株式会社エムコスミック

株式会社エムコスミックは、業務システムのコンサルティングから開発、運用・保守までを手掛けている。得意とするのは、設立以来、プロジェクトが絶えたことのない金融系システム。先代の代表が銀行のシステム開発プロジェクトに携わったことで金融業界との取引が始まり、以降、信託銀行4行の勘定系システム構築プロジェクトに参画。その中には、現在に至るまで25年以上取引が続いているところもある。

「クライアント側の担当者は3～5年で異動していくことがほとんどですが、当社では、初めて信託銀行のプロジェクトに参画したときのメンバーが現在も活躍しています。そのため、業務システムに関してはお客様より詳しいこともあって、お付き合いが途切れることもありませんし、新たなプロジェクトが立ち上がるときは、要件定義等の上流工程から加わることがほとんどです」
2代目の代表取締役社長を務める三嶋三好氏がこう語るように、同社が扱うプロジェクトの9割以上が上流工程からのもので、開発だけを請け負うことはほとんどないという。

現在では、金融系システム開発で培った技術力と信頼を土台に金融業界以外にも進出。自動車や通信、流通業界にまで取引企業は広がっている。
「通信事業体のデータベース基盤システムの構築や運用・保守、製造や流通企業向けの生産管理システムのほか、近年では金融業界においてもFinTechの流れからネットバンキングのフロント／バックシステムや融資に関する業務システム開発の全工程等、幅広く実績を積んでいます」（三嶋氏）

また、通信や流通はもとより、従来、新しい技術に対して非常に慎重な金融業界でも、"所有"から"利用"への流れは始まっており、クラウドサービス等を活用したプロジェクトの依頼も出てきているそうだ。金融系だからといって、レガシーなシステムばかりを扱うわけではない。特に、同社のように業界の信頼が厚く、多様な依頼が舞い込む会社であれば、レガシーなシステムと先端技術を取り入れた新しいシステム開発の両方を経験できる。

株式会社エムコスミックは、ここ5～6年ほど前年比売上110％増と右肩上がりの成長を続けている。その原動力となっているのが、深い業務知識に基づいた提案力や開発力にあると三嶋氏は言う。
「当社はいいとこどりはしません。途中で逃げ出したりはせず、最後まで責任を持ちます。『死なば諸共』という覚悟でお客さまとお付き合いしています。そうでなければ、信頼などしてもらえませんから。だから、10年単位のお付き合いが多く、新規プロジェクトが立ち上がらないということがなければ、3年未満で取引が途切れることはほとんどありません」

しかも、プロジェクトは要件定義の上流から開発、運用・保守まで一貫して携わることが多いので、そこから得られる業務知識は相当なものがある。この受注スタイルを設立以来継続し、蓄積してきた知識を知見化することで、システムに関しては、クライアントも及ばないほどのノウハウを持っているのだ。
「そのため、お客様から『開発の最初から携わって欲しい』という嬉しい言葉をいただくことが少なくありません」（三嶋氏）

特に、様々な規制がある金融系システムでは、業務だけでなく各種規制についてもどれだけ理解できているかで、システム開発にかかるコストや精度に大きな差が出てくる。ここが優位性を生む源泉になっている。

「しかし、多くの引き合いをいただいても人的リソースが不足しているためにお断りしているのが現状です。この状況を改善して、できるだけ多くのお客様の期待に応えていきたいと思っています」（三嶋氏）
2018年度の売上は15億円ほどを予定しているが、これを倍増し、社員数も現状の110数名体制から200名体制を目指す。東京本社の他に大阪と広島に支社があるが、これも今後拡大していく可能性があるという。

「当社は、まだまだ成長できるポテンシャルを秘めていると確信しています。この可能性を現実のものとするため、一緒に頑張ってもらえる人を求めています」（三嶋氏）

株式会社エムコスミックは、社員を大切にする。SESや派遣による受注がメインだが、一人でお客様先に常駐することは少なく、基本的にチームでプロジェクトに参画。そのため、経験の浅いメンバーもキャリアを積んだ先輩社員が現場で業務に携わりながら指導できる体制がある。

「若手の育成環境を充実させるためにも、これからは受託を今以上に増やしていきたいとも考えています。また、経験を積んできた中堅社員も望むのであれば、経営に携わるポジションで活躍することも可能です。私の右腕になるとか、社長を目指してくれてもいい。実際、キャリア入社した社員の中には、『上のポジションが空いていて、さらなるキャリアアップができそうだから転職した』と話しているメンバーもいます。その心意気や、良し！　です」（三嶋氏）

現在も既に60歳を超えた社員を延長雇用している実績はあるが、今後は、希望する誰もが60歳以上も働き続けられる仕組みを整えていきたいとも三嶋氏は言う。なぜ、そこまで社員のことを考えるのかと聞いたところ、不思議なことを聞くといった表情で、次のように答えた。

「モノ（自社製品）をつくっているわけではない当社にとって、社員が資産であり、財産だからです。お客さまから信頼いただけるのも、会社が成長できるのも、社員次第。だからこそ、社員が長く勤めたい、成長したいと思える環境を整えるのが、私の仕事なのです」（三嶋氏）

土日が休みで年間休日120日以上、月平均の残業時間は1日当たり1時間程度で、住宅手当や家族手当、退職金制度等の福利厚生がしっかりしているのも、社長のこういった考えが根底にあるからだろう。

「当社は、PMやPMOといったポジションの経験を積めるプロジェクトもあるので、自分のキャリアをステップアップさせたいと思う人にはチャレンジしがいがあると思います。そのため、仕事に前向きに取り組めて、周りとのコミュニケーションを大切にできる人、現時点で経験はなくても、チームをまとめてメンバーを引っ張っていきたいと思っている人は、一度じっくり話をしましょう。あとは、好奇心と成長意欲のある人がいいですね。技術というものは、時代によってどんどん進化していくし、ここまでやればいいというものではないため、新しいものにアンテナを張って吸収していけるかどうかが大切です。だから、今の技術力よりもやる気を重視します」（三嶋氏）