株式会社ビースカイネット

秋葉原にオフィスを構える株式会社ビースカイネットは、エリアマーケティングの分析・システム開発を提供するIT企業だ。最近では、LAM（Life Area Marketing）関連のサービスを自社で開発し、顧客のエリアマーケティング業務をより効率的・戦略的に運用することを実現した。

同社が設立されたのは2008年。当時フリーのプログラマーだった代表取締役の田中 将紹 氏が設立した。会社設立当時について、田中氏は次のように振り返る。
「10年、20年後に日本や企業はどう存在すべきか、さらには自分自身がどう生きるべきかと漠然とした不安を抱いていました。2025年に世の中の構造が今までとはガラリと変わる。高齢社会で確実に日本の人口は減少するし、若い働き手が減少するにもかかわらず高齢者を支えていかなければいけない現実。それを目前にして企業はどのように存在すべきか、自分の存在意義について考える必要がありました」（田中氏）

同じく綾村氏も次のように語る。
「これからのIT企業は自社で開発した製品やサービスを持ち、それを展開していく会社にならなければいけない。企業の独自性を発信していかなければ埋もれてしまうし、存在価値もなくなると考えています。また、企業の在り方として、利益追求するだけではなく、社員みんなで幸せを共有していくような企業でありたいし、これからの企業はそうあるべきだと考えています」（綾村氏）

同社の事業内容は、情報処理システム事業・分析事業・保守メンテナンス事業の３本柱で成り立っている。

現在最も力を入れているのがエリアマーケテイングソリューションを含む分析事業で、CRM分析やエリアマーケティング分析、DMPマーケティング分析を行っている。また、情報処理システム事業のシステム開発ではデジタルコンテンツ開発やiPhone開発など幅広い開発を行っている。客先常駐のみならず受託開発もあり、就業スタイルもプロジェクト案件によって異なる。保守・メンテナンス事業では地方自治体自動交付機の保守・メンテナンスなどを行う。

現在、同社が力を入れる"LAMツール＆LAMシステム"は、マーケテイング分析・開発の経験・ノウハウを生かし自社開発をしたものだ。地域住民の日常での生活行動範囲となる「生活圏」をベースにしたエリアマーケティングを、より簡単かつ戦略的に運用するためのツールととして開発された。

"LAMツール"は、エリアマーケティングのレポートを簡単に出すことができるソフトウェアツールだ。マーケティング費用を抑えたい企業や、既にマーケティングツールを導入している企業向けに作られたツールで、通勤通学、買物など、地域住民の日常での生活行動範囲がわかるデータや、小売業・飲食業・サービス業の店舗物件データを簡単に見ることができる。

"LAMシステム"は、エリアマーケティング分析結果を素早いアクションに結び付けるためのデータ共有システムだ。インターネット環境であればどこからでもアクセスができるようにクラウド型サービスとなっており、データ閲覧はもちろんのこと、商圏分析が可能だという。ツールに慣れていないマーケティング担当者でも簡単に使うことができるように、UIにもこだわっている。

同社の"LAMシステム"を導入すれば、店舗のデータを元に配置戦略を決めたり、店舗の再配置を数値でシミュレーションすることが可能になる。また、店舗の売り上げ実績を同システムに取り込み、簡単に可視化することもできる。現在、大手通信キャリアに採用されているが、全国にチェーン展開をする企業のマーケティング戦略に大きなパフォーマンスを発揮する可能性もあり、今後はますます拡販していく意向がある。

同社が手掛ける"LAMツール＆LAMシステム"の強みについて、綾村氏は次のように語る。
「他社にないメリットを生み出せたのは、IT・エリアマーケティングの両方の経験や知見を持っていることが大きいと考えています。顧客視点で考えた利便性の具体的なイメージは常にありました。一般的にエリアマーケティングに使われるGIS(地図情報システム)ツールは高機能な反面、実は担当者からすると使いこなすのが大変だったりします。企業がGISツールを導入した場合、投入するデータの作成と試行錯誤の繰り返しが必要となり、実際の戦略に活かすまでのコストも時間も多大にかかってしまう現実があります。当社のLAMシステムであれば、顧客の実現したことに合わせて、機能をシンプルにしたり費用を抑えることができるのです」（綾村氏）

"LAMツール＆LAMシステム"の開発で企業としても確実にステップアップし、次なるステージのスタート地点に立った同社だが、その動きを今後も加速させるため、エンジニアや、データアナリストの積極的な採用活動を行う。

同社で働く魅力は、自社サービスの企画から開発に携わることができる点だ。特に同社が手掛ける"LAMツール＆LAMシステム"では他社にはない発想でシステムを開発してきた。また、代表取締役の田中氏もプログラマー出身で技術側の人ということもあり、技術者の思考で企業経営を展開していることもエンジニアの働きやすさの指針になるだろう。

「開発環境の自由度も高く、エンジニアはとことんモノづくりに集中できると思います。また経営者との距離も近く、垣根もないので企画を提案しやすく、受け入れられる環境もあります。実際、私の場合ですがお笑い好きが高じて『こんなサービスあればいいのに』という想いから、お笑いライブの情報通知サービスなども開発しました」と綾村氏。

平均年齢は30歳前後で社員は７人。うち、エンジニアは４名在籍している。エンジニアとしてスキルを磨くための教育・研修制度も充実しており、書籍購入費や勉強会の費用は補助が出るなどの環境も整っている。

現在、オフィス内にキッチンを併設するアイディアも持ち上がっており「みんなで作って、一緒に食べればランチ代や夕食代の節約になるし、何より健康的。ひとり暮らしの人にも優しい会社を目指しているのです」と綾村氏は語る。

このような同社の配慮には「社員として働くだけの価値観を捨て、これからの厳しい時代を一緒に生きる温かいファミリー的な存在でありたい、会社をそういう場にしたい。一緒に働く仲間のキャリアだけではなく、人生にまでかかわっていきたい」と願う、経営陣の想いが現れている。

モノづくりが好きで自分の技術を極めていきたいエンジニアにとってはまさにお膳立てが揃った状況だ。このチャンスを見逃す手はない。