株式会社ブレインズ・ネットワーク

「ビジネスの課題をデザインで解決する」ことを使命に、印刷とWebを中心としたクリエイティブをはじめ、マーケティング、販売促進、コンテンツ企画、オフィス移転、CSR事業、アフリカ支援など幅広い事業を展開し、成長を続ける株式会社ブレインズ・ネットワーク。同社は1987年8月に印刷会社として創業し、2000年1月に税理士で外資系監査法人のコンサルタントとして活躍していた現・代表取締役の曽根　勝貴氏が会社を引き継いだ。

「印刷業界のイの字も知らなかった人間がいきなり引き継いだのですから、当初はうまくいかなかったですね。それでも、クライアントへの営業を通じて、印刷だけ受注するのは難しいことに気付き、その前の企画・デザインから手がける体制を整えました。その後も、もし本丸の印刷がダメになった時に、社員とその家族を守るために違う業種に転向するのもありだと考え、いくつかの事業を立ち上げました。万が一の保険というニュアンスが強かったわけです。ところが、本業がうまくいき続け、かつ相乗効果でその他の事業も伸びて、結果的に成長を続けることができました」。（曽根氏）

同社が立ち上げてきた事業は実に多彩だ。例えば2001年11月に子会社として設立したのが株式会社タレントデータバンク。この会社が運営するサイトは、今や2000社以上の芸能プロダクションのタレント情報を掲載するわが国最大級のタレント情報ポータルサイトへと成長した。世界的なIT企業と直接契約して、タレント情報を提供するサブスクリプション・ビジネスも行っている。

また、2008年12月に開設したのが「CSR図書館.net」。これは、わが国の主要大手企業700社以上のCSR報告書、環境報告書、統合報告書を、検索・閲覧できるポータルサイトだ。

「現在、わが国唯一で最大規模のCSRポータルサイトで、情報を提供いただいているのは大手企業ばかりです。普通、そういった会社にアポを取ろうと思ったら特別な用がなければ難しいでしょう。しかし私たちはこのサイトを通じて、大手700社以上の担当者とつながっており、営業面でも大きな強みとなっています」。（曽根氏）

さらに2012年5月にスタートしたのが、企業のオフィス移転をトータルサポートするオフィスプランニング事業だ。

「当社がオフィス移転する際に、手続きなどが非常に煩雑で、誰か代わりにやってくれないかと考えたのが事業開始のきっかけです。引越をすると住所が変わるので、会社案内や名刺、ホームページなどを作り直す必要があります。当社ならそれらの印刷・デザイン・制作もできます。既存の事業と全く関係ないようで、実はつながっていて相乗効果が生まれています」。

そして2016年9月にはデザイン会社として数多くの実績を持つ株式会社アイム（横浜市）を子会社化し、デザイン力をさらに強化。50名が新たに加わり、グループとして100名規模の体制となった。

連結売上高は2016年度から毎年1億円増ペースで増加を続けており、2019年度の連結売上高は18億円に達した。

ブレインズ・ネットワークの主力事業の一つが、Web制作・Webマーケティングサービスだ。ランディングページから大規模サイトまで幅広い制作実績を誇る。同社の強みは、デザインからシステム開発、アフターフォローまでクライアントのニーズに合わせたサイト制作・運用をワンストップで提供できることだ。クライアントの特徴やサイトの目的など、ヒアリングをしっかりと行い、課題を明確にした上で、クライアントとユーザー双方のニーズに応えたWebサイトを制作している。同社で活躍する魅力について曽根氏は次のように語る。

「クライアントは大手企業をはじめ、学校、官公庁、スポーツ団体など多岐におよび、70％以上が直接取引です。そのため、お客様から直にご要望や課題を伺い、色々と提案しながらWebサイトを制作していくことができます。自分のやった仕事がお客様のビジネスにどのように影響を及ぼしているかがリアルに伝わってくるので、大きなやりがいを実感できます」。

