創業時から現在に至るまでの自社の事業に対しての思い、また今後の事業戦略について具体的に教えてください。
中国で生まれた私は、24歳まで上海で過ごしました。1989年から日本で物流業に携わるようになり、2000年に当社の前身であるフレートマンロジックス株式会社を創業したのですが、その数年前の1995年ぐらいから日本における輸入が増えてきたと実感していました。当時は、日本国内における国際物流業は盛んではありませんでしたので、「お客様が使いやすい、アジア地域を基盤にした物流ネットワークを構築しよう」という思いがありました。 当社を創業した後も、大手物流企業を相手とした国際物流サービスは存在していた一方で、中小企業の細かなニーズに応えられるような、トータルな物流ネットワークサービスはほとんどありませんでした。当時から「自社のサービスによって世の中に貢献したい」と考えて事業に取り組んできましたが、その思いは今も変わることはありません。 今後事業戦略としては、2030年までに企業価値1,000億円企業になるという目標を掲げ、国内トップクラスのグローバル物流企業になることを目指しています。具体的には、2020年には国内現行事業の方向付けを行い、2021年以降は国際物流の販売に注力し、2023年までには国際輸送の売上を3倍とし、全体売上は250億となる事業を展開していきます。 ≪3ヶ年計画≫ ■国際物流の簡素化した見積り、トラッキングを実現させ、同時に国際物流とEC事業のドッキングを完成させる。 ■中国沿岸地から800Km圏内と日本全国へのDigital Door Door Service (3DS)を開始する。 ■自社ハードを関西、関東とも3000坪物流倉庫を確保し、保税倉庫においては大阪、神戸、東京、名古屋、福岡に各500坪以上の空間を確保する。 ■東京のドレージ事業を150台規模へ拡大させ、必要に応じ海上キャリア、航空キャリアを一部自社にて保有する準備を整う。 2024年以降は、物流のサービスチェーンの需要が一層増し、貿易・保険事業へと波及していき、キャリア、越境用外貿倉庫、EC物流事業、SP専業、国内流通倉庫と事業を拡大させる狙いです。
田井様にとって、物流業の面白味、魅力とはどのようなところにあるのでしょうか。
物流業は、今はまだ「混沌としている」状態にあると思っています。物流業者のサービスを使う各企業は、一定の輸送ロスを見越していて、例えば余分な数を仕入れる、あるいは早めに商品を仕入れるといった対策を行っていますが、その部分はコストとしてムダになっています。このムダになっているコスト部分を減らし、合理的な輸送を行うことでお客様の役に立つことができますが、その改良の余地はまだ多く残っています。それを形にしていくことは面白味でもありますし、物流業に携わる上でのビジネスとしての魅力でもあると思っています。 その改良のために重要になるのが、ITという要素だと思っています。ITを駆使して業界を変革する刺激、そしてまだ拡大を続けている国際物流の市場性の魅力を、当社で感じられるはずです。上記でお伝えした今後の事業計画達成における重要なポストは『ITの指導者』と『通関AI化の指導者』です。新しいものを創造する意欲、そして世界に対してチャレンジしていく心を大切に、是非取り組んでいただきたいですね。
御社の企業としての強みはどのようなところにあるのでしょうか。
私が思っているのは、当社は変化に対する「準備ができている」部分に強みがあると思っています。企業文化として、常に新しいことにチャレンジする姿勢を社員一人ひとりが持っているのが当社の特徴ですが、その姿勢があるからこそ変化に対応できますし、IT化をはじめとする大きな改革にもスピーディに取り組めたのだと思います。 2020年の4月から、伝票・書類の受け渡し等、紙ベースで行っていた社内の経理業務をペーパーレス化し、システム運用による業務を開始しましたが、変化に対する備えができていたことによって、非常にスムーズに移行できたと思っています。こうした変化に対する適応性という強みは、新規サービスの企画や実行に際しても大きな力になるはずですし、新しい時代に必要とされる物流を形にする上での大きなアドバンテージになるはずです。
経営を行う上で大切にしていることを教えてください。
現在の時点で私が大切にしているのは、社員達のクリエイティビティを発揮させる、養っていくという意識を持つことです。企業の理念となっている「社会貢献」を実現するためには、世の中に価値を提供できるようなものを生み出す力が必要になります。その力を最大限に発揮し、さらに養っていける環境を提供することが、経営者の私がやるべきことだと考えています。 物流業に携わる上では、合理的な輸送によってお客様の役に立つことこそが私達に課せられた使命です。今の時代における最適な物流、合理的な輸送を実現することに価値を見出し、社会に貢献してこそ企業としての価値が生まれてきます。社員一人ひとりにもそうした心、思いを持ってもらい、会社としての利益と同時に社会に対するメリットを生み出すような取り組みを続けてほしい。それが私の考えです。
最後に、転職者に向けてメッセージをお願いします。
私自身、自らニックネームをつける際に好きな言葉として選ぶことが多いのが「chaser」というもの。常に新しいものを追いかけていく、それによって精神的な若さを維持し、世界を視野に入れてチャレンジし続ける、という意味をイメージしているのですが、その意識を社員一人ひとりにも持ってほしいというのが私の願いです。その思いに共感していただける方には、是非当社に入社していただきたいですね。 物流業界での経験がない場合に、「自分に素養があるかどうか」という不安を感じる方もいるかもしれませんが、素養はこれから養っていけばいいと私は考えています。仕事のことはもちろん、世の中のことにも興味関心を持って日々を過ごし、素養を養いながら会社生活を豊かにしてほしい。そして、世の中に対して貢献する心を持つことによって個人としての生活も豊かにしてほしい。それが私からのメッセージです。