ラ・ハイナ株式会社

ラ・ハイナ株式会社は2014年の設立以降、ＩＴ×英語をキーワードとした事業を展開している。代表取締役社長を務める武岡佑樹氏は元々SESを手掛けるIT企業に勤務し、3年間で営業・人事・経理などを経験した後、つながりのあったエンジニア3名と合わせ4名で同社を設立した。

若者たちの未来を拡げるお手伝いをすること―。これは同社が掲げている経営コンセプトである。武岡氏はこのコンセプトに行きついた経緯について次のように語る。
「私が会社設立以前にSES事業に携わっていた頃から、IT業界の社会ニーズは非常に高く、圧倒的な人材不足になっていました。ただ、事業としての伸びシロもあり人材不足で若手を育てていくべきことが明白にも関わらず、現場では若手人材がコマのように扱われ、成長機会もなく埋もれてしまっている実態があったのです。だからこの業界で若い人材が成長できる会社をつくることが自分のすべきことだと思いました」。（武岡氏）

武岡氏が若い人材の成長にこだわる理由は、10～20代前半で出会った人生や仕事における恩師たちの存在が大きいという。武岡氏は大学を卒業後、25歳までミュージシャンを目指しながらアルバイトをしていたとのこと。
「恩師と呼ぶ人は複数人いますが、例えば22歳頃から3年間、測量や地盤調査などの現場仕事のアルバイトをしていた時にお世話になった恩師は、大人として非常に魅力があり、私の成長と本気で向き合ってくれる方でした。音楽をすっきりやめることができたのも、自分自身もこういう大人たちのようになりたいと心底思ったからで、今の仕事観につながる原体験となっています」。（武岡氏）

28歳で同社を設立した当初武岡氏は、まずは“IT技術人材支援”と“英語人材支援”のSESに絞って営業活動をスタート。まっさらの状態から顧客を開拓し、徐々に事業を軌道に乗せてきたという。現在は35名の人材を擁する組織に成長しており、SESの他に、インフラや開発の受託・請負や、テレワーク・クラウド・働き方改革に関するITソリューションやオフィス環境提案などに新たに着手するなど、事業のすそ野を広げている。

同社は今後、SES事業だけにこだわらず、受託事業やソリューション事業など、積極的に新しい事業の柱を育てる展望を描き、既に実績もあげている。理想はSESを含め、複数のサービスをつなげて顧客に価値を提供するスキームの確立で、先端技術にも積極的にチャレンジしたいという。複数の事業を育てる理由は、先にもふれたように、さまざまな目標や目的を持った社員や若者たちに成長の場を提供するためである。

それと同時に、会社と社員が高め合える関係づくり、働きがいを感じられる環境づくりにも注力するとのことだ。現在同社では、インフラやＰｙｔｈｏｎを学べるEラーニングをはじめ、各ベンダーのNW機器やOSを検証できる環境づくりなど、社員の成長や育成を主眼とした取り組みを行っている。

会社が第二成長期を迎えている一方で、課題もあるという。武岡氏いわく、経験豊富な人材の採用である。
「当社は設立以降、未経験者や若手の採用・育成に注力してきました。方向性として間違っていないのですが、今後の会社の成長を考えると、今以上に多くの“経験者”の力が欠かせません。0⇒1のフェーズ、1⇒10のフェーズを引っ張る人材を迎え入れることで、“若手からベテランまで各社員の成長環境が多様にある”という理想の会社像により一層近づくのではないかと考えています」。（武岡氏）

こうした課題をふまえ、武岡氏は期待する人物像について、3つのポイントを述べている。
1つ目は、インフラ系や開発系など問わず、強い目標もしくは自身の強みを持っていることである。強い想いや自身の強みを活かし、自身の成長、会社の成長につなげてほしいという。
2つ目は、現状の環境でくすぶっている人である。強みを活かす場を求めている人や、成長できるチャンスを探している人、頑張りを正当に評価してほしい人などに、成長過程の同社で思いっきり能力を発揮してほしいとのことだ。
3つ目は、何事も当事者意識をもって取り組める人である。未成熟の組織においては、会社が何とかしてくれるのを待っていても何も変わらない。自ら行動を起こすタイプの人に、本人がやりたいことができる場を提供したいという。

同社の職場の雰囲気をひと言で表現するならば「オープン」である。一人ひとりが自分らしさを大切にしながらも、相手の個性を尊重するカルチャーがある。前向きに自分の課題と向き合っており、みんな楽しそうに仕事に取り組んでいる。非常にアットホームなのも特徴で、温厚で社員想いの武岡氏を中心に、自然とあたたかい人の輪ができているような社風である。

SES事業は社員たちが別々の現場（顧客先）で勤務するケースも多いことから、結果として会社への帰属意識が薄れるケースも多いという。その点、同社は社内でビジネスチャットを導入しており、非常に活発に社内コミュニケーションが行われている。

また、社内コミュニケーションの活性化という観点では、同社のチーム分けも特徴的である。技術色の強いネットワークチームやサーバチームなどをはじめ、グローバル人材の育成をテーマとした英語チーム、環境づくりの側面から会社を盛り上げるプロジェクトチームなど、自分で参加したいチームを選択できるようになっている。もちろん、自らチームを立ち上げるのも大歓迎だ。毎月業務時間内に帰社して実施するこのチーム会によって、社員一人ひとりの帰属意識が強くなり、主体的に会社づくりに参加できるようになっている。

武岡氏は会社運営において、“人と人のつながり”を大切にしている。例え別々の現場に行っても、会社を離れていったとしても、人と人がつながることで、枠にとらわれない多様な人材が能力を発揮する組織をつくることができる。それによって、人の成長環境の選択肢が増えると考えている。エンジニアはステップアップする過程で職場やキャリアの悩みを誰かに相談したいと思うことも多い。社員同士のつながりが強い同社でなら、自分が思っていることを気兼ねなく周囲に発信できるはずだ。

最後に武岡氏から、未来の仲間へのメッセージをうかがった。
「私たちがつくりたいのは、若者たちが成長できる機会を提供できる会社です。それを作り上げる過程で中堅、ベテラン層もその時期に必要な成長ができる。だから今後の事業も“若者たちの成長”を起点に考え、柔軟に展開したいと考えています。もし共感していただけるなら、ぜひ一緒にがんばりましょう！」。（武岡氏）