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インタビュー画像取締役 VP of Engineering矢嶋(左) CTO工藤(右)

エンジニアとして、B2B SaaSプロダクトに携わる意義とこれから。CTO・工藤真×新取締役・矢嶋裕介が語る「hacomono」新時代の挑戦

6月1日、hacomonoはエンジニアの矢嶋裕介が取締役 VP of Engineeringに就任したことを発表しました。 矢嶋は株式会社エイトレッドの開発リーダーとして「AgileWorks」「ATLED Work Platform (AWP)」立ち上げに携わったほか、前職では合同会社DMM.com(以下、DMM)CTO室で事業部や開発組織の技術支援を行ったという経歴を持ちます。 2021年1月に「まちいろ」から社名変更したhacomonoは、会員管理・予約・キャッシュレス決済が行えるSaaSプロダクト「hacomono」を提供するスタートアップです。主にフィットネスクラブやスクールなどの店舗ビジネスで活用されているのが特徴です。 代表の蓮田健一、CTOの工藤真、そして矢嶋はかつてエイトレッドで同僚でした。その後、工藤はサイバーエージェント、矢嶋はDMMとメガベンチャーでのキャリアを重ねた2人は、経営パートナーとして約10年ぶりにhacomonoで再び合流しました。 今回は工藤と矢嶋の対談という形で、2人の思い出話をはじめ、開発組織がどう変化するか、今後の展望などを語ってもらいました。

エイトレッドで生まれた、背中を預けられる信頼関係

——お二人が出会ったエイトレッド時代、お互いのことをどう思ってました? 工藤:初めて矢嶋さんに出会ったのは、エイトレッドでAgileWorksを立ち上げたころ。とにかく優れたエンジニアで、技術力で仲間を引っ張るだけではなく、チームで仕事を進めるうえでも、コミュニケーションにもコミットしてくれる人というのが第一印象でした。 僕はどちらかと言えば、UI/UXなどフロントよりの開発とエンジニア全体の方向性管理を担当して、矢嶋さんが品質管理やコアの部分のベースを作り、それをメンバーに落としていく。自然と役割分担ができるようになり、成熟した関係性ができていったと思います。 矢嶋:本人がいる前で褒めたいわけではないのですが(笑)、私は出会ったころ「同世代でこんなにデキる人を見たことがない。やっといた!」と感動したのを覚えていますね。 工藤:その感覚は自分にもあったかもしれないです。エイトレッドの前の職場では、僕も受託で小~中規模のSIなどをやっていました。当時も頼りになる先輩はいましたが、1人でプロジェクトを担当することが多かったため、技術的に「この人、めちゃくちゃスゴい」と思える人と一緒に組む経験がそれまではなくて。矢嶋さんは技術的な部分はもちろん、課題にコミットするという点でも、他のエンジニアとはまた違うマインドを持っていました。技術的な議論ができるのが純粋に楽しかったですね。 ——“背中を預けられる”信頼関係は、どのように築かれたのでしょうか? 工藤:矢嶋さんは、上からの指示を待つ受け身のタイプではないんです。チームやプロダクトなど、現実を見ながら「こうした方がいいと思う」「こうやりたい」と、思想をもって考えられるのが印象的でした。そういうのが積み重なり、「信頼貯金」ができて、いろんなことを任せられるようになっていったと思います。最終的には背中を預けられるというか、それぞれの強みを生かして、阿吽の呼吸で仕事ができるようになっていきましたね。 矢嶋:もうだいぶ前だから、居酒屋で日本酒を飲み過ぎて寝そべったとか、そんなことしか思い出せないです(笑)。AgileWorksのリリース直後は遅い時間まで働いていて、それから居酒屋に行き、お酒で何とかMPを補充するみたいな生活をしていました。HPを削りながら(笑)。そのときは、技術よりもプロダクトの議論をよくしていて。いつかやってみたいことを夢物語のように話していましたね。でも、苦労したことも結構ありましたよ。 AgileWorksは大企業向けのプロダクトだったのもあり、バグがあったりすると、お客様のところに2人で行って、怒られるなんてことも。家族連れが楽しんでいる祝日の横浜で、「その場で作業を終わらせないと帰らせない」みたいな日もありました(笑) 工藤:そんなこともありましたね、懐かしい……。 ——その後、工藤さんはサイバーエージェントを経てまちいろ(現・hacomono)に、矢嶋さんはDMMに転職をされました。お互いに違う道を進んでいた中で、工藤さんが矢嶋さんに声をかけようと思うまでには、どのような経緯があったのでしょうか。 工藤:もし誰かを誘うなら、思いつくのはこの人しかいないと、ずっと考えてはいたんです。ただ、まちいろのころは、クライアントワークが中心だったので、そこで矢嶋さんを誘うのはちょっと違うと思っていました。代表の蓮田と私はまちいろ時代も、「やりたいのはプロダクトだ」とずっと言い続けてきたので、その道筋ができ上がってから信頼のおける人を誘いたいなと。 その後、代表の蓮田とも話してみて、矢嶋さんと「とりあえず近況報告で一回会おうぜ」みたいなノリになり、飲んでいて一気に話が進んだ、みたいなところかな(笑)。 矢嶋:前回の記事でも話したのですが、DMMに勤務して3年くらいだったので、ちょうど次のステージを考えていたんですよ。絶妙なタイミングでしたね(笑)。驚きましたが、取締役という責任のある立場で上場に向けて挑戦できる機会はないと思い、転職を決めました。

