GLOE株式会社

“ゲーミングライフスタイルカンパニー”として、ゲーム大会やイベントの企画・運営、インフルエンサーマーケティングといった事業を展開するGLOE株式会社。同社は、同じeスポーツ業界の企業であったウェルプレイド社とライゼスト社が合併する形で2021年2月に「ウェルプレイド・ライゼスト」として誕生した企業で2024年2月1日に社名を「GLOE株式会社」変更した。合併によって両社の強みを融合し、黎明期と言えるeスポーツビジネスの領域において躍進を目指している同社について、代表取締役の一人である谷田優也氏は次のような特徴を説明してくれた。

「お互いが切磋琢磨しながら事業を展開している状況でしたが、実現させたい世界観や未来像が近いと感じていました。その実現を少しでも早く達成するために、合併という選択肢を取ったわけです。ライゼスト社には、PC向けのeスポーツタイトルに関するビジネスノウハウや協賛企業を募るリーグ運営の知見があり、一方のウェルプレイド社には家庭用ゲーム機やスマートフォン向けのタイトルを得意分野とする等、それぞれに特徴を持っていました。その両社の強みを融合させることができるメリットが、この合併にはあったんです」（谷田氏）。

合併した2社はそれぞれ、PC向けとコンシューマー・モバイル向けという“得意とするゲームジャンル”の違い、そしてクライアントワークとコミュニティ運営という“強さを発揮できる事業領域”の違いを持っていたという。同社は、事業におけるそれぞれのアドバンテージを組み合わせることで、eスポーツに関するビジネスの全方位をカバーする力を付けたということになるわけだが、その合併によるリスクはなかったのか。そんな質問をストレートにぶつけてみたところ、谷田氏は「両社がお互いのメンバーをリスペクトする気持ちがあったことで乗り越えられた」と答えてくれた。

「もちろん、それぞれの組織風土や業務スタイル等の文化を統合するわけですから、その摩擦がマイナスに働くというリスクは想定していました。しかし、これまでの活動に関して、お互いが“カッコいい仕事をしている”と思えるようなリスペクトの精神を持っていたので、一緒に仕事をしてみたいという気持ちが強かったのだと私は思います。合併合併に起因する離職したスタッフはわずかに一人ですし、非常にいい形でスタートが切れたと感じています」（谷田氏）。

２社の融合のシナジーを活かした結果、2023年11月に東証グロース市場に上場。

今後の事業展開に関しては、従来の主軸事業であるeスポーツイベントの企画・運営や、配信番組の制作といった領域に新技術を積極的に取り入れながら、そのスキルアップや成果物のクオリティーアップを目指すというのが、同社の考えだ。その新たな技術導入の一例として、ARやVRによるイベント空間の創出や番組制作といった企画を考えていると語る谷田氏だが、一方でその技術開発だけに注力するつもりはないとも語っている。

「eスポーツの仕事自体、まだ確立されていない部分が多く、極端に言えばまだ誰も思いついていないビジネスの形は無限にあると言えるでしょう。もちろん、イベントの受託や番組制作という業務はビジネスとして成立しやすい部分がありますが、私達はそれだけをやるために事業に取り組んでいるわけではありません。eスポーツを軸にしたビジネスの収入構造を多重化すること、そしてトレンドに合わせて柔軟な対応ができるような複数の事業スキームを持つことが、当社の目指すところなんです」（谷田氏）。

その目指す姿へと変貌するために、同社では新規事業の開拓に積極的に取り組んでいる。直近では、ゲーム実況者やプロゲーマーに対するサポート事業を進化させ、日々ゲーム配信を行うストリーマーの広告収入獲得を支援する活動も開始している。いわゆる“切り抜き動画”をeスポーツの世界にも浸透させるという新たなチャレンジになるが、こうした取り組みは数年前には想像もできなかったビジネスの形だと谷田氏は語っている。

「著作権のある映像を独自に編集して広告費を稼ぐわけですから、一昔前なら考えられなかったビジネスだと思います。しかし、現在はその広告収入をクリエイターやゲームメーカーに還元しながら展開できるビジネスになっています。こうした変化に速やかに対応できるのも当社の事業で感じられる喜びですし、同じようにeスポーツにおける新しい形のビジネスを探し続けることこそが当社の役割なのではないかと、私は考えているんです」（谷田氏）。

単なるイベント運営企業としてではなく、様々なチャレンジによって収益の形を模索し続け、ゲーマーやメーカーに対する還元を可能にする座組を考え続ける。それが、eスポーツビジネスの先駆的企業であり、ミッションとして「eスポーツの力を信じ、価値を創造し、世界を変えていく。」という思いを掲げる同社の役割だと、谷田氏は語っている。

「ゲームをきっかけに人と社会をHAPPYにする。」というミッション、そして「We are the GAMING LIFESTYLE Company.」というビジョンを掲げる同社だが、谷田氏は今後入社する人材にもそのミッション、ビジョンには共感してほしいと語っている。また谷田氏は、まだ確立されていない新たなビジネス領域での業務であり、同時にエンターテインメントとしての魅力を広げる業務を担う業界に身を置く自社のメンバーになる上では、二つの要素が成功のカギになると語っている。

「eスポーツという“答えのない世界”を導きながら人々に感動を与える仕事においては、『知的探求心』と『強烈な原体験』を持つ人がマッチすると思っています。前者については、“何だかよく分からないけど面白そう”と意欲を持つことで、ビジネスの可能性を大きくできるはずだというのが私の考えです。また、ゲームやeスポーツの魅力を自分の言葉で発信するためには、自分なりの答えの裏付けとも言える原体験がある方が、説得力があると思っています。その二つの要素を持っていることで、当社での活躍のチャンスは広がるはずです」（谷田氏）。

ビジョンへの共感を求めてはいるものの、自身と全く同じ世界を目指すことは求めておらず、共感を軸とした自分なりの答えや目標をメンバー達には持っていてほしいと、谷田氏は語っている。ビジョンやミッションに共感した上で、自分がやってみたいことをきちんと言葉にできる力がある。そんな人材を迎えたいというのが谷田氏の考えということだ。“ゲームが好きだという気持ちを仕事に生かしたい”“好きなことを仕事にする喜びを感じたい”という熱量も大切だと語る谷田氏に、最後に転職者に向けたメッセージを送ってもらった。

「ゲームが好きな方にとっては、すごく幸せな時間を多く過ごせる環境だと思います。もちろん、自分が好きなことを仕事にする上での辛さもあると思いますが、“これがやりたかったんだ”と思える仕事で圧倒的な極上の体験をする機会がここにはあると思います。当社の目指す世界観にご自身の思いを加えながら、1＋1を超えた新しい答えを生み出していってほしいと思います」（谷田氏）。