様々なWeb制作を手がけることができるので、自らのスキルの幅を広げたい方にはぴったりの環境だ。また、多彩な事業を展開する同社なら、紙媒体のデザインなど、幅広い知識を身に付けることができる魅力もある。

今後の展開としては、“世界の経営にデザインを”というビジョンを打ち出し、企業の抱えている課題をデザインで解決するソリューション提供に力を入れていきたい考えだ。

「今、世界中の大手コンサルティング会社や大手IT企業が、デザイン会社を買収する動きが活発になっています。コンサルティング会社が理論や数字でコンサルしても全く売上が伸びなかった会社が、製品パッケージのデザインを変えただけで売上が3倍になるといったことが起きており、デザインの持つ力が改めて注目されているのです。ただ、大手企業と違い、中小企業はデザイン会社を買収できません。それなら私たちが、課題をデザインで解決するソリューションを提供しようと考えたのです」。（曽根氏）

そして2020年6月に、新サービスを提供する子会社として株式会社GDMパートナーズを設立した。

「新会社では中小企業の経営コンサルティングをしているコンサルタントをパートナーとして、経営にデザインを入れるサービスを提供していく計画です。いい製品を持っているが思ったように売上が伸びていない会社や、まだ規模は小さいがこれから上場しようとしているイキのいい会社の成長を、デザインでサポートしていきたいと考えています」。（曽根氏）

現在、ブレインズ・ネットワークは約50名体制（2020年11月時点）。Webデザイナー、Webエンジニア、デザイナー、プランナー、ディレクター、校正担当、営業、オフィスプランナー、CSR担当、印刷工房担当など、各分野のスペシャリストが揃っている。社員の年齢層は20代から50代までと幅広く、男女比は男性6割、女性4割。オフィスは東京メトロ有楽町線「江戸川橋駅」から徒歩約4分のオフィスビル内にあり、東西線の「神楽坂駅」「早稲田駅」からも徒歩圏内だ。同社の企業カルチャーについて曽根氏は次のように語る。

「採用の際に和を大切にする人を選んでいることもあり、社内の雰囲気はとても良く、社員同士の仲もいいですね。例えば印刷工房で行う袋詰めの作業を、早目に仕事を終えた他部署のメンバーが手伝うなど、社員同士が部署を超えて助け合う光景がよく見られます。グループ会社・アイムも、社名こそ違いますが、同じ会社というイメージです。毎年合同で行う忘年会は、社員の家族も含め150人以上集まって盛り上がります（2020年は中止）」。

社会保険完備、住宅手当など福利厚生も充実している。完全週休2日制（土・日）、祝日休みで年間休日は120日以上と、プライベートも大切にしながら働ける環境だ。

「7～8年かけて残業を減らす取り組みを進めてきました。さすがにゼロというわけにはいきませんが、夜遅くまで残って仕事をすることはありません。最近では定時に退社する契約の社員もいます。先日、産休から復帰してきた社員が1名いるほか、産休中の社員が2名おり、ライフステージが変わっても働き続けることができる環境です」。（曽根氏）

そんな同社が求めるのは、協調性があって、まわりの人たちとしっかりコミュニケーションを取りながら仕事を進めていくことができる人物だ。

「自分一人では生きていけないことを知っている人がいいですね。まわりのことを気にせず、自分のことだけやっている人は当社には向いていません。自分が生きていくには他人の力を借りなきゃいけない。逆に自分は他人に力を貸さなきゃいけないことをわかっている方に来て欲しいですね」。（曽根氏）

コロナの影響で多くの会社が軒並み売上を減少させる中、同社は「前年度並みの売上を維持できそうな見通し」（曽根氏）と言う。

「スポーツ大会やイベントが中止となり、そのポスターやパンフレットなどの印刷物の売上は減りました。しかし、テレワークの推進に伴ってオフィス規模を縮小する会社が増えて、オフィスプランニング事業部の売上は大きく伸びています。常に次のことを考えて、先手を打って多角的に事業展開してきたことが、リスク分散につながり、功を奏していると感じています。今後も新しい事業に積極的にチャレンジしたいですね」。（曽根氏）