株式会社IIJグローバルソリューションズ

国内外で、企業向けネットワーク構築・運用サービス「ネットワーク・アウトソーシング・サービス」を中心に、クラウドソリューションやビジネスソリューションを提供している、株式会社IIJグローバルソリューションズ。社名のとおり、インターネットを中心にネットワークの最先端の技術とサービスと製品を作り出す株式会社インターネットイニシアティブ（IIJ）のグループ企業として、アジアを中心とするグローバルな事業展開というミッションを担う点も特長的だ。

同社の手掛けるサービス領域は、次の4つ。
●ビジネスソリューション
先進のICT技術を応用し、ビジネスに必要な業務環境を包括的に提供。ビデオ会議やWeb会議、インスタントメッセージ、プレゼンス機能など最適な方法で、専用端末やPC、スマートフォンなど最適なデバイスからいつでもどこからでも必要な相手とスムーズなコラボレーションを可能とする「COLLABO de！World」などがある。

●グローバルソリューション
海外拠点の開設に必要となるITインフラをワンストップで提供するパッケージサービス「海外拠点開設パック」や、国際インターネットVPNサービス「Net de! World」など、自社含めIIJグループの提供するサービスやソリューションを海外でもシームレスに提供。

●IIJグループソリューション
IIJグループが手掛けるクラウドソリューションやセキュリティソリューション、リモートアクセスソリューションなどを提供。

●ネットワークソリューション
ネットワークの設計、構築、導入、運用までをワンストップで提供するほか、これらのトータルなアウトソーシングを可能にする「ネットワーク・アウトソーシング・サービス」などを提供。

これらのサービスやソリューションを約1,600社の企業に安定的に提供しているが、新規顧客へのアプローチにも力を入れている。

同社の源流は、1985年に発足した日本アイ・ビー・エムの企業内／企業間VAN（付加価値通信網）部門。IBM本体の同事業部門が1998年にAT&Tに買収されたことにより、1999年12月、AT&Tグローバル・サービス株式会社が発足（2007年8月にAT&Tジャパンに社名変更）。そして2010年9月、IIJがAT&Tジャパンのネットワーク・アウトソーシング・サービス事業を買収する形で、IIJグローバルソリューションズが設立された。

その後、タイ、中国（上海）、香港、シンガポール、インドネシアに現地法人を設立し、アジアへの事業拠点展開を進めているところだ。今後も引き続きグローバルな拠点展開を進めるとともに、顧客のビジネスそのものの発展を支援するソリューションの提供に力を注いでいく方針である。

そんな同社の強みは、大きく2つ挙げられる。
１つは、マルチキャリア／マルチベンダーとして、顧客のあらゆるニーズに対応できる柔軟性と、顧客に最適なソリューションを組み合わせて提供できる点だ。
「IIJグループ全体として、ネットワーク、クラウド、セキュリティ、そしてシステムインテグレーションまで、広範なサービスをラインナップしています。お客様のニーズによっては、他社のサービスやプロダクトもアレンジする柔軟性もあります。こうしたレンジのサービスをご提供できるところはあまりないのではないでしょうか」と、取締役ソリューション本部長の高橋 直人 氏は胸を張る。

個別のサービスでは、例えばクラウドサービスにおいてはVMWareの採用により顧客の要件に応えた独自の環境を構築できたり、ネットワークにおいてはSDN（ネットワーク仮想化）技術により、同じく顧客の個別の要件に対応できる強みがある。

もう1つは、こうしたサービスを国内だけでなくグローバルに提供できる点だ。基本的には、日本企業のアジア進出に伴うコラボレーション環境のシームレスな構築が主ではあるが、最近では現地企業へのサービスやソリューションの提供も増え始めている。

「直近では2015年1月に、ジャカルタに現地企業とのジョイントベンチャーで現地法人を設立し、合弁企業を通じてインドネシア市場を積極的に開拓しています。こうした取り組みは他国にも積極的に広げていきます」（高橋氏）

これらの強みを支えている大きな要素が、エンジニアの技術力である。例えば、ソリューション本部には、プロジェクトマネジメント、ネットワークやサーバーなどのインフラ構築、サービス開発、そしてネットワークの運用といった多様な業務カテゴリーのそれぞれでエンジニアが活躍。様々な教育研修や資格取得の奨励などだけでなく、エンジニアコミュニティの活性化を通じてさらなるスキルアップを講じていく。

「コミュニケーションツールなども活用しながら、これらエンジニアの横のつながりをさらに活性化させ、お互いのスキルアップはもちろん、エンジニアとしての視野を広げたり、シナジーを発揮させられるようにしていきます」と高橋氏は意気込む。

そのねらいは、顧客サービスやソリューションの付加価値の向上だ。高橋氏は次のように言う。「ネットワークとサーバー、クラウドサービスなどを一気通貫させてお客様に提供する時、それぞれの間には、例えば認証系のセキュリティといった“隙間”ができます。その隙間を埋めることが顧客満足を高めることになる。そうしたスキルを高めていきたいと考えています」

また例えば、『A.S.I.A GP SaaS on IIJ GIO』という、日本企業の海外現地法人向けの機能をコンパクトに備えたグローバル対応のクラウド型ERPサービスがある。この提案・導入にかかわるエンジニアは、顧客のIT部門ではなく事業部門に対して、例えば会計業務に関する顧客の状況や、進出国における会計業務のあり方をヒアリングすることになる。
「そこで会話できることが“使えるエンジニア”という評価につながるわけです。そういった求められる像に向けて、切磋琢磨できる環境を整備していきたいと考えています」

このようにして活躍した社員はしっかり表彰する制度がある。案件の受注や新サービスの開発など、全社的にいい成果が上がった際に紹介される「Good News」というイントラネットコンテンツがある。そこで紹介された中から、四半期ごとに“ゴールド”“シルバー”“ブロンズ”の各賞受賞者を抽出して称えている。また、年間をとおして優れた成果を挙げた者は、同社の拠点がある東南アジア各国に研修に行く「Go! Global」という制度もある。
「この制度は、現場の社員から出されたものです。こうした意見を積極的に取り入れ、かつ意見を言う人をきちんと評価する風土がありますね」と高橋氏。

同社の企業風土の特徴について、高橋氏は「いい意味でも悪い意味でも“大人”の会社」と言う。規則で縛るようなことはせず、それぞれの主体性や自主性を尊重し、権限を委譲する自由な雰囲気がある。

また、現場の裁量によって、勤務時間もメリハリのあるものになっている。
「エンジニアは休日や深夜の業務もありますが、一方でしっかり休む時は休んでいます。」と高橋氏。半面、互いの主体性を尊重するがゆえに“干渉”もあまりしない面があるという。

「私としてはやや物足りない面がありますので、もっと意見をぶつけ合う風土に持っていければと考えています」と話す高橋氏は、同社が求める人材について次のように説明する。「一言でいえば“率先垂範”できる人ですね。環境変化に柔軟に対応しながら率先垂範して物事を進め、当社の成長の核となれるような人材です」そんな人材には“ガッツ”が必要とも。

「ビジネスでは理不尽なことも起こります。そこで前向きになれなければ、どれだけ高いスキルを持ち合わせていても活かすことはできません。『自分がやるからには』と最後まであきらめずにやり抜くことができる方に来ていただきたいですね」と高橋氏は結んだ。