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インタビュー画像CTO若林(左)とCEO西池(右) 「持続可能なパフォーマンスをデザインする」をミッションに掲げ、企業の生産性向上コンサル事業や、建設DXサービス「現場.net」ストレスの計測・コンディショニングアプリ「ANBAI」「ストレススキャン」、婦人科がん患者向けの治療サポートアプリ「ハカルテ」など、多岐にわたるビジネスを展開するITベンチャー企業・株式会社DUMSCO。 CEO西池とCTO若林に、創業の経緯から今後目指すビジョンについて聞きました。

「生産性」に見出すビジネスチャンス DUMSCO創業の経緯

ーーDUMSCOの創業経緯について改めて教えてください。 西池:神戸製鋼で勤務していた頃、データ活用による生産性向上の新規事業アイデアを思いついたのですが、社内で実現させるには時間がかかると思い、自ら起業することに決めました。当時は会社経営については何も知らない状態でしたが、とりあえずやってみようと。 ーーどんなアイデアだったんですか? 西池:働く人の「労働時間あたりの利益」を記録することで、組織の「生産性」を可視化するアイデアです。それまでは「人件費あたりの利益」で考えるのが世の中の基本でしたが、労働時間をきちんとデータ化して管理すれば大きなビジネスチャンスを生むだろうと考えました。 このアイデアを思いついたのはインターネット産業が勃興していた2006年頃のことです。業界ではアプリ開発やシステム開発の事業が盛んでしたが、僕は「インターネットによってデータが端から端まで行き渡ること」で多くのビジネスが変化すると考えていました。 ーーなぜデータテクノロジーに目をつけたのでしょうか? 西池:例え話ですが、南アフリカのダイヤモンド業界で、商社は「ダイヤモンド鉱山の在処」という情報を持っているから儲けを得られるわけですが、インターネットで世界中のみんなに鉱山の情報が行き渡ったら利益が出せなくなりますよね。データによってそういう革命が起こりうるわけです。 西池:なので、日本の旧来的なビジネスもデータによってどんどんフラットになり、そこにビジネスチャンスが確実にあると考えました。とくに日本の製造業や医療業界のデータはGAFAには集められないし、業界の構造的にも日本の企業にしか参入できない。一方で巨大な産業なのでビジネスチャンスは大きい。 当時はそれに気づいている人があまりいなかったんです。だから先に動かなければと考え、2010年にDUMSCOを起業しました。 ーー若林さんはどのタイミングでジョインしたのですか? 若林:DUMSCOが学生エンジニアのバイトを募集していて、大学の研究室つながりで縁があったのがきっかけです。ちょうど3.11の直後で大学の授業が無くなってしまい、なにかやることを探していたのでちょうどよかったんです。 若林:大学院卒業後にヤフー株式会社に就職はしたものの、西池と同じく日本のレガシーな業界におけるIT活用をやりたい気持ちはずっとあったので、DUMSCOに専念する決断をしました。 その頃、2014年あたりのインターネット業界はSNSが隆盛で、やはりアメリカの企業が圧倒的勝者。なので自分たちは既存の国内産業をITで革新していく方で勝負しようと考えました。今でこそDUMSCOがやっている「現場.net」のような建設業界向けのSaaS系サービスも増えましたが、当時はまだまだ無かった時代です。 ーーこの10年のIT産業の進化でかなり世の中は変わりましたが、その流れを読んでいたわけですね。 西池:創業した頃にちょうどiPadなどのタブレット端末が普及して、IT化が進んでいない飲食店や建設現場、病院などでも使われるようになって、取れるデータが圧倒的に増えるだろうというタイミングでもありました。それもこの10年で当たり前になりましたが。 DUMSCOも創業当初はタブレット端末を使った飲食店の勤怠管理システムを作っていました。その流れで、現在も続いている建設業界の業務効率化事業「現場.net」に繋がっていきました。 若林:いまでこそ勤怠管理のIT化なんて当たり前ですが、当時の飲食業界ではまだまだ紙のタイムカードが使われていましたしね。 世の中的にも日本のIT企業はソシャゲ全盛期で、僕らのような分野に張っているIT企業は少数派でしたね。 西池:当時「絶対ゲームやったら儲かるよ! 西池もやればいいのに」って言われたな。でもソシャゲって僕らがやろうとしていることと考え方が真逆で、人の可処分時間を奪い合うもの。僕らがやりたいのはより人間の生産性を上げることなので。

