幼少期から社長を目指していたとのこと。原体験をお話しください。
大工だった祖父の影響です。一人親方だったので、自由にやっているのを見て、良いなと思ったのかもしれません。 ただ、成長するにつれて、チームを引っ張っていく能力に目覚めていった感覚はありました。何をやるにしても技術や能力が特別秀でているわけでないのに、いつもリーダーポジションにいました。例えば、小学校の時はサッカーチームでキャプテンを務めましたが、私より上手い子は沢山いました。ワールドカップのチームでも、キャプテンになる人は、選手としては地味な選手が多い。決してスター選手ではないけど、キャプテンを任される。そういう感じです。手前味噌ですが、天性、もしくは向き不向きだと思います。 前職時代も、事業全体の統括を任せていただいていたので、ほぼ社長のようなポジションにいました。ですから独立することは考えていませんでしたが、途中で事業方針が変わり、根本的に自分の信念を貫くことができなくなったため退職を決意したのです。 人の引っ張り方にも色々あります。トップダウン型のリーダーもいますが、私はそうではありません。もちろん変な方向に進み始めたら、トップダウンで方向修正をする必要はありますが、どちらかというと私は、一人ひとりの自主性を重んじて、皆でやっていくタイプです。サービスに関しても、1から5ぐらいまでは私のリーダーシップで成長させ、その後のクオリティーを上げていくフェーズは、各部門に任せていくスタイルを取っています。『ハイシャル』も『車陸送.com』も、そういうスタイルが上手く機能し、今はもう私がいなくても順調に成長し続けています。各部門に私よりも高い技術やスキルを持った人材がいますので、既存事業は、そういったメンバーに任せて、私自身は『クリマ』に注力し始めています。
「人と人のつながりを大切に、成長し続けていく。」という理念に辿り着いた背景にはどのような経験がありましたか。
前職時代から感じていました。独立したきっかけはこの理念を貫くことができなくなったからです。我々のビジネスモデルでは、合理的に利益を追求していこうとすれば、おそらく間にいる我々が最も儲けることができると思います。でも私は、提携業者の方々がいるから成り立っているビジネスモデルだと考えていましたので、金銭的な利益を追求するだけではないような事業を作りたいと考えて独立したのです。 廃車買取というのは、初めてのユーザーさんからすると様々な不安が付きまとうサービスです。まず本当にお金がかからないのか、引き取ってから高額な請求書を送ってくるのではないか、といった疑念を持たれます。その時に、引き取りに行く業者が、近所の業者だと分かると、近所で店を構えているような業者が悪さをするはずはないと安心してくださいます。 ただ、ユニオンエタニティを創業するための準備を進める中で改めて実感しました。何の後ろ盾もない中で、全国の提携業者の方々やサービスサイトの制作会社、さらに後輩や家族、親族、色々な人に協力していただきました。特に提携業者の方々は、非常に優遇した条件を申し出てくれたり、「大変だったらこんな方法もあるよ」と便宜を図ってくれたり、本当り有り難いなと思いました。やっぱり一人じゃ何もできないということに改めて気付かされ、それはもう忘れずにいようと考えてやってきました。 『クリマ』では、こういった提携業者は直接の売買からは外れてしまいますが、売買に伴う整備や陸送等でご協力いただきます。ただ新しいビジネスモデルであるため、これまでの条件面だとどうしてもサービスとして成り立たない部分が出てくる。それでも「御社が何かやりたいと言うなら、とりあえずやってみよう」とご協力してくださる業者は少なくありません。 やはり不景気で市場に出回る台数が減っている中、良い物件は大手が囲い込んでしまうため回ってこない。その中で、皆さんも生き残る道を探っているわけです。そういった危機感を共有した上で、皆で成長し合えるようなビジネスを作って行くことが弊社のミッションであると考えています。
先日リニューアルした『クリマ』について、今後の課題をお話しください。
