経営戦略も、お金儲けにまつわることはみっちり勉強してきました。僕は、それは学ぶべき事柄だと思っていて、メンバーにも、エンジニアリングだけではなく、基本的なビジネスの仕組みを学ぶようにという話はしています。セミナーへの参加なども推奨していて、会社として、そこにお金を惜しむ気は一切ありません。 いかにしてビジネスで勝つか、そのメカニズムを知らずして、本当の意味のプロフェッショナルにはなれないと思っていますし、それがわかれば、今までボンヤリとしか見えなかったものがくっきりと形になって見えてくる。それはパソコンの前に座っているだけではわからないことなので、メンバーには積極的に学び、実践してほしいですね。そのための働きかけは、日ごろからしているつもりです。
では、御社が求める人物像を教えてください。
「受け身にならない人」というのが、最も重視している資質です。「どうしたらいいんですか?」という人より、「こうしたらいいんじゃないですか?」という人を採用したいと思いますし、ぜひそのような人に来ていただきたいです。 技術の面はもちろん大事なのですが、何と言いますか、当社は技術を売りにはしているけれども、技術力は、熱意や意気込みがあれば後からついてくるものだとも思っています。現時点の技術力よりも、その意欲を重視して、伸びしろを見ていきたいですね。 伸びしろがない人は、話をすればわかります。あきらめが早いなと感じる人は、伸びないでしょう。いざというときや追い込まれたときにしっかり粘り、答えが出せる人は、その答えが合っているか間違っているかはともかくとして、最終的には伸びるのではないでしょうか。そのような人なら、仮にその答えが間違っていたとして、短期的にはマイナスになるようなことがあっても、長期的には当社にとってプラスになる、なくてはならない人材になると思います。
ちなみに好きなゲームは何でしょうか?
パズドラとかスーパーマリオは一般向けだと思うんですが、僕は、そういうのよりもっとシビアなゲームが好きです。例えば無人島に1つ持って行くとしたら『風来のシレン』ですかね。 このゲームの恐ろしいところは、ダンジョン(迷路)を進んでいくわけですが、倒されるとすべての装備が失われてしまう。普通のロールプレイングゲームは、装備を持ったままリセットできるのに…。僕はそのシビアさは開発者からの挑戦だと思っていて、「これでもクリアできるんだから、やってみなよ」という意志が、すごく表れていると感じます。 そのようなシビアさは、これまで私たちが開発してきた『BFBシリーズ』にもあります。毎週開催している大会で、レアな選手を獲得するチャンスがあるのですが、同種の上から2番目の強さの選手を持っている場合は、その選手を売り払わないと最上位の選手獲得に再挑戦できない。これは結構ひどい話で(笑)、今のソーシャルゲームだとあまり聞かないんですが、僕らからしたら、そんなふうに保険を持ったまま挑戦できるような甘いゲームの何がおもしろいんですかと。これは開発側からの挑戦状です(笑)。
「リスクを獲れ」というメッセージですね。人生観を問われるゲームでもありますね。
そうです。その通りです。リスクを獲れと。でもそういうところがおもしろいんじゃないかと思っていて、その挑戦を「受けてやるよ」という人が結局、ゲームを長く続けて楽しく遊んでくれているのだと思います。ここでついてきてくれるのは一部の人ですが、そのコアな層に対して、僕らはそれなりに当てることができるという自信を持っています。自分がこれまでプレーヤーとして遊んできて、「これは」と感銘を受けた部分を、今、作り手としてお返ししているところですね。 「何かを得ようと思ったら、何かを捨てなければいけない」というのは、自分が常々考えていることで、メンバーに対しても折に触れて発しているメッセージです。ゲーム作りでもビジネスでも人生でも、全部獲りは難しく、何かを捨てることで尖る部分があるので、その尖った部分で勝負をする。捨てることを躊躇しない。それは全てに通じることだと思っています。「全部をやろうとするな。本当に必要なものだけにしろ」とは、よく言っています。
ゲームやアプリの開発会社はいくらでもありますが、その中で御社ならではの魅力は何でしょうか。
エンジニアの方にメッセージを送るのであれば、私自身がエンジニア出身なので、ものづくりへの理解はあるだろうし、コンシューマーゲームの時から、それなりのヒットを出しているので、売り方もわかっているということでしょうか。 加えて成長期の会社だからこそ経験できる、「一緒に会社を作っていく」ということ。開発も採用も、外部スタッフのマネジメントもどんどん任せます。エンジニア一筋で、技術しかやらないという人には合わないかもしれませんが、経営に近い部分を経験したい人や、将来は独立したいと考えている人には、非常に力を発揮しやすい環境でしょう。会社がそれなりに大きくなれば、いいポジションを獲れるかもしれませんしね。 それから、これは考え方なのですが、「サムライ・ソフト」という社名にしたのは、海外の人にも一発で日本の会社だとわかる名前にしたかったから。小さいながらも、この名前を冠している限りは日本代表という心意気で、世界で通用するソフトウェアを作りたい、日本を代表するソフトウェア会社にしたいという強い思いがあります。この志が、他社とは違うと思っています。この気持ちに共感してくれる人がいれば、ぜひ一緒にやっていきたいです。