ハイ・アベイラビリティ・システムズの「これまで」を教えてください
「止まらないコンピュータをつくり、世界に広めよう」とジム・トレイビックという1人の天才が、1974年に米国シリコンバレーで、独自OSとハードウェアで構成されたNonStop サーバーを開発し、タンデムコンピューターズ社(現ヒューレット・パッカード社)を創業しました。その先進的テクノロジーを日本にも展開するために、アプリケーション開発を担う子会社として1985年に株式会社バルテックスとして設立されたのが始まりです。 その後、タンデム社をはじめとする業界再編の波が起こり、当社も1994年に日本タンデムシステムズ株式会社、そして2003年に現在の社名へと変わりました。名前は変わったものの、ジム・トレイビックの遺伝子を引き継ぎながら、現在も“止まることが許されない”ミッションクリティカルと呼ばれる領域でビジネスを展開しています。 昨年度の売上高は90億円ほどですが、ほぼ半分がNonStop サーバー関連のビジネスで、残りの半分がネットワーク構築やUNIXやLinux、Windowsを使ったOpen領域のビジネスとなっています。 ちなみに社名の「ハイアベイラビリティ」とは直訳すると「高可用性」となり、24時間365日稼動し続けるミッションクリティカルなシステムの構築に“強み”をもつ会社であることを表現しています。「24時間365日、安定して動き続けなければいけないミッションクリティカルなシステムを、お客様とともに提供し、より豊かで安心安全な社会をつくりたい」との思いを大切にしています。これは設立から35年以上経過した今も、まったく変わらない当社の企業理念です。
社長は大学を卒業して一期生として入社されたんですよね?入社後に取り組んだ仕事のエピソードを教えてください。
先輩がいるので2期生です。 私が入社したころの当社は30名ほどの規模で、完全にベンチャー企業でした。入社3年目にいきなりプロジェクトマネージャー(PM)に抜擢され、工期1年半、200人月のプロジェクトを任されました。不安そうにしている私に、当時の上司から「設計はA社でやったものを流用できる、要員、協力会社も同じ体制を準備し、俺もフォローするから大丈夫。PMに必要なのは常識。君ならやれるよ」と変な説得をされたのを思い出します。後でわかったことですが4年先輩の社員が「PMはイヤだ、技術者としてならやる」といってPMを断ったので急遽私に白羽の矢が立ったようです(この先輩は技術者として大いに助けてくれました)。私が担当したシステムは、大規模なFAX配信システムのソフトウェア開発で、グローバルに事業展開する某大手電機会社(B社)の社内FAX網を構築する仕事でした。全世界に子会社、現地法人があり、30年前としては先進的な取り組みでした。「A社と同じ」ということで始まった(少なくとも私はそう理解していました)プロジェクトでしたが、要件定義をしていくうちにどんどんとかけ離れていく、、。最も大きく異なっていたのは、「何を優先するか?」ということです。A社は商業用のシステム(A社は企業などのお客様からの広告をFAXで送るサービスを事業として展開)で“大量に早く配信出来ること”が最重要。一方B社のシステムは社内システムなのでFAXが届かなかった際に、どこに滞留しているか?どういう経路で配信されたか(当時は通信料が高く、世界をまたがると配信経路によってFAX配信費用が大きく異なっていました)など“社内からの問い合わせに細かく答えられること”が重要でした。同じ「FAXシステム」といっても全く違うものだということを、身をもって知らされました。SEはモノづくりの方に目が行きがちですが、お客様が「何をされたいか?」をよくよく聞かないと、と思い知らされた仕事です。いい勉強になりました。
ハイ・アベイラビリティ・システムズの強みとこれからの事業展開についてお聞きします。
世の中には止まってはいけないサービスがいくつもあり、NonStop サーバーはそうしたニーズに応えるシステムとして社会インフラを支えてきた歴史があります。 中でもクレジット決済システムに関しては大手企業との取引が大半で、トップクラスの導入実績とシェアを誇ります。国内のクレジット決済システムの約7割には何らかの形で当社の技術者、製品などがかかわっています。今後も、電子マネー、QRコードなど決済方法の多様化やセキュリティ強化などの案件が目白押しで大いなる成長が見込まれます。 クレジットだけではありません。ネット通販を始め、銀行の振込、ホテルやレストランの予約などあらゆることがネット上でできるようになってきていて、“止められない”サービスの範囲はどんどん広がっています。