B2Bプロダクトだからこそ得られるお客様との距離感

——お二人ともB2Cのサービスを展開するメガベンチャーから、B2BのSaaSプロダクトを提供するhacomonoに参画したなかで両者にどのような違いがあると考えますか? 矢嶋:エイトレッド時代の経験と照らし合わせると、お客様との距離が違うなと思います。B2Cは基本的に1対1ではなく、データを見ることが多い。B2Bもデータは見るのですが、お客様それぞれの使い方や意見などを取り入れながら、もっと手厚く対応ができます。好き嫌いあるとは思いますが、B2Bの方がより人間味はあるような気がしますね。僕はビジネスをされている方のそばで仕事をするのが好きなので、B2Bの方にやりがいを感じます。 工藤:B2Bはお客様と直接話して意見をもらえる機会が作れますし、手掛けた仕事がダイレクトに企業に影響を与えられるのを私も魅力に感じています。Bの先にはCがいたりするので、企業を支えることで結果的に社会や世の中にもタッチできているのではないかなと。 ただB2C向けサービスを経験したことで、今生かせていることは非常に多いです。僕の場合、サイバーエージェントでソーシャルゲームの開発をやっていて、仮説検証とPDCAを回すのがとても早かった。今はDXが盛んに言われてB2Bの企業でも当たり前になりつつありますが、あのスピード感を体験できたのは、経験値として大きかったと思います。 矢嶋:B2C向けサービスの改善サイクルと成長スピードは、本当にすごいですよね。前職のDMMではCTO室に所属していて、さまざまなサービスのサポートをしました。その過程で見てきた成功・失敗した数々の事例が、経験値として蓄積されているように感じます。 その経験を経て、「こうなったら失敗する」「失敗した結果どうなるか」がある程度分かるようになったので、hacomonoでは同じ轍を踏まないようにいけるなと。たとえば、マイクロサービス化を進める中で、開発組織をどうすべきかと考えたときに、チーム化してタスクを分割しながら、それぞれが独立できるアーキテクチャを採用しないととかですね。 ——工藤さんはhacomono(当時は、まちいろ)のCTOとして転職されて、6年ほどたちますよね。開発チームの変化やこれからの課題をどのように捉えていますか? 工藤:まちいろ時代はクライアントワークが中心だったので、最初は「ひとりプロジェクト」としてhacomonoのプロダクト開発をしていました。しかし、資金調達をして組織が急拡大する中、開発メンバーも増えてきています。ようやく会社としてチームでプロダクト開発をできるようになったというのが最近です。今は、開発フローやマインドをしっかりと作り、これから増えていくメンバーにも落とし込める体制を整え始めています。 特にhacomonoはバーティカルSaaSなので、開発メンバーもお客様が抱える課題や現場で何が起きているのかを把握しなければいけません。そのためには、コロナ禍でリモートワークが当たり前になったのもあり、オンボーディングが重要になると感じています。 たとえば、営業チームが行くお客様の打ち合わせに同行して作った機能に対する生の声を聞いたり、実際にお客様がどのようなサービスを提供しているのかを体験できたりする機会を意図的に作りたいです。hacomonoはフィットネス業界のお客様が中心。運動や習慣における継続の難しさを肌で感じたときに、「どうやってプロダクトやサービスを通して貢献できるのか?」と考えられるマインドを、開発チームには浸透させたいなと。

