株式会社ネオグラフィック

株式会社ネオグラフィックは、大阪を拠点に、女性向けファッションアイテムのオリジナルブランド事業を展開する会社である。販売チャネルをインターネットに特化しているものの、単なる物販業としてではなく、顧客のライフスタイルの質の向上に重きを置いて、商品の企画・製造や海外セレクト品の輸入、販売、カスタマーサポートに至るまで一貫して自社内で行っている。

メインターゲットは20代半ばの高い向上心を持つ女性である。「私主義」をブランドコンセプトとするECショップ『Re:EDIT（リエディ） by GALSTAR』では、自社で企画・製造する同社を代表するブランド『Re:EDIT』の他、自社企画・製造のシューズブランド『CHIC MUSE（シックミューズ）』、そしてアメリカ・ロサンゼルス発のセレブファッションを提供する海外セレクトブランド『GROWZE（グローゼ）』の3ブランドを展開。変化を恐れず時代をリードする大人の女性に対して、ハイセンスかつ自己主張ができるようなアイテムを揃える。

強みはインターネットの特性と自社一貫体制という利を活かした、トレンドをキャッチアップするスピードの速さである。自社で製造する商品でも、3週間から4週間ぐらいで顧客の手元に届けることができるため、旬を逃さずに売り切ることが可能だ。そのようなトレンド性が評価されたことに加え、商品ページや特集ページのモデルには、若い女性に人気の有名雑誌モデルを起用したことなども功を奏して着実に認知を広げてきた。2012年、2013年と2年連続で楽天ショップ・オブ・ザ・イヤーを獲得など数々の賞を受賞。2018年7月現在の会員数は、自社サイトだけで、60万人にも上る。さらに近年では、市場の要望に応える形で、ZOZOTOWNやSHOPLISTなどの卸チャネルを通した販売も開始し、さらに市場規模を拡大中だ。

もともとインターネットに特化した理由は、リアルショップとは異なり、天候や気候、営業時間など、外的な要因に一切左右されず、24時間365日、安定的に売上を作ることができるからである。また、空間的な制限もないため、無制限に品揃えすることも可能だ。さらに新しいコンセプトの店を立ち上げる場合でも、イニシャルコストを抑え、なおかつスピーディに展開することもできる。代表取締役・工藤正樹氏は、今後の展開を次のように語る。

「現在、『Re:EDIT』は20代から30代の女性をメインターゲットとしていますが、年齢とともに結婚、妊娠、出産などライフステージが変わり、生活環境や趣味嗜好も変化していきます。その変化の中で発生する様々なニーズに合わせ、本人が着用する洋服やシューズだけではなく、マタニティやベビー向けのアイテム、雑貨など、お客様のライフスタイルの質の向上につながるような幅広い展開へと派生させる計画です。このような横展開も優位性を持ったままできるのがインターネットに特化する強みです」（工藤氏）

さらに同社が中期的に目指しているのは海外への積極展開だ。2012年2月にはロサンゼルスに『GROWZE』の実店舗をオープン。さらに翌3月には『GROWZE LosAngeles』公式サイトもオープンし、国内とは反対に“Japan Quality”“Designed in Japan”として日本のファッションを海外に積極発信している。将来的には、ロサンゼルスでの実績を足掛かりとしてアジア圏などへと展開し、経営ビジョンとして掲げる「世界にハッピーを届ける」を実現していく考えだ。

同社が設立されたのは2006年10月。工藤氏は、システム開発やWEBサイト制作などを受託する大手企業でトップセールスマンとして活躍した後、WEBディレクターへと転身し、技術を身に着けた後に独立・起業した。創業時はWEB制作の受託会社としてスタート。EC事業に着手したのは、ECサイトなどの受託案件などを手掛ける中で、数字の裏付けを持った提案ができるようになるためだった。
当初は少額資金を元手にヤングカジュアルのファッションアイテムを仕入れて販売。ネット専業のショップは、問屋やメーカーに認知されていない時代であり、仕入れには苦労したものの、堅実に売り上げを伸ばし、オリジナル商品の企画製造を開始するに至った。設立2年目の8月には『Re:EDIT』の前身である『GALSTAR（ギャルスター）』を楽天市場に出店したのを皮切りに、DeNAショッピング、Yahoo!ショッピングと出店を続け、2009年12月には公式通販サイトをオープンした。いわゆるギャルと呼ばれるF1層に向けた低価格路線が評価され、その後も急成長を遂げブランドの認知はさらに高まっていった。そんな同社に転機が訪れたのは2013年ごろのことだ。