「ストレススキャン」、予想外のヒット? 次の一手は

ーー2023年で創業から13期目になりますが、どのような苦労がありましたか? 若林:苦労というかはわかりませんが、「ストレススキャン」が中途半端に伸びてしまったのが大変でした。 勤怠管理や企業向けの生産性向上事業の流れで、「ストレスや自律神経のデータを取ったら活用できそう」ということで作ったのが「ストレススキャン」というアプリだったのですが、予想外にヒットしてしまいました。何のPR戦略も練っていなかったのに、アプリストアの総合DL数で1位を取るくらいDL数が増えてしまったんです。 若林:とはいえtoCアプリだけでビジネスを成立させようとするにはDL数が足りなくて、継続させるための戦略も不足していて。もともとアプリビジネスをする目的の会社では無かったので、ヒット後の次の手にあぐねてしまいました。アプリを出せば勝手に使ってくれてデータが溜まっていくかもという甘い期待があったんです。 ーーストレススキャン単体でビジネスをしようとは思っていなくて、溜まっていくデータの方で事業をしたかったんですね。 西池:そうです。今の医療はかなり進化しているので、次の伸び代は「検査や自覚症状で病気がわかるよりも前に、自分も気が付かない段階で体の異変がわかるデータを取ること」なんです。そういう目的で自律神経のデータを取りたかった。 若林:「一回測ってみよう!」でDLしてくれるユーザーが多くてヒットしたけれど、データ蓄積するにはDLも継続も足りず、かといってアプリ単体では収益も立たずという。 でも、その後もやはりストレス計測にはチャンスを感じていたので、ストレススキャンの後継サービスとして、企業向けに社員の自律神経を計測するサービスとして作ったのが「ANBAI」です。 ーー現在はANBAIのtoC向け展開も予定していますが、なぜ再びtoC向けをやろうと思ったんですか? 若林:ANBAIも「toB向けにやろう」と決めていたわけではなく、まずは企業内で使ってもらって実証実験するのが目的だったので、最初からtoCをやらないと決めていたわけではありませんでした。 「ストレスを計測する」という行為をより継続してもらいやすい展開の仕方を模索している最中なんです。それが企業の社員が使って人事がモニタリングする環境なのか、個人で使ってもらう形なのか、はたまた個人間でモニタリングし合ってもらうのか。 展開の方法を模索するなかで「がん治療中の患者のストレス度合いを医師がチェックして、患者のQOLを向上する」というインサイトがあることに目をつけて作ったのが、京都大学医学部と共同で開発している「ハカルテ」です。 ーー「自律神経を測って可視化する」という技術はあるので、あとはいかに使ってもらうかをあらゆる角度からPDCA回しているフェーズということですね。 西池:そうです。需要は世界中にあると思うので、toC向け展開はグローバルに広めたいです。ストレススキャンも実はダウンロードの約4割程度が海外ユーザーなので、可能性は大いにあると思います。 若林:自分で自分の自律神経のデータを見るだけでなく、他の人が見ることで生まれる付加価値も多いと考えています。 例えば遠方に住む家族の心身の健康状態がわかれば「見守り」としての価値も出てきますし、医療分野で活用すれば治療に近いこともできる。保険会社が使えば心身の異変を早期発見することで保険料の削減に繋がるかもしれない。誰がどう使うかで可能性はかなり広がると思います。

DUMSCOが目指す「余白のある働き方」、その先に目指すもの

ーーDUMSCOの事業で社会にどんな影響を与えたいですか? 若林:DUMSCOは「余白から設計する」という考え方のもとで働いているんですが、それ自体がかなりチャレンジングだと思っていて。 ベンチャー企業の多くは、ある意味「多少の健康を犠牲にしてでも仕事にコミットして事業を伸ばす」という戦略を取るし、大企業は資本力とマンパワーを武器に様々なドメインに張ってチャンスを広げる。DUMSCOはそのどちらもやっていなくて、労働時間にも事業構造にも「余白」を持たせながら事業を伸ばそうとしている。それを実現できている企業は現状あまり無いと思うので、DUMSCOが達成できたら社会に大きな影響があると思います。 西池:マンパワーで解決できる仕事って「代替可能な仕事」なので、それをあえて選ばないことで「他社にできない仕事」だけが集まると考えています。下請けの下請けの下請けの仕事して、どんどん賃金が安くなっていくような社会のピラミッド構造から脱することで、社員に払える給料は5倍にも10倍にもなる。受託開発をマンパワーで回して人材を食い潰していく会社をやりたいわけではないので。 若林:こういう考え方だと選べるドメインが限られてしまうのですが、気合いと根性を前提にして成功できるビジネスって結局二番煎じのものが多いと思っていて。それで成功してもイノベーションは起こせないと考えています。 若林:例えば「Googleの働き方は自由でご飯も無料でゆとりがありそうで素晴らしい」と言われてましたが、あれも検索エンジンというイノベーションがあって、稼げるビジネスモデルができたから自由に働けているだけ。まあ最近はレイオフもあり雲行きが怪しいですが。 要は働き方に余白を持たせることで生まれるひらめきを大事にして、価値を作り出せる会社にしたいということです。 ーーこれからさらにDUMSCOは採用を強化していくフェーズだと思いますが、どんな人に入ってきて欲しいですか? 西池:僕にとってはDUMSCOの仕事が究極の娯楽で、遊んだり休んだりする余白の時間に得たものもどこかで事業にリンクしています。 西池:社員もそれぞれの余白を大切にしながら、そこで経験したものを仕事に還元してくれる人と一緒に働きたいと思っています。 なので趣味やバックグラウンドが多様な人が集まった方が、DUMSCOに様々な価値をもたらしてくれるのではないかと考えています。 現役社員でも、週3社員という働き方にチャレンジする人、地方移住しながら子育てにも奮闘するエンジニア、現役看護師など、さまざまなバックグラウンドの方が集まっています。 若林:西池さんも僕も天邪鬼タイプなので、良くも悪くも型にはまらないタイプの人が合っている気がします。前述したように組織のあり方や働き方もいわゆるスタートアップらしい企業とは少し違うと思うので。既存の社会のあり方に疑問を持てる人を歓迎します。

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目指すは「産業革命を起こすマストハブカンパニー」。テクノロジーの力で小売市場を新たな産業に。
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