トクティー株式会社

特定技能外国人材マッチングプラットフォーム『tokuty』を提供している、トクティー株式会社。

わが国において、2019年4月に「特定技能制度」が導入された。これは、建設業や介護、産業機械製造業、外食業、農業等、人材不足が深刻化している14業種において外国人の就労を認める新しい在留資格のこと。外国人候補者は、日本語スキルに加えて仕事に関する知識・経験に関する試験に合格することが求められる。

特定技能人材は、人手不足を解消する切り札として注目を集めている成長分野といえる。

『tokuty』は、特定技能を採用したい企業と特定技能人材を、tokuty上で直接繋ぐプラットフォームとなる。
また、特定技能人材には日本国の就労ビザが必要となるため、ビザ申請書類作成機能・ビザ申請機能等も盛り込む予定だ。
「特定技能人材の採用から入社までを一括してサポートするプラットフォームにします」とCEOの杉原尚輔氏は胸を張る。

『tokuty』は、2021年10月にリリース。「今後、利用企業数をさらにアップさせるべく、体制強化を行います。是非アクセスしてください！」と杉原氏は呼び掛ける。

外資系証券会社で6年間、債券等の営業に従事していた杉原氏は、最後の2年間は興味を持っていた事業運営を経験すべく、副業として英語で学ぶ子供向けダンス教室の運営に携わる。そのトレーナーとして応募してきた外国人の方がエネルギッシュで「こういう人材が国内にもっと増えれば、人口減少で元気をなくしている日本経済は活性化できるとのインスピレーションを得た」と話す。
そこで、2016年に独立し、未経験ながら外国人に特化した人材紹介・派遣会社をスタートさせた。
「外資系証券会社では好成績を上げていたので根拠のない自信がありました！」（杉原氏）。

2018年には外国人向け求人メディアの広告サービスをリリース。また、2019年に外国人従業員と雇用主のコミュニケーションを取り持つ翻訳機能付きチャット『Connectee』をリリースした。その後、在留カード真贋判定機能を盛り込む等バージョンアップした。

「マーケットサイズが大きくないので、ピボット決めました。そこで新たに開発したのが『tokuty』です。2021年4月から開始しニーズの大きさを確かめてウェブ開発に着手しました」（杉原氏）。

7月にアクセラレータープログラムの「Open Network Lab」に応募し採択され事業開発を行い、10月に完成し5チーム中最優秀賞を獲得する。
「満を持してローンチしました。それと共に社名もコネクティー株式会社からトクティー株式会社に変更し、このサービスに賭けることにしたのです」（杉原氏）。

その背景には、コロナ禍による水際対策で外国人の入国ができず、国内在留の外国人に対する特定技能人材としてのニーズが高まったことや、国際的に評判の良くない「技能実習制度」に代わる外国人労働者確保の策として特定技能制度を根幹に据える国の動きがある。
今後、日本の人口減少は進展の一途であり、労働力不足が続くのは間違いのないことだ。好むと好まざるとにかかわらず、外国人を受け容れる動きは加速することが見込まれる。
「特定技能人材と言えば『tokuty』と第一想起される存在を目指します」（杉原氏）。

同社は、2022年1月にベトナムのハノイにオフィスを開設し、現地とのコネクションを強化すると共に、東南および東アジア各国と日本を架橋する体制構築を目指す。

掲げるVision・Missionは次のとおりだ。
●Vision：外国人という概念がなくなる未来へ
●Mission：国境を越えた新たな出会いを、フェアなかたちで。1人でも多く、1社でも多く。

「日本で活躍した外国人材が母国でも引き続き活躍できるような、ボーダーレスでフェアな就労に繋がるマッチングサービスを構築していきます」と杉原氏は意気込む。

tokutyは、アメリカ人やベトナム人、ネパール人が活躍するインターナショナルな風土だ。

メンバー全員で共有するValueとして、次の6項目を制定。
●Values：「コミット」「チャレンジ」「スピード」「俯瞰」「相手目線」「自走」

その狙いについて、杉原氏は次のように説明する。
「我々は特定技能人材という新しい領域でNo.1となることに“チャレンジ”するスタートアップです。そこでまず、“スピード”が必要です。また、唯一無二の良いプロダクトやサービスをつくるために、営業も開発も結果に“コミット”することが求められます。また、良いプロダクトにしていくためには、常に“相手目線”で考える必要がある。そして、局面や個人の業務範囲だけでなく、チームや会社全体、業界等を“俯瞰”して求められるサービスをつくっていく必要があります。これらのことは、全て自ら考え、アクションを起こす“自走”が基本である、ということです」

このValuesはメンバー全員で考えたもの。その段階で全員に深く浸透しており、現メンバーは今後同社が成長していく際のコアな存在として、新メンバーに伝えていくことになる。
また、「それ“相手目線で考えている？」等、杉原氏以下全員の日常会話のキーワードとして頻出しているという。「さらに、人事考課の定性指標にする方向で制度づくりを行っている最中」と杉原氏はその浸透・促進策を話す。

サービスを立ち上げたばかりのタイミングにある同社では、基本的にオフィスワークのビジネスサイドのメンバーが毎日、サービスの状況確認や改善ポイントを抽出するスクラムミーティングを実施。そこでまとめた課題を日単位でタスク化し、開発チームに共有するというアジャイルに最適化された体制で運営している。
「この体制において、メンバーはかなり鍛えられていると思います」（杉原氏）。

そんな同社が求めるエンジニア像について、杉原氏は次のように期待を寄せる。
「新しい技術を探求心を持って学べ、ユーザー目線でプロダクトをつくれる方。そして、自社プロダクトに対してオーナーシップを持ち、積極的に意見を言って実行できる方ですね」
同社の募集のように、グローバルに自社サービスを展開していくコアメンバーになれるチャンスはそうそうないだろう。