株式会社Rist

株式会社Ristは、ディープラーニングを用いた画像・動画解析や、機械学習を活用した構造化データ解析などを展開している会社だ。パートナー企業や大学、病院と連携し、ディープラーニングなどを活用したビジネスを共同で展開。先端技術を取り入れることで社会や顧客の課題を解決し、価値提供をおこなうことを事業の目的とする。会社設立は2016年8月で、京都市下京区に京都本社を置くほか、東京都港区内に東京オフィスを置く。

2019年1月、京セラコミュニケーションシステム株式会社（KCCS）は、AIを活用した画像処理技術の強化を目的に、Ristの完全子会社化を発表した。KCCSは、ディープラーニングを用いた画像認識システムについて、技術検証からシステム開発、導入までワンストップで提供している。Ristをグループ化することにより、画像認識システム提供の技術力強化とスピードアップ、製造ラインにおける検査自動化の普及をさらに進めていく。

Ristの代表取締役社長を務める長野慶氏は、京都大学大学院で医用画像情報工学を専攻。2007年7月にKCCSに入社し、国内・海外の企業向けのシステムインテグレーション事業に従事した。2013年3月にKYOCERA Communication Systems Singapore Pte. Ltd.（以下、KCSG）の立ち上げメンバーとしてKCSGに出向。2016年7月に同社取締役、2019年4月に同社代表取締役社長に就任。2020年4月、取締役副社長としてRistの経営に参画。2021年4月に同社代表取締役副社長、2023年12月に同社代表取締役社長に就任。

ディープラーニング技術の台頭は2000年代に入ってからだが、その結果、従来まで人間だからこそ可能と思われていた画像・動画・音声・言語といったもののスムーズな処理も、システム化できるようになった。Ristは世界中で研究が進むディープラーニングなどの最新技術を駆使し、人間が感覚的におこなってきた作業のシステム化やノウハウの蓄積・分析を通して、クライアントと社会の課題を解決するための挑戦を続けている。

Ristは、ディープラーニングを用いた“柔らかな”判断システムにより、人間の眼や耳を酷使してきた検査・解析業務から人々を自由にし、より創造的にしてくれる画像比較検査手法を独自に開発してきた。少ない画像枚数で画像判定モデルを短期間で生成し、実際の製造ラインに導入するなど、これまで多くの実績をあげている。

【ディープラーニングを用いた画像・動画解析】の領域では、ディープラーニングの一種である「畳み込みネットワーク」や「LSTMモデル」を駆使し、画像や動画といった非構造データを扱う解析・開発に特化した活動をおこなっている。

【機械学習を活用した構造化データ解析】の領域では、数値や自然言語をはじめとするデータの解析をおこない、対象の分類や予測モデル構築を通したソリューションを提供している。人物の姿勢や動作認識といった各種解析を通し、非構造データから新たな価値を生み出す取り組みだ。

Ristは製造業向けの検査ソリューションとして、「Deep Inspection」を提供している。複数のディープラーニング技術を組みあわせた独自のノウハウにより、生産現場での分類・検査の自動化・高精度化を実現。画像の中で特定のパターンに一致する箇所を認識し、そのパターンが基準を満たしているかどうかを、ディープラーニングを用いて判断する。

また、医療画像に基づく診断支援もおこなっている。大学や病院と連携し、ディープラーニングによる医療画像の疾患診断支援システムの構築を通して、医療と患者の人生に貢献する。

Ristが同業他社と異なる点は、AIのアルゴリズムを開発できる人材が顧客と直接やり取りし、要望に沿ったオーダーメイドの対応を大切にしていることだろう。これまで自動車関連製造業の検査システム、文字認識システム、スポーツ動画解析、医療画像解析などを大手企業などと連携しておこなってきたが、今後はこの強みを活かし、ディープラーニングの知見を一般のユーザーが簡単に利用できる形で、サービス開発を進めていく。

2024年4月現在の従業員数は、社員＋インターン生を含めて70名ほど。組織はフラットで、議論はSlackのパブリックチャンネルで展開されることがほとんど。年齢・性別を気にすることなく誰もが働いている。社員、インターン生ともに自分たちで論文を読み込み、自ら実装していく。業務はプロジェクトごとにチームをつくり、短いものなら数ヶ月、長いものなら数年単位のプロジェクトもある。

Ristは、いろいろなことに積極的にチャレンジする、ベンチャーらしい社風の会社だ。若く優秀なメンバーたちが、ディープラーニングに限らず広範な手法を検討して、課題解決に取り組む。一方で「ホワイト」な働き方を当然のこととし、離職率は一桁台前半を継続。月平均の残業時間は20時間ほどと少なめで、オフィス内には脳の疲れをいやすため、さまざまなお菓子が常備されている。

さまざまな職種やポジションで活躍することができるが、開発エンジニアを例にとると、
・画像認識を使ったAIアプリケーションの開発
・AIのモデル開発で必要なツールの開発
・AIのモデル開発を効率化させるためのライブラリ開発
・GCPやAWSなどクラウドとの連携
・社内のシステム管理
など、多岐にわたる業務を担当する。

Ristは、実証実験ではなく“実際に使えるもの”にこだわり、クライアントの声をていねいに汲み取りながら、泥臭く開発していくスタイルを大切にしていきたいと考えている。プロジェクトは世界的に前例のないケースも多く、単なる開発というより、試行錯誤をともなう研究開発に近い。研究が進むディープラーニングなどの最新技術を使いこなし、人間が感覚的におこなってきた作業のシステム化やノウハウの蓄積・分析に取り組んでいく。

求める人物像は、先端技術を活用したサービスの社会実装を通じて、顧客と社会の抱える課題を解決したい人、チームで働ける人、チャレンジ精神が旺盛な人など。「こんな働き方をしたい」といった要望があれば、柔軟に聞き入れていく方針。