株式会社未来ボックス

神奈川県横浜市に本社を置く株式会社未来ボックス。新しい技術にチャレンジする文化がある同社は、ここ数年AR（Augmented Reality＝拡張現実）の技術を用いたアプリを複数リリースし知見を得た。2022年に東証プライム上場の大手芸能事務所である株式会社アミューズの子会社になって以降は、安定した基盤のもと、更なる事業拡大を目的とし、最新のエンタテインメントコンテンツを展開する。

同社の代表取締役である志賀雄太氏は、新卒で入社した企業からわずか8カ月で独立、その後大手ネットメディア企業の取締役を歴任しながら、SNSサービスの新規立ち上げ、ECサイトのプロデュースといった事業を手掛けてきたキャリアを持つ。自身が取り組んできたプロジェクトや事業について、志賀氏に話を聞いた。

「独立した後の20代後半ぐらいから、インターネットの世界が大きく変革し、私自身もインターネットの魅力に惹かれるようになりました。以来、一貫してインターネットビジネスの世界に関わってきましたが、私がやりたかったことは“小回りが利く組織で積極的にサービス開発をすること”でした。様々な事業に関わりながら、スマートフォンの普及が急速に進んでいた2008年に起業を決意し、アプリ開発を軸としたサービス開発を行う会社として当社を2011年に設立しました」

同社設立後は、スマートフォンアプリ開発、ECシステム開発を柱として事業を展開。その中でARに関する研究開発に携わり、同技術の分野で強みを発揮する企業として成長してきたのが同社の特徴の一つだ。2016年には、世界的な規模で大ヒットを記録したリアルワールドゲームの開発に参画、2020年には自社開発ゲームアプリとして、全世界にリアルワールドゲームをリリースする等、他社にはない強みと存在感を備える企業となった。しかし志賀氏は、同社を「ゲーム開発企業」とする意識はないという。

「2016年のプロジェクトには、ゲーム開発企業として技術を提供するということではなく、あくまでもゲームとコミュニティの融合という新しいエンタテインメントに自社の強みを生かしたい、という考えで参画しました。面白いプロジェクトがあれば、小回りが利く組織として強みを生かしながらモノづくりを手掛ける。それが当社のスタイルです」（志賀氏）。

現在、親会社である㈱アミューズのDX化を進める事業と外部企業の受託開発の2つを事業の柱に据える同社。ECを中心としたシステム構築、AR等の最新技術を搭載したスマートフォンアプリの開発、ゲーム開発等案件の内容はさまざまだが、必要な全職能が在籍しており、作業は社内でほぼ完結する。手掛ける案件の全てにおいて、サービス企画から構築、運用にいたる全てを担うのが業務の特徴だ。

クライアントから“こういうアプリをつくってほしい”“こういうサービスを展開したい”というオーダーを聞き、それに対して企画の段階から提案をしながら開発に携わる同社。場合によっては、決済権を持つ相手に向けた説得用の資料づくりや、事業計画書の制作から携わり、システム開発とその後のサービス展開までを一貫してサポートするというのが同社の特徴である。

全体設計が決まった後のシステム構築を担当するのではなく、ユーザーにとってのベストをクライアントと共に考え、パ―トナーとして開発・運用を担う。それが同社の手法ということだ。また、案件のほとんどが、クライアントからの声掛けやリピートオーダーによってスタートするのも、同社のプロジェクトの大きな特徴だ。

「当社には、営業担当という役職はありません。クライアントからのご要望によってプロジェクトが発生するというケースがほとんどですし、その全てが新規開発となっています。システム開発をパッケージ化したサービスを営業する、過去の開発案件を再販することで売上増を狙う、ということは当社では積極的に行っていないです」（志賀氏）。

常に新規案件を手掛けながら、新しい価値を生み出すプロジェクトに取り組めるという環境は、エンジニアにとって大いに手応えを感じられるはずである。また同社では、開発に集中できる環境を維持するために、組織体制に関するコンセプトも確立しているという。

同社は2022年8月、本社を横浜市の馬車道エリアに移転。社員たちがリラックスした雰囲気の中で業務に取り組んでいるのが印象的だ。こうした落ち着いた環境で開発業務に集中できるのは、同社の魅力の一つとなっている。そしてエンジニアのキャリアについても、無理なく、特性を生かしながら成長を目指せる体制となっているのも大きな魅力となっている。

「私達が何より重視するのは、スタッフの多様性を大切にすること。私自身、エンジニアとしての素養と事業家としての素養が同居していると感じていますし、自社のスタッフにも様々な考えを持ち、様々なものに興味を持ち、意欲を持って物事に取り組むことを大事にしてほしいと思っています。エンジニアとしてのキャリアにはシニアアーキテクトのようなポジションで技術者としての業務に特化したいという方も歓迎していますし、PMやマネジメントの方面のポジションも用意しています。仕事を楽しむために自身の得意なことをやってほしいと思っています。」（志賀氏）

インターンからスタートし、数多くの案件を担当しながらスキルアップを果たし、管理職を担う人材へと成長してきた社員も存在し、多様性を歓迎する同社で様々な業務を経験することができる。

同社は多様な人材を受け入れる“受け皿”が大きい会社で、一つの仕事が合わなくても、また別の特性を生かして別の道を進むということが許され挑戦できる環境だ。

プログラミングスキルが高い、珍しいバックグラウンドを持っている、ある分野に特化した知識を有する、天才的な企画力を備えている…等、多様な人材が集まり、その特性を生かして価値の高いものを生み出す。"チームとしての未来ボックスでバリューを出す" それが私が理想とする環境であり、当社はそのように維持していきたいというのが私の思いです。」（志賀氏）