“止まらない”システムを実現するには実に様々なノウハウが必要です。アプリケーション開発やサーバー構築は勿論のこと、ネットワークをどう設計し、クラウドなどの利点をどう生かすか?セキュリティ対策をどうするか?等々 ハードウェア/ソフトウェア障害や災害だけでなく、サイバー攻撃などの脅威からも守らないと“無停止”は実現できません。我々は35年以上にわたり“止めない”ということを突き詰めてきた会社です。これまでの実績と培ってきたノウハウを発揮し、さらなる事業拡大を目指していきます。 今までお話ししたように“止まらないシステム”への要望は金融や通信業界だけではなく、現在は流通業や生保、そして官公庁の基幹業務にもニーズが広がっています。通信領域では私たちの日常生活に欠かせなくなったスマートフォンや携帯電話など、通話システムのダウンはそのまま大きな社会的リスクにつながります。流通においても時間と場所を問わず買い物ができるEコマースは特に、物理的な理由でサーバーがダウンすることで莫大な損失を生むとも言われています。 他にもコンピュータシステムはさまざまな形で普及してきており、ネットワーク社会の拡大と共に、私たちの日々の暮らしを支える社会基盤といえるまでに成長しました。これまで当社は新卒社員の採用を積極的に行い、育成することでお客様のニーズに応え、社会を支えるような基幹システムの構築を行ってきました。しかし、DX(デジタル・トランスフォーメーション)が叫ばれる中、基幹システムの周りにあるシステムやネットワークなどを含めたより広い範囲の提案を求められるようになり、体制の拡大が急務となっています。 そこでこれからはさまざまな経験をもったエンジニアを積極的に採用していきたい。 おかげさまで当社は、長い歴史の中で多くのお客様に恵まれてきました。NonStop サーバーの導入コストは決して安くありませんが、きめ細かな提案と最後までやりきる地道な活動によりお客様の信頼を獲得してきたのです。未知の領域に“挑戦”するときに失敗はつきものです。でも決して諦めず、お客様と協力して次につなげていく、そんなことができる環境が当社にはあります。(リスクを恐れていたら、今の当社はなかったと思います。今の私もありません 笑)。 これから当社で頑張ろうというエンジニアの方々にも、ぜひ積極的に挑戦してほしいと思います。
では、どのような方に応募してもらいたいですか。
一言でいうと、『情熱をもって仕事をして、それを楽しめる人』です。 世の中のシステムはどんどん複雑になり、様々な課題を解決しないとお客様が期待されるスケジュールと予算での提供が難しくなっています。その困難を乗り越え、仕事を成し遂げるには何より『情熱』が必要だと思います。その情熱は、「お客様に喜んでいただきたい」というサービス業としての原点から生まれます。そんな価値観を共有できる方に来ていただきたいと思います。 最近は「働き方改革」と言われていますが、作業の効率を上げて、無駄な残業を減らし、プライベート時間を充実させようとする活動は大変重要なことです。これにプラスして「仕事」自体をどう楽しむか、それを生きがいと感じられるようにどうするか?という視点も「幸せな人生」を送るためにはすごく重要なことだと思います。 それでは仕事を楽しむにはどうすればいいか? 私は2つのことが大切だと考えています。 まず1つ目は、すべてのことに「能動的に」取り組むこと。人に決めてもらったこと、決められたことを「こなす」だけでは楽しさは生まれません。 2つ目は、人との関わりを大切にすること。当社には「一人で完結する仕事」はありません。チームの一員として仕事に取組み、周りのみんなと喜びや苦労を分かち合う中で本当の楽しさが生まれます。仲間と共に仕事をやり遂げた時の達成感は、何事にも代えがたく、その仕事が困難なほど大きな喜びが得られます。 クライアントの多様化やニーズの複雑化など、私たちが置かれている状況は刻一刻と変化しています。この変化に対応してお客様の期待に応えるには、現場の提案力と技術力、そして新たなことに挑戦することを良とするマネジメントとしての判断が欠かせません。 当社には、「能動的な仕事をサポートする環境」と「チームで仕事に取り組む文化」があります。これから当社に参加される方にも、ぜひ「能動的に」「チームの一員として」仕事に取り組み、仕事を通して成長を実感できるような「楽しい仕事」を積み上げていってほしいと思います。会社はそうした皆さんの挑戦を全面的にバックアップします。