まず、略歴からお教えください。
大阪電気通信大学の経営工学部で知的財産などを専攻しました。経営工学部といっても実態は情報工学で、卒業後は大学院に進学しでロボットの研究をしていましたね。そして修了後の2000年4月に、当社の前身である社団法人に就職しました。 当社のことは、ISPに就職していた友人から教えてもらいました。こんな組織があるのか、と興味を持ったのがきっかけですね。ただ、当時はまだ現在のように整備されたDNSの仕組みはなく、私は入社以来、その開発や運用を担うことになります。印象に残るのは、ITバブルが騒がれた2000年代前半に、ユーザビリティを高めるため汎用ドメイン名(「○○○.jp」)を導入したこと。そのためのシステムをすべて一人で開発しました。また、ネットワーク構築を担当した際は、初めてBGP(Border Gateway Protocol)という経路制御プロトコルを、これも苦労して導入しました。実は、BGPとDNSがあればインターネットができてしまうんですね。インターネットが好きな自分としては、JPRSで若いうちにこの両技術をマスターできたことが非常に大きかったと思っています。
現在の職務内容についてお教えください。
エンジニアは全部で20名弱いるのですが、私が部長を務めるシステム部は、そのうち14名が所属しています。私自身の職務内容は、事業計画に基づく業務ミッションの遂行や社をあげて取り組むべき重点活動項目などのマネジメント、そしてメンバーの労務管理がメインですが、新しい技術的な課題にチャレンジする時の方向性を打ち出してメンバーを指導したり、時には勉強会の講師を務めることもありますよ。
JPRSにおけるエンジニアの仕事のやりがいとは、どういったところにあるとお考えですか?
大きく2つあります。1つは、自社で作った自社のシステムに関わり続けられるということです。SIerさんなどが手がける受託開発の場合は、顧客のシステムを作って納品するところまでがその会社のミッション、というケースが多いように思います。それに対して当社では、自社の事業のためのシステムを作り、さらに自社で運用するという永続性があります。その面白さと手応え感が違うと思いますね。 2つめは、責任の大きさです。まさに日本のインターネットそのものを支える仕事という責務を担っているところですね。そのために、セキュリティ環境の変化に対応した大規模な改修を手がけるなど、ダイナミックかつ緻密な仕事が経験できます。ちなみに、安全装置は何重にも施し、冗長性や可用性、拡張性を十二分に意識したシステム設計やネットワーク構築もしています。エンジニアとして、大規模なネットワークやサーバーの構築やアプリケーション開発にも関わることができます。業務のスケール感やミッションクリティカルの度合いは、他では得難いものがあるのではないかと思いますね。 また、海外のレジストリのエンジニアなどとのやり取りも多いので、グローバルに活躍したい人にもいい環境だと思います。
メンバーには、どういった存在になってほしいと思っていますか?
人によって得意、不得意があるのは当然です。ただ当社には、得意分野をメインの業務としながらも、いろいろな領域に自分の経験の幅を広げていける環境があるので、ぜひ不得意領域にも前向きに取り組んでほしいですね。「自分はこれしかできない」といった枠をはめてしまうと、特にエンジニアの場合は後々困ることになると思います。少数精鋭の当社では、不得意領域を作らないフルスタックエンジニアになってもらうことを求めているところがありますので。でも、そうなることは知的な刺激があって面白いと思いますし、面白いと感じるエンジニアになってほしいと思っています。
最後に、松浦さんにとって仕事とは何か、お答えください。
私はインターネットが好きで、仕事もそこが入口となっています。私がJPRSでやってきたことは、開発系のエンジニアの方からすると「そんなことまでやっているのか」と思われるかもしれませんが、興味の赴くままに手がけてきたという感じですね。今はマネジメントも仕事の大きな部分を占めるようになってきましたが、これからも、いろいろなことに興味を持って仕事をしていきたいと思っています。 当社はスタート以来、ただの1度もシステムをストップさせたことがないことを誇りにしていますが、しかし、明日システムダウンする事態が起こるかもしれません。そんな緊張感も持ちながら、目の前のことに「本当にこれで正しいのか?」を常に自問自答しながら仕事をしていきたいですね。 とはいえ、当社がやっているDNSは、基本的にWebサーバーとデータベースを基礎として作られている、ごくオーソドックスなものです。そんなに敷居が高い世界ではありません。むしろ、汎用的な技術を使ってどれだけ信頼性を高められるかが勝負なので、そういったことにこだわってやっていきたいという方にぜひ来ていただきたいと思っています。