ファストファッションのリーディングカンパニーとして、商品をリーズナブルな価格帯で多くのお客様に販売し急成長しましたが、一方で「本当にご満足いただけているのか？」「更にお客様に喜んでいただく商品とは何なのか？」と考え、企業の在り方を改めて見つめ直しました。

そうして策定したのが“バリュー・イノベーションの創造”という企業理念だ。現在の顧客のライフスタイルの質の向上を重視したブランド展開はこの企業理念に基づく。商品づくりの方針も見直し、品質を重視してプライスだけにフォーカスしない、本当にご満足いただける商品を提供する。10代後半から20代中だったメインターゲットを20代前半から30代後半まで幅広くシフトし、さらに主軸ブランドをリネームしたことでイメージチェンジもスムーズに進み、現在、改めて成長軌道に乗り始めているところである。

「理念経営へシフトを決意した際も、一番考えたのは社員のことです。常にそばにいて、“まだまだいける”という私の声に合わせて取り組んでくれる。その姿勢を見てきて、「一緒に働く社員たちが幸せな人生を送れる会社にしたい」「100年続く企業にしたい」そう考えて理念経営にシフトしました」（工藤氏）

組織のマネジメントも変わった。“事業を通して世界中にHAPPYを届ける企業”というビジョンや、“常に革新を続け、関わる全てのステークホルダーに喜びと感動を与え続ける”という経営基本方針、さらに“何事にも誠実に向き合い、愛を持って感謝し、挑戦し続ける”というフィロソフィーと、それを具現化するための行動指針10か条を掲げ、その価値観に沿った教育や評価を行っている。

「常に組織力を大切にしており、“やり方”よりも“あり方”を重視し、ものの考え方、行動の質など、全員が同じジャッジメントができるよう、価値観教育に力を入れています」（工藤氏）

2015年には新卒採用もスタートし、2018年には新卒三期生を迎えた。価値観採用のため、理念やビジョン、行動指針の浸透はスムーズだ。価値観教育の成果もあって、会社全体にお互いに尊重し高め合う風土が定着してきた。
その一方で、マネジメント側のリソースを強化する必要も生まれた。ブランドの認知向上に伴い、求められる質は高まっているが、新卒採用によって若い人材が増えた。スキルを持った人材を採用し、市場のニーズや変化に応えられる体制を整備していく考えである。

「2018年7月決算をもって弊社は13期目を迎えます。事業展開として、アパレルオンリーからより幅広い展開へと移行する計画であり、ポジションもたくさん空いた状態となります。芯を持った人材を迎え入れ、共に未来の会社を創っていきたい」（工藤氏）

現在、同社の社員数は約35名。サイトの運営に携わる営業部、サイトのデザインを担うデザイン課、商品の企画や製造を担う商品企画部や物流部、カスタマーサポートなど、部門間で連携し、フォローしあいながら仕事を進めている。そこで求められるのは誠実な人物だ。感謝の言葉をストレートに伝えることができる、それでいて自分の能力で現状をより良く変えていこうとするチャレンジ精神を持った人財である。

「一人ひとりの成長を心から願う。それが弊社の基本方針です。絶対に育てきる、採用責任はまっとうするという決意を持って採用に取り組んでいます。それは人の可能性を信じているからです。自分の人生を輝かせたいと心から考えている方を本当に大切にし、個性を引き出していきます。ともに成長しあいながら、理念の体現、ビジョンの達成に向け、情熱をもって取り組める方のエントリーを待っています」（工藤氏）