まずはユーザーの成功体験を作っていくことが課題です。正直に言うとリニューアル前のサービスサイトは、我々から見ても使いにくいものでした。ユーザビリティーが悪く、なおかつ弊社が介入せずに、ユーザー同士で勝手に取引してもらうスタイルにしていました。それでも月に20~30台は載っていたので、ニーズがあるということだけは分かっていました。 そこでサイトを改修し使いやすくして、さらに我々が間に入ってサポートしていくことにしたのです。 出品する方もプロではない個人なので、適正な金額が分かっていません。分からないので中古車ディーラーの価格を参考にして、同じぐらいの金額で載せてしまう。そうなると誰も買わないですよね。自分に置き考えれば分かることですが、売る側は少しでも高く売りたいのでそうなってしまいます。 そこで、我々もある程度は介入する仕組みに変えて、適正な金額を教えてあげたり、理由を説明してあげたりすることで、個人売買の適正価格を作っていくことにしました。そうやって成功事例が生まれてサイトに載っていけば、その後はそれを参考にすることができるので、適正な売買ができるようになります。 現在ではすっかり定着したフリマアプリも、最初の頃は苦戦したと思います。例えば、本を売るにしても昔は古本で売るか、ちり紙交換に出すかの2択しかなかった。それが今はフリマアプリで売るという選択肢が出てきて、今はそれぞれ同じぐらいの割合で拮抗していると思います。中古車の個人売買に対する精神的な障壁がなくなれば『クリマ』にも商機はあると考えています。 もちろん、夢を語るのは簡単ですが、実行するが一番難しい。『ハイシャル』も『車陸送.com』も結果を出しましたが、『クリマ』はハードル高い。マーケット自体はかなり大きなマーケットなので、ここで成功すれば、付随してさらに色々なサービスを生み出していけると考えています。
自社の社員に求めていることをお話しください。
いつも言っていることは、「ここの会社はいつ潰れるか分からんぞ」ということです。コロナ禍がなかったとしても、今は大手企業でもでもどうなるか分からない状況です。せっかくユニオンエタニティに所属しているのなら、仮に会社がなくなって外に出ることがあった時、ここで働いていて良かったと自分で思えるような人になってほしいと話しています。 ユニオンエタニティだけのルールを覚えても、外に出れば役には立ちません。しかし商談の技術でも、基本的なPC操作の技術でも、何でも良いですけど、よそに行って転用できるスキルを身に付けることができれば、ここで働いていて良かったと思ってもらえるでしょう。そういう人になってほしいと思います。 人材教育についても、個人のビジョンは重視します。例えば設立間もない時に事務で入ってきた社員がいますが、デザインの技術を学びたいというので、学校に通ってもらいました。なぜデザインを学びたいのか聞いたところ、事務職は必ず会社に出社しなければいけないが、デザイナー職なら、力を付ければ家でできるかもしれないと言うのですね。その背景には地方の実家の事情があったのですが、デザインなら我々の会社でも貢献してもらえると考えました。実際、弊社のロゴも、Webサイトも、その社員がデザインしたものを採用しています。 自分のビジョンを追求した結果、スキルが付いてこの会社では物足りなくなるとしたら、それは仕方がないと思っています。独立する時の大変さは分かっていますので、前向きに外に出てチャレンジすることに関しては応援したいと思っています。
評価制度をお話しください。
各チームの上長と私が、それぞれの視点で評価シートを作成し、それを突き合わせながら議論をして決めています。 ただ、今後はもう少し精度を高めた人事評価精度を導入する予定です。定量的な数値目標だけではなく、定性的に判断できる側面の両面から評価して、これまで一律だったボーナスも、個人の頑張りに合わせてメリハリを付けていくような制度を考えています。目標設定も会社から与える課題だけではなく、自分で決めるフリー目標みたいなものも取り入れて行く予定です。また、定性面では、会社の理念に合致した行動が取れるか、周りへの配慮ができるか、会社の運営にどれぐらい貢献できているかといったことを考慮していきます。 弊社が求める人物像は、変化に対応できて、自分から積極的に行動できる人です。最初から、スキルは問いません。後から付いてくると思っています。しかし、本当のところは、実際に見てもらわないと分からないと思います。体験でバイトでもしていただければ分かりやすいと思いますので、気になる人は一度、見に来ていただければと思います。それでお互いにOKだと思えるなら、是非一緒に仕事をしましょう。