お客様、エンドユーザーの声からプロダクトを成長させる

——先ほど話していたB2Bならではというか、お客様と近い距離にいるからこその良さを、開発チーム全体としても定着させていきたいということですね。 工藤:そうですね。フィットネス業界は、新型コロナの影響で大きな打撃を受けていて、どの経営者さん達も「どうにかしなきゃならない」という危機感を持っていらっしゃいます。その中で、マーケチームを中心に「hacomono Conference」の開催などを通して、前向きな接点を持って日々お客様と未来について向き合っています。プロダクトを作る開発チームも、積極的にお客様とコミュニケーションを取るというのをやっていきたいです。 ——矢嶋さんとしては、工藤さんが話していた今後の課題についてどう考えていますか? 矢嶋:お客様の声をどう反映し、解決につなげていくかという点では、とにかく改善の数を打てるようにするというのが今後の私の仕事だと思っています。いろんなバージョンを作って試すというのは、今はまだ難しいので、分単位ぐらいで検証して「あ、やっぱりダメだった」「これは良い」といった環境を作れるようにしていきたいと考えているところです。 私たちとしてやるのはもちろんのこと、中長期ではお客様自身が状況に応じてカスタマイズできるようにするのも、プラットフォーム屋として必要です。エンドユーザーの気持ちを一番理解しているのはお客様なので、私たちを介さなくても店舗をアップデートできる機能を開発できたらなと。そのための人材とアセットは、hacomonoにそろっていると思います。

ウェルネスを当たり前にするため、10年後の未来とは

——CTOがすでにいるスタートアップに、エンジニアが取締役として加わるケースは珍しいと思います。この意思決定には、どのような意義があると考えていますか? 工藤:代表の蓮田を含め、エンジニア経験があるメンバーが経営陣にいるのは、よりプロダクトドリブンな組織にしていくという点で、対外的にも内面的にも意義があると考えています。役割分担はまだ明確に決まっているわけではありませんが、私がプロダクト方面、矢嶋が開発基盤を中心に見ていくことを想定しています。お互いの得意分野、双方のこれまでの経験を生かしながら、チームや会社を引っ張り、成長させていかないといけません。 ——2人の強みを生かしながら、よりプロダクトドリブンな組織を作っていくということですね。5~10年後に目指すhacomonoの姿も、イメージされていたら教えてください。 工藤:足元ではプロダクトのPMFを進めますが、中長期ではフィットネス業界に限らず、いろんな業種の店舗がデジタル化され、DXを基軸にした経営判断がされていくでしょう。hacomonoは今、予約や決済に対応していますが、店舗ビジネスには他にも果てしなく課題があります。さまざまなデジタル化に関する要望に応えていきたいと思っています。 あと妄想みたいな話になりますが、フィットネス業界でいうと、「通い始めても続かない」というケースに対して、業界全体で考えていく必要性を感じています。たとえば、プロダクトを作り込むのとは別方向かもしれませんが、ウェアラブルデバイスなどを利用して、当たり前のようにジムにふらっと寄ってしまうような仕組みを作るとか。 矢嶋:フィットネスや習い事を「継続してもらう」というのは本当に難しいですよね。人間心理とか、習慣の紐づけ、動機付けに関わってきますから。将来的には、ウェルネスを当たり前のもの、より身近なものにするために、僕たちがどこまで貢献できるのかチャレンジしていきたい。人々の健康は重要だから、僕らがおじいさんになったときに健康でいられるための仕組みを、自分たちで用意していこうという気持ちで頑張りたいです。 ——hacomonoは今、テックリードポジションを中心にエンジニアの採用を強化しています。今のフェーズで参画する魅力について、お二人から最後にメッセージをお願いします。 矢嶋:今は特に成長の過程を楽しめるのが、hacomonoの魅力だと思います。開発以外のロールでもそうですが、今携わっている職務が来年は別の名前になっているかもしれない。そんな組織の成長に合わせて自分の役割もどんどん変わる状況なので、裁量を持って仕事に取り組める環境が楽しいと思える人には、とても良い環境なのではないでしょうか。 プロダクトドリブンな組織という点では、良いものを作るとやっぱり気持ちがいいんですよね。「うちの安いでしょ?」と言うよりも、「うちの良いでしょ?」と自慢できるほうが僕は好きです。とはいえ、技術を極めたいというよりは、そこは当たり前品質としてあって、課題解決にまでコミットしていきたいという人と仕事ができたらなと思っています。 工藤:矢嶋さんが言うように、課題解決まで携われるのが面白さなのかなと。hacomonoはまだPMFに至っていないので、これから作りたいものや、作って解決できる課題はまだまだある。オーナーシップを持って自身のスキルを発揮したい方には活躍できる環境が整っていると思うので、興味のある方はぜひ応募いただけると嬉しいです。

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